日本化薬グループは、原材料の調達から、生産、流通、使用、廃棄に至るまでの製品ライフサイクル全体を通じて環境・安全・品質に配慮し、生活にうれしさをもたらす最良の製品・技術・サービスを社会に提供します。
事業活動においては「安全はすべてに優先する」という考えのもと、従業員一人ひとりの安全と健康はもとより、リスクの把握と低減に努め、事故や災害の発生防止に取り組んでいます。従業員の教育訓練を計画的に実施するとともに、日々の作業や化学物質に関わる潜在的な危険を予知し、先手の対策を講じることで作業の安全を確保しています。
また、本社と工場が一体となった品質管理システムを運用することにより日々の品質改善活動を継続的に強化し、顧客苦情や工程異常の未然防止を図るとともに顧客満足度の向上に努めています。
環境の取り組みとしては、2022年4月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、2050年カーボンニュートラルに向けて温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいます。当社における気候変動に関連するリスクを適切に把握・分析すると同時に、事業を通じて経済的価値と環境・社会的価値の両立を目指し持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
取締役専務執行役員
テクノロジー統括管掌役員
井上 佳美
日本化薬グループは、KAYAKU spiritとレスポンシブル・ケア※精神のもと、環境保全、安全衛生の確保および品質保証の維持・向上に努めるため「環境・健康・安全と品質に関する宣言」を制定し、グループ全体で活動を推進しています。
1995年11月7日 制定
2017年5月22日 改定
私たち日本化薬グループは、KAYAKU spirit「最良の製品を不断の進歩と良心の結合により社会に提供し続けること」に基づき、「生命と健康を守り、豊かな暮らしを支える」持続可能な社会の実現に貢献する企業として活動します。
2019年6月25日
日本化薬株式会社 代表取締役社長
日本化薬グループ各社が「安全をすべてに優先させる」取り組みを共通の認識とし、国内だけでなく海外現地の法令遵守をはじめとする環境・安全に関わる事故災害の未然防止を図ること、またKAYAKU spiritの実現に向け「環境・健康・安全と品質に関する宣言」に沿って日本化薬グループの従業員全員でレスポンシブル・ケア活動を進めています。
「日本化薬グループ レスポンシブル・ケア年度方針」は、2019年度以降継続して取り組むべき方針をベースにして、30秒巡視および定点観察による不安全行動の顕在化に重点を置いた安全衛生活動、リスクアセスメントに重点を置いた中央環境安全衛生診断の推進、ならびに2030年度までの中期環境目標達成に向けた脱炭素化を念頭においた目標を中心に作成し、毎年国内グループ会社も交えて確認しています。なお2023年度の方針に追加された項目の主なものとしては、労働安全衛生法およびその規則の一部改正への対応が挙げられます。
日本化薬グループでは、この方針により今後もレスポンシブル・ケア活動を進めていきます。
日本化薬グループでは、社長執行役員を議長とするサステナブル経営会議の専門委員会として「環境・安全・品質経営推進委員会」を設置し、日本化薬グループのレスポンシブル・ケア活動を統括しています。
環境・安全・品質経営推進委員会は各事業領域のレスポンシブル・ケア活動を担当する部署および事業領域に属さない一般管理部門の各部の代表者により構成され、レスポンシブル・ケア方針に基づく活動の実施状況および活動における問題点、その対応状況、次年度の方針案、気候変動に係る課題解決のための方針案および施策案などについて審議を行い、サステナブル経営会議への報告および答申を行います。
環境安全推進部では、組織的な活動として日本化薬各事業場およびグループ会社の中央環境安全衛生診断を実施し、環境・安全・品質経営推進委員会に結果を報告しています。
日本化薬は各事業場および一部のグループ会社に対して、レスポンシブル・ケア監査を年間計画に基づき「中央環境安全衛生診断」として実施しています。中央環境安全衛生診断は、環境・安全・衛生に十分配慮した事業活動が正しく行われていることをチェックして、問題点があれば改善を促す仕組みです。
中央環境安全衛生診断は、レスポンシブル・ケア、環境保全、保全防災、物流安全、生物多様性、労働安全、コンプライアンス、健康管理の充実、化学物質管理等の項目を診断し、改善の助言・提案を行うことにより、コンプライアンス違反、不正または錯誤の発生を予防し、環境・健康・安全の維持と改善を図り、日本化薬およびグループ会社の内部統制システムの構築、維持、改善に資する機能を果たしています。
環境安全推進部長(チーム長)、環境安全推進部員(診断員・事務局)、労働組合本部で構成されています。
被診断事業場の規模や前年度診断結果の判断により、1~2年に1回の頻度で実施しています。また診断結果の内容やその後の状況によりフォローアップ診断を実施することがあります(2022年度はフォローアップ診断の実施なし)。
診断結果は以下の区分でフィードバックをしています。
診断結果は被診断事業場・グループ会社、関連する事業部、環境・安全・品質経営推進委員会、監査部に報告します。またこれを受けて、被診断事業場・グループ会社は診断で見いだされた問題点について、計画的に改善を実施してPDCAを回します。
