人権は、すべての人の幸福と豊かな生活を追求するうえで不可欠であり、基本的人権は最優先で守られるべきと考えます。
日本化薬グループは、会社を取り巻くすべての人にうれしさと喜びをもたらすことを目指しております。事業活動をグローバルに展開する中で、国際基準に則った人権に対する配慮はサステナブル経営の基盤であると考え、当社グループは「行動憲章」「行動基準」において「人権の尊重」を明文化し、人権尊重の取り組みを推進してまいりました。
また、2021年に国連グローバル・コンパクト(UNGC)に署名し、参加を表明しております。2022年には人権尊重の取り組みを今まで以上にグループ全体で推進することを目的として、「日本化薬グループ人権方針」を制定しました。今後も企業活動全体において、人権を尊重する責任を果たしてまいります。
代表取締役副社長執行役員
渋谷 朋夫
日本化薬グループは、自らの事業活動において影響を受けるすべての人々の人権を擁護することを責務として認識しています。
そのため、人権尊重の取り組みをグループ全体で推進することを目的として、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく、日本化薬グループ人権方針(以下、本方針)をここに定めます。
日本化薬グループはステークホルダーの期待に応え、事業を通じて社会へ貢献することを企業ビジョンKAYAKU spiritの中で掲げています。また、KAYAKU spiritを実現するための行動規範として、「日本化薬グループ行動憲章・行動基準」「グループ行働指針」を定め、あらゆる企業活動において、基本的人権を尊重し法令を遵守し、公正な事業活動を行い、すべてのステークホルダーの信頼に応え、幸せや嬉しさを提供できる会社を目指していきます。
本方針は、日本化薬グループが企業ビジョンKAYAKU spiritに基づき、すべてのステークホルダーの信頼に応えるため、人権尊重の取り組みを約束するものです。私たちはすべての人びとの基本的人権について規定した国連「国際人権章典」(「世界人権宣言」、「市民的および政治的権利に関する国際規約」、「経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約」)や、労働における基本的権利を規定した国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則および権利に関するILO宣言」などの人権に関わる国際規範を支持し尊重します。さらに、国連グローバル・コンパクト(以下、GCという)署名企業としてGC10原則を支持し尊重しています。
性別・年齢・国籍・人種・宗教・障がい・出身・祖先・信条・政治的見解・婚姻の有無・雇用形態その他の差異に基づく差別およびハラスメント行為を容認しません。また、児童労働、強制労働および不当な低賃金労働を容認しません。
本方針は、日本化薬グループのすべての役員と従業員に適用します。加えて、日本化薬グループは、自社の事業活動・製品・サービスに関係するすべての取引関係者(ビジネスパートナー)に対しても、本方針の遵守を求めます。
日本化薬グループは、自らの事業活動において人権への負の影響を及ぼす可能性を完全には排除できないことを認識しています。私たちは、自らの事業活動において影響を受ける人々の人権を侵害しないこと、また自らの事業活動において人権への負の影響が生じた場合は是正に向けて適切な対応をとることにより、人権尊重の責任を果たし、責任あるサプライチェーンを築いていきます。
日本化薬グループは、人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築し、日本化薬グループが社会に与える人権に対する負の影響を特定し、その未然防止および軽減を図ります。
日本化薬グループは、本方針を実行する過程において、独立した外部からの人権に関する専門知識を活用し、ステークホルダーとの対話と協議を真摯に行います。
日本化薬グループは、本方針がすべての事業活動に組み込まれ、効果的に実行されるよう、適切な教育・研修を行います。
日本化薬グループの事業活動が、人権に対する負の影響を引き起こしたことが認められる場合、あるいは取引関係者等を通じた関与が明らかとなった、または関与が疑われる場合には、適切な調査を行ったうえで、必要に応じて国際基準に基づいた対話と適切な手続きを通じてその救済に取り組みます。
日本化薬グループは、本方針の実行に責任を持つ担当役員を明確にし、実施状況を監督します。
日本化薬グループは、自らの人権尊重の取り組みの進捗状況およびその結果を、ウェブサイトなどで開示します。
日本化薬グループは、事業活動を行うそれぞれの国または地域における法と規制を遵守します。国際的に認められた人権と各国の法令に矛盾がある場合には、国際的な人権原則を最大限に尊重するための方法を追求します。
本方針は、当社の取締役会にて決議し、代表取締役社長により署名されています。
制定 2022年4月1日
日本化薬株式会社
代表取締役社長
日本化薬グループは、グループ全体で人権尊重やコンプライアンスを徹底するためサステナブル経営会議の専門委員会として「倫理委員会」を設置し、年2回(必要があれば随時)開催しています。倫理委員会は、社長の指名を受けた役付執行役員を委員長とし、各事業領域企画部および事業領域に属さない一般管理部門の各部の代表者から構成される委員会で「日本化薬グループ行動憲章・行動基準」の遵守に関する方針・具体策を決定するとともに、相談事案・発生事案の対応と再発防止策を検討・決定しています。倫理委員会で議論された内容のうち、重要な事項はサステナブル経営会議および取締役会に報告されフィードバックを受けています。
人権デュー・ディリジェンスは、日本化薬グループ人権方針のもと、責任者を倫理委員会委員長、経営企画部サステナビリティ推進担当を事務局として、関連部署と連携し構築を進めています。人権に関する審議事項はサステナブル経営会議の承認を経て、取締役会に付議・報告しています。
こちらの表は横にスクロールできます。
サステナビリティ 重要課題 |
目指す SDGs |
アクションプラン | 重要指標(KPI) | 2025年度 到達目標 |
2022年度 結果 |
