日本化薬グループでは、事業活動において多くの水資源を利用し、排出しています。水資源は日本化薬グループの全拠点の問題と捉え、適切な使用と周辺地域の環境保全に留意し、排水については法令および都道府県や市町村の条例で定められた規制値よりもさらに厳しく自主管理基準値を設定して管理しています。
廃棄物については、生産から消費、廃棄に至るまで物質の効率的な利用やリサイクルを進めることで資源の消費を抑制し、環境への負荷が少ない循環型社会の実現を進めていかなければなりません。そこで日本化薬グループでは、KAYAKU Vision 2025(KV25 )にリサイクル率およびゼロエミッション率を重要指標(KPI)として掲げ、廃棄物の削減とともに、事業活動で発生する廃棄物をさらなる次の資源と考えて有効利用に取り組んでいます。また、2022年4月に、プラスチック資源循環促進法が施行されました。プラスチックを取り巻く状況は刻々と変化し厳しさを増しています。気候変動の問題やプラスチックごみ問題を背景に、日本でもプラスチック資源循環を促進する動きがより活発になってきています。日本化薬グループでもプラスチックを使用し、廃棄物として排出していますが、排出するプラスチックを減らし(Reduce)、繰り返し使い(Reuse)、そして資源として再利用する(Recycle)、3Rを念頭に取り組みを進めています。
日本化薬グループは、各事業場・グループ会社において、排水や廃棄物が適正に管理されているかについて中央環境安全衛生診断で監査を実施しています。中央環境安全衛生診断では、排水や廃棄物の管理で法令や条例上の不備や問題がないか、また廃水処理場や廃棄物置場を確認して、管理状況に問題がないか確認をしています。
日本化薬グループでは、法令および各生産拠点のある都道府県や市区町村の条例で定められた規制値よりもさらに厳しく自主管理基準値を設定し、基準値を満たしていることを確認し排水しています。また日本化薬では、染料、インクジェット用インク等の色材関連製品を扱っています。これら色素材料製品を製造している福山工場、東京工場では、製造工程で発生する着色廃水を脱色処理して排出しています。
指標 | 対象範囲 | 単位 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 |
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COD | 連結 | トン | 231.9 | 218.8 | 223.6 | 243 | 274 |
全リン | 連結 | トン | 10.6 | 3.2 | 11.2 | 7.1 | 18.5 |
全窒素 | 連結 | トン | 74.8 | 83.2 | 73.5 | 114.0 | 68.5 |
SS※ | 連結 | トン | 46.0 | 48.4 | 49.9 | 49.2 | 44.6 |
テクノロジー統括生産技術部では、2023年9月に環境法令の理解を深めるため土壌汚染対策法に関わる講習会を国内事業場の施設担当者および環境保安担当者を対象に開催しました。土壌汚染対策法は、土壌汚染の状況を把握し、土壌汚染対策の実施を図ることにより人の健康被害を防止することが目的とした法律です。当社ではさまざまな化学物質の取り扱いがあることから特定有害物質を使用した施設の廃止や土地の形質変更(掘削や盛土)の際には、法令に基づいた適正な対応が必要であるため土壌汚染対策に関する知識が必要です。この講義では約50名の参加者が、専門家から土壌汚染対策法の概要や目的、届出の手続き方法について具体的な事例を紹介してもらいながら学びました。今後も定期的に社内講習を開催し、従業員の理解を深めながら法令順守に努めていきます。
上越工場では、偏光板を生産しており、生産工程で毎月約20,000m3の水を使用しています。
生産に伴って排出される廃水はさまざまな化学物質を含んでおり、その廃水は処理装置によって、工程水として再利用することで産業廃棄物量を削減しています。また、河川に放流する廃水は分析計を用いた水質監視を行ったうえで、条例で定められた規制値よりもさらに厳しく自主管理基準値を設定し、基準を満たしているものを河川に放流しています。
同工場では施設環安部の従業員が講師となり、作業・監督を行う従業員を対象に生産に使用された廃水をどのように処理して河川に放流しているか、廃水処理設備や排水方法について研修を実施しています。今後も定期的に研修を実施し、従業員の理解を深め、環境負荷の低減に努めていきます。
プラスチックを取り巻く状況は刻々と変化し厳しさを増す中で、日本では2022年4月に「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(プラスチック資源循環促進法)が施行されました。