被診断事業場・グループ会社 | 2022年度 | |
---|---|---|
工場 | 7 | |
研究所 | 2 | |
事務所 | 2 | |
国内グループ会社 | 事業場内 | 3 |
事業場外 | 1 | |
海外グループ会社※ | 3 | |
合計 | 16 |
指摘区分 | レスポンシブル・ケア進度確認表 | リスクアセスメント他 |
---|---|---|
良い点 | 28 | 20 |
指摘事項 | 2 | 3 |
気づき事項 | 26 | 40 |
提案 | 8 | 8 |
日本化薬グループでは、環境法令違反や事故等の発生防止に努め、発生した場合は速やかに対策を講じる体制を整えています。2022年度は日本化薬グループ全体で環境に重大な影響を与える事故や法規制違反および水質や水量に関する事故や規制違反はありませんでした。また、罰則や罰金などの適用はありませんでした。
対象範囲 | 単位 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
環境関連法規制違反件数 | 連結 | 件 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
重大環境事故件数 | 連結 | 件 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
法規制違反、重大環境事故に関する罰金、罰則のコスト | 連結 | 円 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
日本化薬はサステナブル経営体制のもと、環境・安全・品質経営推進委員会において、化学品管理に関して推進すべき項目とこれに基づく具体的な活動計画を策定し、取り組みを進めています。
新製品を上市する場合、各国の規制に従った申出、登録、数量届出などが必要となります。国内では、化審法※1、安衛法※2の新規化学物質の申請、化審法の数量届出などに対応しています。また、2023年の改正化管法※3施行、2024年の改正安衛法施行の対応として、排出量の適切な管理や自律的な化学物質管理に向けた体制整備を充実させていきます。
世界各国で化学品規制法の制定・改正が進む中、国内のみならず欧州や⽶国、アジアなど各国の法規制に対して、国内外法規検索データベース等を活⽤しながら規制動向や改正情報をタイムリーに⼊⼿し、適切な法対応を実施しています。
各国のGHS※導入に伴い、現地法令・規格に適合した現地語SDSの発行および製品ラベルの貼付が求められるようになってきました。当社の取り組みとして国内では2019年のJIS改正に対して、SDSおよびラベルの変更等、改訂内容に則り、適切な対応を行いました。
ファインケミカルズ事業領域では、豊富な対訳、各国法規データ、物性・毒性データを装備したSDS作成システム(3E generate)を運用し、現地法令・規格に適合したSDS発行、製品GHSラベル貼付を行っています。
EUにおいてREACH規則※が2007年6月に施行されました。既存化学物質、新規化学物質の区別なく、年間1トン以上欧州域内で製造・輸入する化学品(化学製品に含まれる化学物質)には、安全性試験等のデータをつけて登録することを義務づけています。その施行以降、各国で化学物質登録などの規制が強化されており、それらの規制動向を都度確認し、漏れなく対応を実施しています。
ファインケミカルズ事業領域では、①国内外化学物質登録制度への対応、②各国化学品法規制動向の把握、対策立案および関係部署への周知・対応指示、③製品SDSおよび製品ラベルの管理などの化学物質管理を品質保証本部 化学物質管理部が統括・支援しています。
2016年に施行された改正労働安全衛生法による化学物質の製造・取り扱いを行う事業場でのリスクアセスメント義務化を背景に、実施義務対象物質や危険有害性物質を取り扱う新規・変更作業などについては、安全審査の際に日本化薬独自に構築したデータベースを用いたリスクアセスメントおよびリスク低減対策を実施しています。2024年以降の改正安衛法のリスクアセスメント対象物質拡大に対しても、データベースを改修し、法改正の内容に適合したリスクアセスメントを実施し、一元管理を行い、全社的なリスクマネジメントを推進します。
GHSの絵表示を化学物質の取り扱い場所に貼付して、作業者がばく露するおそれのある化学物質の危険有害性を認識できるようしています。
日本化薬では、工場毎の階層別教育プログラムを作成し、安全意識向上を目的に化管法・安衛法・毒劇法のいわゆるSDS三法などの化学品法規制の教育内容の充実を図っています。
日本化薬グループは日本化学工業協会に所属しており、LRIの活動についても1999年から賛同しています。研究資金の一部負担などを通じて貢献するとともに委員会にも出席しています。
LRIとはLong-range Research Initiative(長期自主研究)の略で、日米欧の化学産業界(日本化学工業協会、米国化学協議会、欧州化学工業連盟)の協力下で進められている活動です。ICCA(International Council of Chemical Associations)の自主活動のひとつであり、内分泌かく乱作用、神経毒性、化学発がん、免疫毒性、リスク評価の精緻化に焦点をあて、人の健康や環境に及ぼす化学物質の影響に関する研究を長期的に支援しています。