研究開発体制

 日本化薬の研究開発体制は、新規事業開発や変化の激しい技術革新へ対応するために、全社技術部門を統括する「テクノロジー統括」を設けております。また、事業部門においては、将来の成長が期待できる研究開発ターゲット分野に合わせた研究開発体制としております。

各事業の研究所 概要

開発統括部

 開発統括部では、当社の火薬技術を活かしたディスク型インフレータ( 運転席、助手席エアバッグ用)、シリンダ型インフレータ( サイド、シートクッション、ニーエアバッグ用)、シートベルトプリテンショナー用マイクロガスジェネレータ、車載各種用途向け火工品の開発を推進しています。
 世界各地に配置された生産拠点の安全部品技術を結集し、グローバルに展開している顧客に、安価で高品質な安全部品をタイムリーに提供する研究開発体制を構築しています。

ファインケミカルズ研究所

 ファインケミカルズ研究所では、樹脂、色素、触媒をコアの技術として、独自の素材、複数の素材を複合化させた製品の開発を行っています。 5G 情報通信社会などの「Society 5.0」実現に貢献できる、高耐熱エポキシ樹脂、マレイミド樹脂をはじめとする特徴のある素材を展開しています。
 また、「SDGs」の実現に向けて、これまで培ってきた色素合成の技術を深め、インクジェットプリンタ用色素材料や特徴のある機能性色素材料の開発を行っています。
 加えて、アクリル酸、メタクリル酸などの基礎化学品製造用の高性能触媒の開発を推進し、逐次市場に投入しています。

医薬研究所

 医薬研究所では、複数の社外研究機関と共同研究を行いながら、低分子創薬やバイオ技術・高分子合成技術を用いた新規抗がん薬の研究開発を精力的に進めています。
 また、薬剤費が非常に高額なバイオ医薬品に対し、安価な製剤の提供が社会的に求められていることから、バイオシミラーを導入しその開発に取り組むとともに、高品質で生産性の高いバイオ医薬品を製造するための技術獲得に挑戦しています。
 さらに、ジェネリック抗がん薬では医療ニーズに応えるべく、利便性に富む工夫製剤の開発に注力しています。

アグロ研究所

 アグロ研究所で上市に向けて取り組みを続けていた野菜や果樹用の新規殺虫剤「ファインセーブ®」を、2018年6月に発売しました。
 「ファインセーブ®」の普及拡大を進めるために、上手な使い方を提案するとともに、安全で使いやすい新しい農薬探索や、工夫製剤の開発を積極的に進めています。また、現製品の適用拡大を継続的に実施しています。

研究開発の全社的な連携と推進

 「両利きの経営」における研究開発では、知の探索も重要な取り組みです。全社的な活動として研究企画部が主導して、大学やスタートアップ企業との連携により、新たな知の探索を積極的に進めています。また、研究開発全般については、研究経営委員会が全社経営課題として取組む体制となっています。新製品・新事業の創出を目指した研究開発のうち、将来大きな成長事業となることが期待できるテーマは、全社的な経営資源を戦略的に配分するコーポレート研究として推進しています。

Voice!:~どんどん外へ出ていこう!~

 2020年より進めてきたオープンイノベーションの仕組み作りも徐々に形が整ってきました。例えば外部ベンチャーキャピタルへの出資を行い、当社の事業戦略領域に関連が深いスタートアップを効率的に探索できるようになりました。また、東京虎ノ門に位置するCIC(ケンブリッジイノベーションセンター)に新事業企画担当社員を常駐させ、各種イベントにも参加しながら協業の可能性を探索しています。
 研究DXの一環として進めているMI(マテリアルズインフォマティクス)の取り組みは、研究員が勤務する場所でいつでも取り組めるようにハード、ソフトの準備を完了し、加えてE-Learningを用いた教育も実施しました。
 これからはいよいよ整ってきた環境で有望な新事業テーマの創出を加速させる段階に移っていきます。

テクノロジー統括
研究企画部長 
久保 大理

MI:実験や論文などの膨大なデータを解析して、素材の分子構造の設計等の研究・開発に活用する手法

組織横断的な連携について

研究所長会議

 各研究開発部門の組織力活用と要素技術融合の場の形成を目的に、年に2回、研究所長会議を開催しています。各研究開発部門の成果の横展開や、研究者の育成についての検討をはじめ、全社の要素技術・コア技術の調査、人材の適切な配置についても協議しています。

全社研究発表会

 年1回、各研究開発部門から研究者・技術者が集まり、各研究開発部門の保有する要素技術やコア技術に関するプレゼンテーションを、口頭発表とポスター発表で行っています。異なる分野に取り組む研究員同士の交流によって、開発品の新しい用途創出のためのヒントや、客観的視点からの貴重な気付きを得る場として活用されています。

 2022年度は、統合研究棟をメイン会場とし、web会議も活用した形で開催し、「ありたい姿に向けた研究開発テーマ」に関して発表を行いました。
 口頭及びポスターにて、事業に貢献した技術開発や各研究部門の研究開発トピックス、研究DXなどを発表し、日本化薬の歴史の中で培われてきた社内技術について相互に理解を深めるとともに自社技術の振り返りを行い、自部署が有する「既存の知」とこれまで知らなかった「新たな知」が出会う場として活発な意見交換を行いました。

分析評価技術交流会

 各研究開発部門・工場の事業領域の異なる分析評価の研究者・技術者が一堂に会し、成功事例や課題を共有しながら意見交換やディスカッションを行う場として、年1回、分析評価技術交流会を開催しています。

研究開発

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