2022年度 取り組みに関するトピックス |
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雇用の維持・拡大と人材育成、人権尊重 |
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人権に関する研修回数 | 1回以上/年 | 1回 |
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人権デュー・ディリジェンス 「人権への影響評価」実施率 |
(単)2022年度までに実施 (連)2025年度までに100% |
(単)未完了 |
日本化薬グループは、日本化薬グループ人権方針に則り、人権尊重をサステナビリティ重要課題の1つとしてアクションプランを策定しています。毎年進捗状況を管理・開示することで、日本化薬グループ全体で人権デュー・ディリジェンスのプロセスを構築し活動を推進します。2021年度から1次および2次サプライヤーを対象に、人権への影響評価の調査を実施しています。2022年度は、ビジネスと人権の理解を目的として全役員および関連部署所属長を対象に勉強会を2回開催しました。2023年度以降は国内の各事業場および国内外グループ会社へと順次調査の対象範囲を拡大し、リスクの評価と改善・是正措置を実施します。
日本化薬グループ(国内)では、毎年10月を「コンプライアンス推進月間」としコンプライアンス意識調査を実施しています。コンプライアンス意識調査は、2015年度よりコンサルタント会社と契約し実施しています。コンプライアンス意識調査の集計結果や分析結果については、コンプライアンス推進に関する各職場の課題を抽出したうえで、改善提案を含めそれぞれの職場へフィードバックしています。各職場は、これらを参照して次年度のコンプライアンスアクションプランを策定し、意識向上のためにPDCAを回しています。2022年度コンプライアンス意識調査の結果、人権に関する深刻な事案はありませんでした。
グローバルに事業活動を行う日本化薬グループは、さまざま国籍・宗教・文化を有する従業員によって構成されています。グループ全体での会議や教育研修などを目的に海外から従業員が来日する際には、要望などを確認し、礼拝室の設置や宗教に配慮した食事の準備など対応しています。
姫路工場にはイスラム文化をもつ従業員が技術習得の研修のために来日することもあります。姫路工場では礼拝室とお祈り前に水で身を清めるためのスペースを設置しており、食堂ではハラール対応メニューも提供しています。
日本化薬グループでは、サプライチェーン全体で人権尊重の取り組みを促進するため「日本化薬グループ行動憲章・行動基準」「購買理念」「購買基本方針」に基づき「サステナブル調達ガイドライン」を定め、お取引先に周知しています。また「サステナブル調達ガイドライン」に対する同意確認書の回収およびサステナブル調達アンケートを実施しています。2022年度までのアンケートの結果においては、お取引先での重大な人権問題は確認されませんでした。今後もお取引先とともにサステナブル調達の推進に取り組んでいきます。
日本化薬グループでは、事業活動に関わるすべてのステークホルダーの人権を尊重することの重要性についてすべての役員・従業員(契約社員、パート社員含む)および派遣社員と認識を共有するために年に1回、人権に関する研修を実施しています。人権方針、ハラスメント防止、法改正、コンプライアンス意識調査の結果なども参考にして研修内容を決定しています。
2022年度の研修では、日本化薬グループ人権方針制定にあたり、人権方針制定の背景、人権方針各項目の解説、人権デュー・ディリジェンスのプロセスなどについてeラーニングで研修を実施しました。
また、中期事業計画KAYAKU Vision 2025 のスタートに合わせ、日本化薬グループ人権方針の解説も含めた冊子を作成し、製造拠点がある国の言語に翻訳し6か国語(日本語・英語・中国語・スペイン語・マレー語・チェコ語)で日本化薬グループ全役員・全従業員に配付し周知を図っています。
研修名 | 主な内容 | 主な対象 | 年度 | 受講形式 | 実施回数 | 受講率 |
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ビジネスと人権 | 人権問題、企業が具体的に尊重すべき人権とその範囲、企業に求められる人権の取り組み | 役員、従業員(契約社員、パート社員含む)、派遣社員 | 2021 | eラーニング | 1回 | 83% |
日本化薬グループ人権方針 | 人権方針制定の背景、人権方針各項目解説、人権デュー・ディリジェンスのプロセス | 役員、従業員(契約社員、パート社員含む)、派遣社員 | 2022 | eラーニング | 1回 | 84% |
日本化薬グループは2022年から、国連グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンのヒューマンライツ・デュー・ディリジェンス分科会と人権教育分科会に参画しています。有識者の講演から人権に関する知識を深め、テーマ・業界ごとのグループワークなどを通じて他社と情報交換を行い、自社の人権尊重の取り組みの推進に活用しています。
日本化薬グループでは、人権課題への対応を含む法令違反・倫理違反などの行為を早期に発見し、未然防止を図り、経営の透明性・公正性を高めることを目的に「コンプライアンス・ホットライン」と「お取引先からのコンプライアンス・ホットライン」を設置しています。
「コンプライアンス・ホットライン」は、国内の日本化薬グループ全役員・全従業員・退職者(退職後1年以内)を対象としています。通報・相談窓口は、倫理委員会事務局(内部統制推進部コンプライアンス担当)または社外法律事務所から選択することができます。
「お取引先からのコンプライアンス・ホットライン」は、国内の日本化薬グループと業務上の取引をしているお取引先の全役員・全従業員の方を対象としています。通報・相談窓口は、倫理委員会事務局(内部統制推進部コンプライアンス担当)です。
両窓口ともに機密性・匿名性が担保された制度となっており、通報・相談したことによる不利益を受けることはありません。