日本化薬はこのプラスチック資源循環促進法の多量排出事業者に該当します。日本化薬では、持続可能な社会の実現へ貢献すべく、3R、すなわちReduce(排出量を減らす)、Reuse(繰り返し使う)、Recycle(資源として再利用する)を念頭に、廃プラスチックごみの目標化と削減を計画的に進めていきます。
指標 | 対象範囲 | 単位 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 |
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廃プラスチック類排出量 | 単体 | トン | 954 | 888 | 885 | 788 |
リサイクル率 | 単体 | % | 80.2 | 80.8 | 81.8 | 91.0 |
日本化薬は、廃棄物の発生量を削減するとともに、発生した廃棄物を次の資源へと活用する検討を推進しています。福山工場の生産活動で発生する廃棄物は多くの種類がありますが、その中でも微生物による廃水処理で発生する汚泥が大きな割合を占めています。この汚泥は水分を含むために処分が難しく、以前は適切な管理のもと埋立処分をしていました。環境負荷低減を目指してこの汚泥を資源として活用できないか検討した結果、焼却処理業者が熱量調整用に利用する燃料(いわゆる減燃料)としてリサイクル可能であることが分かり、現在は焼却処理業者に利用いただいています。なお、焼却に利用した際に発生する焼却灰はセメント原料や路盤材としてさらに有効活用されています。福山工場では他にも産業廃棄物の活用の検討を進めており、埋立処分量ゼロだけでなく、リサイクル率100%を継続して達成しています。
今後もサステナビリティ・アクションプランに掲げられている廃棄物発生量に対する埋立処分量の割合であるゼロエミッション率1%以下、ならびにリサイクル率80%以上の維持に努めてまいります。
カヤク セイフティシステムズ デ メキシコ(以下、KSM)は、木材、ボール紙、非鉄金属、アルミニウム、プラスチックなどの固形廃棄物を適切に分類し、それらを再利用できる外部の供給業者を見つけるように絶え間なく取り組んでいます。 これらの材料は2~3ヶ月間所定の場所に保管し、政府が認可した供給業者によって定期的に収集されています。
収集された廃棄物のうちリサイクルできるものは、それぞれのリサイクル業者へ運び、木材は木製パレットを製造し、段ボール類は再生され、さらにプラスチックやアルミニウムおよび鉄は、新しい原料を生み出します。
このプログラムは、リサイクルのためのペットボトルや適切な処理のための有機および無機廃棄物などに分類することができる休憩エリアなどの非生産的な分野にまで及びます。
2021年末からは、廃棄物の分別管理を改善しました。以前は分別方法が確立しておらず、有効利用できる資源も廃棄物に含められ処理されてしまっていました。そこで廃棄物ごとに再利用および廃棄基準を定め、基準に基づいて分別を行うようにしました。それによって作業員が分別の判断がしやすくなり、作業効率や正確性が増しただけでなく、金属、木材、プラスチックのリサイクル量が増えました。また、廃棄物とみなされていたプラスチック資材を見直し、その結果再利用することが可能になった資材が増えました。リサイクル量が増えることで都市廃棄物が減り、埋め立て処理が減るという二次効果が期待できます。
2023年度に現地お客様先と交渉の末、再利用ポリエステル梱包材の利用が認められました。2024年度利用開始予定です。
分類 | 対象範囲 | 単位 | 2021 | 2022 | 2023 |
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金属 | KSM | トン | 1 | 3 | 9 |
プラスチック | KSM | トン | 50 | 73 | 77 |
木材 | KSM | トン | 10 | 4 | 9 |
段ボール | KSM | トン | 24 | 23.3 | 26 |
都市廃棄物 | KSM | トン | 160 | 165 | 112 |
2023年度の廃棄物発生量は日本化薬グループ全体で22,030トンで、前年度の28,934トンより約24%減少しました。また、日本化薬単体では各事業場で引き続き埋立や焼却していた廃棄物のリサイクル化を促進し、環境負荷低減の取り組みを継続して進めた結果、埋立処分量は143トンで前年度より約39%減少し、ゼロエミッション率は前年度の0.8%よりさらに0.1ポイント減少して約0.7%になりました。
今後も事業活動によって発生する廃棄物量の削減と有効利用を推進し、地球環境負荷の大きい埋立廃棄物の削減し、全社で地球環境保護と持続可能な社会の実現に努めていきます。
指標 | 対象範囲 | 単位 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | |
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非有害廃棄物 | 単体 | トン | 17,971 | 19,411 | 22,069 | 21,154 | 16,073 | |
