トップメッセージ

日本化薬グループは、
企業ビジョン KAYAKU spirit
実践し、人へ、社会へ幸せを
提供する企業グループで
あり続けます。

はじめに

 今般の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大において、予防策やワクチン接種の推進等の対策が進んでいますが、未だ収束が見通せない状況が続いています。罹患された方々およびご家族、関係者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。また、医療関係者の方々をはじめ、感染拡大を抑えるべく最前線でご尽力頂いている皆様に敬意を表し、深く感謝いたします。
 コロナ禍によって、私達は一見何の変哲もない日常においても、常に予断を許さない状況と隣り合わせであると痛感しました。ニューノーマルが現実のものとなり、一人ひとりの生活からビジネスの事業環境に至るまで、急激に大きな変化が進んでいます。私たち人間の営みは、実は微妙なバランスの上に成り立っており、一度バランスが崩れたならば、それまでの状況は一変する事実を改めて認識した次第です。
 このように変化の大きい時代においてこそ、基盤技術を変化させ100年以上存続した当社の遺伝子を遺憾なく発揮して、柔軟に機敏に行動することによって、企業価値を高めてまいる所存です。

日本化薬グループを取り巻く環境

 3カ年中期事業計画 KAYAKU Next Stage の2年目となる2021年3月期の経営成績は、機能化学品事業やセイフティシステムズ事業において、第1四半期にコロナ禍の影響を大きく受けて減速したものの、第2四半期以降は、自動車生産台数等、市況の回復に伴い復調が見られました。
 機能化学品事業では、テレワークによる半導体関連材料やコンシューマインクジェットプリンタ向け色素が好調であり、完全子会社化したポラテクノの車載向け製品も下期にかけて回復に向かいました。医薬事業は、毎年の薬価改定の影響を受ける厳しい環境の中、2014年に国内初となる抗体バイオシミラーを発売して以来続けていた地道な活動が実を結び、バイオシミラーの成長等によって増収増益となりました。セイフティシステムズ事業においても、下期以降の自動車生産台数の回復が、安全部品の需要回復に繋がりました。
 このような状況のもと、2021年3月期の連結売上高は1,734億円、営業利益は152億円となり、2020年11月に公表した見通しを売上高、営業利益ともに上回る結果となりました。しかし、中期事業計画 KAYAKU Next Stage の最終年度となる2022年3月期の連結売上高は1,848億円、営業利益は174億円になると見込んでおり、2019年5月に公表した当初計画の売上高2,100億円、営業利益225億円とは想定以上に乖離し、達成が困難な状況です。そのため、今後の成長戦略の再構築は必須であると考え、まずは当社グループが2026年3月期を到達目標とするありたい姿(2025年のありたい姿)を見直し、2021年5月に公表しました。この見直しに際しては、各事業セグメントや一般管理部門毎に、2025年あるいは2030年の「ありたい姿」に向けての重点課題とロードマップを具体的に精査しました。この「ありたい姿」に到達するために、2021年10月現在、中期事業計画 KAYAKU Next Stage の次の、4年間の次期中期事業計画策定のため社内で徹底的に議論を進めています。

※2021年7月の第1四半期決算時に公表した見通し

これからの日本化薬グループに必要なこと

 この10年ほどの経営成績を俯瞰しますと、直近のコロナ禍の影響ももちろんありますが、それ以前から日本化薬グループの収益性が徐々に低下している事実を無視できません。どんなに好調であっても、既存の製品は必ずライフサイクルの終焉を迎えますから、次々と新しいものを準備できなければ成長が止まるのは明白です。このことを役員から従業員一人ひとりまで危機意識として共有し、新製品を投入し続けられる体制を構築することが急務です。そのための施策の1つとして、視野を広げ今まで以上に積極的に社外との交流を拡げていく必要があると考えています。
 また、デジタル化・DXの推進が当社にとっても大変重要な課題と位置づけ、DX推進のチームを社内に置き、ソフト、ハード両面のデジタル化推進とともに今までの仕事のやり方そのものを見直す機会と捉え、従業員一人ひとりのリスキリングも視野に実行して参ります。
 2023年3月期からの次期中期事業計画においては、重要案件のフィージビリティスタディを徹底的に行うことによって、各事業における目標達成へのシナリオ・ロードマップを緻密に描く必要があります。さらに、ますます激化する市場競争に生き残るためには、一人ひとりのマインドの変革も重要と考えています。そこで、当社グループの技術のみならず、風土や意識の変革にも取り組みはじめました。私自身も深く関りながら、「活き活きとした強い会社いい会社」になるための風土作りと、従業員一人ひとりの「改善する価値観の定着」を目指す「A3活動(KAIZEN)」を推進しています。

存在感を持って、社会に幸せや嬉しさを提供する

 日本化薬創業の精神は、KAYAKU spirit「最良の製品を不断の進歩と良心の結合により社会に提供し続けること」に受け継がれています。今を去ること100年前、我々の先輩は揺るぎない使命感を持ち、当時の日本で不足していた合成染料や産業用ダイナマイトの製造に取組み、初めて国産化に成功しました。また、50年以上前に、「がんという病を克服することに挑戦するのは製薬企業としての使命である」との強い想いから、他社に先駆けて困難な抗がん剤開発に取り組んだのも当社でした。
 今、コロナ禍という未曽有の危機を経験した上で、あらためて「良心の結合」を実践する集団であることを強く自覚し、「存在感を持って、社会に幸せや嬉しさを提供する」企業でありたいと願っています。

