【重要課題】水資源利用の効率化

方針・基本的な考え方

水リスクは大きく分けて、渇水、洪水、水質汚染の影響による物理的リスク、水質基準強化や上下水道料金の改定、工水の供給停止による上水への切り替えなどの規制リスクなどが挙げられます。また、水資源は限られた大切な資源であり、その保全は世界的な重要課題となっています。
日本化薬グループはさまざまな国や地域でさまざまな製品を製造しており、中でも化学製品の製造では水資源は事業活動を営んでいくために必要不可欠です。当社グループの活動拠点の水資源の保全に留意し、水の使用で無駄がないよう取り組んでいます。

体制

指標

取り組み

環境規制への対応

当社では、各事業拠点において自治体や地域と各種協定を締結しています。環境に関する各種協定を遵守し環境負荷の低減に向けた取り組みを進めるとともに、地域社会の安全・安心に貢献します。2022年度も水質や水量に関する法令違反、罰金等はありませんでした。

水資源の利用

取水源別 水資源使用量

指標 対象範囲 単位 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
上水道 連結 千m3 813 706 763 805 754
工業用水 連結 千m3 6,815 7,758 7,897 8,138 8,003
地下水(井戸水) 連結 千m3 1,733 2,388 1,918 1,947 1,819
その他(ため池、雨水貯留) 連結 千m3 0 0 0 68 81
水資源使用量 合計 連結 千m3 9,361 10,852 10,578 10,958 10,657

放流先別 排水量

指標 対象範囲 単位 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
海域 連結 千m3 7,081 7,374 7,014 7,142 6,726
河川 連結 千m3 1,985 2,682 2,400 2,410 2,351
下水道 連結 千m3 995 928 974 987 910
排水量 合計 連結 千m3 10,061 10,984 10,388 10,539 9,987

水ストレス地域の把握

日本化薬グループは、水資源の利用に関するリスクを把握し、より効果的な水リスクへの対応につなげていくため、世界資源研究所(WRI)が開発した水リスク評価ツール「Aqueduct」を用いて、日本化薬グループの工場が立地する地域の水ストレス状況に関する調査を実施しました。その結果、2023年3月末時点で水ストレスが高い(Aqueductでの水ストレスレベルが「高~中」以上の)地域に、製造工程で水を利用する日本化薬グループの工場は存在しないことを確認しました。
水ストレスレベルが「高~中」と比較的高い化薬(湖州)安全器材では中央環境安全衛生診断を定期的に実施する計画をたて、水資源管理が適切に行われていることを確認しています。今後、水ストレスが高い地域に立地するすべての工場で水資源管理が適切に行われていることを確認し、将来的には削減計画の策定を進めます。

日本化薬グループ製造・研究開発拠点の水ストレスに関する調査結果(2022年度)※1

地域・国名 単位 水ストレスレベル別の水使用量
高~中 中~低
アジア 日本 千m3(拠点数) 0 0 2,715(6) 7,403(4) 0
中国 千m3(拠点数) 0 13(1) 0 0 320(3)
マレーシア 千m3(拠点数) 0 0 0 0 56(1)
欧州 チェコ 千m3(拠点数) 0 0 0 13(1) 0
オランダ 千m3(拠点数) 0 0 0 0 3(1)
イギリス 千m3(拠点数) 0 1(1) 0 0 0
北中米 アメリカ 千m3(拠点数) 0 0 7(1) 111(1) 0
メキシコ 千m3(拠点数) 15(1) 0 0 0 0
合計※2 千m3(拠点数) 15(1) 14(2) 2,722(7) 7,527(6) 379(5)
  • ※1Aqueduct Water Risk Atlasを使用し調査しています。
  • ※2四捨五入の関係で、各項目の和と合計が一致しないところがあります。

各事業場での取り組み

福山工場
使用水量削減に向けた取り組み

福山工場では、色素の生産工程で排出される廃水を工場内で処理し、その処理水を瀬戸内海に放流しています。福山工場では2000年からインクジェットプリンター用色素を生産しており、生産に伴って排出される廃水の処理法の改善に力を入れ、生産銘柄に合わせた個別の処理の実施や、低環境負荷のための生産工程の変更を数多く検討してきました。
これらの活動の成果が実り、工業用水契約水量を24,000m3/日から、2015年には23,000m3/日、2018年度には22,000m3/日へと段階的に削減してきました。現在、さらに廃水の処理法に磨きをかけることで、生産量が増加する中でも工業用水契約量を変更することなく生産しています。また、工業用水だけでなく、上水道も生産工程や設備洗浄工程で使用していますが、こちらの削減にも取り組んでいます。

カヤク セイフティシステムズ ヨーロッパ
雨水を活用する設備の導入

カヤク セイフティシステムズ ヨーロッパ(以下、KSE)は、環境保護を推進するための設備投資活動の一環として、雨水を効果的に利用するための貯水タンクシステムを2017年より導入し、2020年度までに750.5 m3相当のタンクを設置しています。雨水や、製造工室内の湿度管理のための空調から出る水を、飲用以外の用途に用いることで、水資源の利用の効率化だけでなく費用の削減にもつなげています。
気候変動の影響でチェコでは降水量の減少が大きな問題となっている現在、水の再生利用はとても重要です。2020年度以降の年間貯水量はKSEのすべての従業員とその家族(約4,000人)が年間で使用する飲料水量を上回っています。KSEではこのプロジェクトを通じて持続可能な社会の実現に貢献していきます。

雨水を活用する設備の導入
指標 単位 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
貯水量(計画) m3 - 4,877 5,040 5,040
貯水量(実績) m3 4,433 6,177 7,234 6,802
効果額 万円 282 361 411 335
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