グループ会社 | トン | 4,240 | 996 | 1,199 | 1,242 | 1,087 | ||
合計 | トン | 22,211 | 20,407 | 23,268 | 22,396 | 17,160 | ||
うち、一般廃棄物 | 単体 | トン | 714 | 643 | 673 | 648 | 464 | |
グループ会社 | トン | 647 | 504 | 449 | 559 | 513 | ||
合計 | トン | 1,361 | 1,147 | 1,122 | 1,207 | 977 | ||
うち、産業廃棄物 | 単体 | トン | 17,256 | 18,768 | 21,396 | 20,506 | 15,609 | |
グループ会社 | トン | 3,593 | 493 | 750 | 682 | 574 | ||
合計 | トン | 20,849 | 19,261 | 22,146 | 21,188 | 16,183 | ||
有害廃棄物 | 単体 | トン | 5,231 | 5,925 | 6,503 | 6,467 | 4,812 | |
グループ会社 | トン | 190 | 92 | 86 | 71 | 59 | ||
合計 | トン | 5,421 | 6,017 | 6,589 | 6,538 | 4,871 | ||
うち、特定有害産業廃棄物 | 単体 | トン | 131 | 221 | 146 | 182 | 182 | |
グループ会社 | トン | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | ||
合計 | トン | 131 | 221 | 146 | 182 | 182 | ||
合計※1 | トン | 27,631 | 26,426 | 29,857 | 28,934 | 22,030 | ||
廃棄物の種類 | 汚泥 | 単体 | トン | 2,206 | 1,979 | 2,309 | 2,338 | 2,291 |
グループ会社 | トン | 267 | 131 | 336 | 258 | 115 | ||
合計 | トン | 2,473 | 2,110 | 2,645 | 2,596 | 2,406 | ||
廃油 | 単体 | トン | 5,296 | 5,766 | 6,386 | 5,848 | 4,736 | |
グループ会社 | トン | 95 | 94 | 87 | 71 | 59 | ||
合計 | トン | 5,391 | 5,860 | 6,473 | 5,919 | 4,795 | ||
廃酸 | 単体 | トン | 617 | 2,244 | 2,185 | 1,523 | 1,116 | |
グループ会社 | トン | 1,916 | 3 | 2 | 8 | 13 | ||
合計 | トン | 2,533 | 2,247 | 2,187 | 1,531 | 1,129 | ||
廃アルカリ | 単体 | トン | 13,399 | 13,382 | 15,784 | 16,064 | 11,219 | |
グループ会社 | トン | 631 | 17 | 11 | 11 | 8 | ||
合計 | トン | 14,030 | 13,399 | 15,795 | 16,075 | 11,227 | ||
廃プラスチック | 単体 | トン | 642 | 954 | 888 | 885 | 788 | |
グループ会社 | トン | 731 | 235 | 277 | 326 | 326 | ||
合計 | トン | 1,373 | 1,189 | 1,165 | 1,211 | 1,114 | ||
その他 | 単体 | トン | 1,041 | 1,010 | 1,021 | 962 | 735 | |
グループ会社 | トン | 790 | 609 | 572 | 640 | 624 | ||
合計 | トン | 1,831 | 1,619 | 1,593 | 1,602 | 1,359 | ||
埋立量 | 単体 | トン | 844 | 404 | 298 | 233 | 142 | |
リサイクル率※2 | 単体 | % | 84 | 81 | 82 | 87 | 84 | |
ゼロエミッション率 | 単体 | % | 3.7 | 1.6 | 1 | 0.8 | 0.7 |
日本化薬グループでは、各工場において製造工程で排出される廃水の組成に応じた廃水処理設備を備え、基準値超過を起こさないように法律や各自治体の条例の排出基準より厳しい自主管理値を設定し排水管理を行っています。2023年度も水質汚濁防止法等の排水に関する法令や条例、廃棄物の処理および清掃に関する法律(廃掃法)等の廃棄物排出に関する法令等の違反はありません。