日本化薬グループのありたい姿

お互いの考えをありのままに/活き活きとした強い会社いい会社

 社会に幸せや嬉しさを提供するためには、まず自らが健康な組織であること、活き活きとした集団であることが重要です。言い換えれば、お互いを刺激し合い、良い反応が連鎖する良質なコミュニケーションが日常化した組織が理想です。私は、日本化薬に入社以来、医薬営業を経験し、30代には海外駐在を経験させてもらい、帰国後はセイフティシステムズ事業の企画推進や営業統括、事業本部長を含めて、様々な立場で事業に携わりました。そして、数多くの困難な状況にも直面し、失敗も経験しましたが、メンバーがお互い遠慮せずに闊達に議論して、一丸となって成果を出すことができた時には、大変ではありながらもいいチームで仕事ができたことの幸せを実感することが出来ました。そして今、私は日本化薬グループの誰もが仕事を通してそのような充実感を味わえる、「活き活きとした強い会社いい会社」にしたいと考えています。その為にはまず、考えをありのままにさらけ出せるコミュニケーションの活性化によって、会社全体が結束し組織のエネルギーを高めることだと信じています。重要なことは、社員一人ひとりがそれぞれの現場で自律的に、スピード感を持って考え、議論し、関連する職場の人達とともに行動できることであり、上下関係による忖度や、心理的安全性を阻害するような古い習慣は無くしていきます。私は、普段から役員や従業員にこの話をするとともに、様々な場面で全てのグループ社員に向けてメッセージを発信しています。

 例えば些細なことですが、役職に関わらず、お互いを「さん」付けで呼ぶように呼びかけ、私のこともグループ内の全ての人から「涌元さん」と呼んでもらうようにしています。最初はぎこちない部分もありますが、まずは形から入ることも大切だと思っています。
 一方で、健康な組織になりましょうと掛け声をかけるばかりでは、実現はおぼつかないと思います。そこで、コミュニケーション活性化の具体策を企画し、役員室を各部門の中長期的なロードマップを掲示するための部屋へと改造しました。出来るだけ多くの社員の皆さんに、時間の許す限り気軽に訪ねてもらい、「渋谷さん」(取締役専務執行役員・経営戦略本部長)、「井上さん」(専務執行役員・研究開発本部長)や他の役員と一緒に話を聞き、経営戦略・事業運営・研究開発いずれの面からも、進捗や計画を忌憚なく議論できる部屋として活用をはじめました。この部屋に一歩入れば日本化薬の各事業の進捗状況や全社重点課題への取り組み状況が直ぐに判る「ありたい姿が見える部屋」として運営していきます。これからの日本化薬グループの基盤となる、活き活きとした企業風土を、この場からも育てていきたいと思います。

「ありたい姿が見える部屋」を活用した、涌元さんとの議論

改善する価値観の定着/A3活動(KAIZEN)

 競争の激しい市場に身を置き製造業を営むメーカーとして、常にムダを無くす為の改善を実行する価値観を全員が身に付けねばなりません。振り返ると各事業分野による違い、営業・工場など職種で異なる着眼点、事業部門と間接部門の差異などに起因して、社内に温度差が無いとは言えなかったと思います。私たちはこれからも4つの事業を通じて、ますます競争の激化する市場に挑み続けねばなりません。今までの仕事のやり方でこれから先も通用するのか、もっと効率的なやり方はないか、といった疑問があたりまえのように湧いてくる思考回路を、社員一人ひとりが同じレベルで持つことが重要となります。そこで、原価低減なくして製造業は存立しないとの考えのもと、3M(ムリ、ムダ、ムラ)を徹底的に排除して、常に改善を実行する価値観を全ての従業員が共有するための活動を始めました。
 現在本社に事務局を置き、「Always3%の削減による改善を」をキャッチフレーズに「A3活動(KAIZEN)」と名付けた取り組みを推進しています。単なるコスト低減のキャンペーンではなく、管理部門も含めてあらゆる3Mを排除し業務の効率化を実現することが目的です。事務局を中心に多角的に企画を立ち上げ、全事業場の従業員から抽出した課題を改善する取り組みや、役員と若手のディベート、広報誌による教宣などを通して価値観を行き渡らせます。当社グループの製品競争力、特にコスト競争力強化の基盤になる取り組みとして、今後も精力的に推進してまいります。

A3活動(KAIZEN):2021年6月に実施した役員と若手のディベート参加メンバー

終わりに

 「活き活きとした強い会社いい会社」に向けた取り組み、「A3活動(KAIZEN)」など風土・文化の改革とともに、現在、中期事業計画 KAYAKU Next Stage の次の、4年間の次期中期事業計画策定のため社内で徹底的に議論を進めております。私達の変化と決意を感じていただけるように精度高く策定し、2022年5月の決算説明会にてご説明したいと考えております。
 その中では、持続的な成長のための全社重点課題として、新製品・新事業創出、環境(気候変動対応)、DXについても、より一層積極的且つ具体的に取り組んでいくつもりでおります。
 今後も、皆様からのご期待に添えるよう、企業価値の向上に尽力してまいります。株主・投資家の皆様におかれましては、引き続き建設的な対話の機会を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
 これからも日本化薬グループは KAYAKU spirit を実践し、すべてのステークホルダーの皆様と伴に進化し、幸せやうれしさを提供できるように努めてまいります。
 引き続き、皆様方のご支援を賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。

※2022年5月13日(金)に実施する予定です。

代表取締役社長

株価情報

証券コード(東証一部):4272

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