レスポンシブル・ケアの推進

担当役員メッセージ

日本化薬グループは、原材料の調達から、生産、流通、使用、廃棄に至るまでの製品ライフサイクル全体を通じて環境・安全・品質に配慮し、生活にうれしさをもたらす最良の製品・技術・サービスを社会に提供します。
事業活動においては「安全はすべてに優先する」という考えのもと、従業員一人ひとりの安全と健康はもとより、リスクの把握と低減に努め、事故や災害の発生防止に取り組んでいます。そのために従業員の教育訓練を計画的に実施するとともに、日々の作業や化学物質に関わる潜在的な危険を予知し、先手の対策を講じることで作業の安全を確保しています。
また、本社と工場が一体となった品質管理システムを運用することにより日々の品質改善活動を継続的に強化し、品質・工程異常の未然防止を図るとともに顧客満足度の向上に努めています。
中期事業計画KAYAKU Vision 2025KV25 マテリアリティ」の1つである気候変動対応の取り組みとして、2024年4月に2050年カーボンニュートラルの実現に向け中期環境目標を改定しました。世界的な環境意識のさらなる高まりを受けて、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みをより一層加速すべく、2020年に設定した2℃水準の中期環境目標を1.5℃水準に更新しました。事業活動で排出する温室効果ガス排出量(Scope 1、2)を2030年度までに46%削減し(2019年度比)、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指します。
従業員、お客様、お取引先、株主・投資家、地域社会、すべてのステークホルダーのみなさまと一緒に発展していけるように、これからも日本化薬グループ一体となってレスポンシブル・ケア活動を推進します。

上席執行役員
テクノロジー統括管掌役員
加藤 康仁

担当役員メッセージ

方針・基本的な考え方

環境・健康・安全と品質に関する宣言

日本化薬グループは、KAYAKU spiritとレスポンシブル・ケア精神のもと、環境保全、安全衛生の確保および品質保証の維持・向上に努めるため「環境・健康・安全と品質に関する宣言」を制定し、グループ全体で活動を推進しています。本宣言は、派遣社員、請負事業者を含めた日本化薬グループで働くすべての従業員に適用します。

環境・健康・安全と品質に関する宣言

1995年11月7日 制定
2017年5月22日 改定
2024年1月31日 改定

私たち日本化薬グループは、KAYAKU spirit「最良の製品を不断の進歩と良心の結合により社会に提供し続けること」に基づき、「生命と健康を守り、豊かな暮らしを支える」持続可能な社会の実現に貢献する企業として活動します。

基本方針
  1. 製品の研究開発から生産、流通、販売、リサイクル、廃棄に至るまでのライフサイクル全体に渡り、環境・健康・安全の維持と改善に努めます。
  2. 廃棄物の削減と適正処理、資源(エネルギー、水、原材料)使用量の削減、および気候変動対策(温室効果ガス排出量の削減)を推進し、汚染防止、生物多様性および環境の保全に取り組みます。
  3. 製品の安全な使用と取り扱いおよび環境の保全に必要な情報を取引先に積極的に提供します。
  4. 製品はもとより業務プロセスの品質を高め顧客満足度の向上を図ります。
  5. 教育訓練を通して従業員の見識と能力を高め、無公害、無災害、無事故および品質の向上を達成します。
  6. 事業活動について正しい理解が得られるよう情報を開示し、市民の方々や行政当局との対話に努めます。

2024年1月31日
日本化薬株式会社 代表取締役社長

涌元 厚宏
  • レスポンシブル・ケア:Responsible Care(化学物質を製造または扱う企業が化学物質の開発や生産、販売、消費から廃棄に至るまでのすべてのプロセスで自ら積極的に環境・安全・健康面に配慮した対策を行う活動です。1985年にカナダで誕生した後、日本をはじめ世界に拡がりをみせています。)

レスポンシブル・ケア方針

日本化薬グループ各社が「安全をすべてに優先させる」取り組みを共通の認識とし、国内だけでなく海外現地の法令遵守をはじめとする環境・安全に関わる事故災害の未然防止を図ること、またKAYAKU spiritの実現に向け「環境・健康・安全と品質に関する宣言」に沿って日本化薬グループの従業員全員でレスポンシブル・ケア活動を進めています。
「日本化薬グループ レスポンシブル・ケア年度方針」は、2019年度以降継続して取り組むべき方針をベースにして、30秒巡視および定点観察による不安全行動の顕在化に重点を置いた安全衛生活動、リスクアセスメントに重点を置いた中央環境安全衛生診断の推進、ならびに2030年度までの中期環境目標達成に向けた脱炭素化を念頭においた目標を中心に作成し、毎年国内グループ会社も交えて確認しています。なお2024年度の方針に追加された項目の主なものとしては、労働安全衛生法およびその規則の一部改正への対応に重点を置いた診断方法の実施が挙げられます。
日本化薬グループでは、この方針により今後もレスポンシブル・ケア活動を進めていきます。

日本化薬グループ レスポンシブル・ケア年度方針

《目標》
  • 重大事故・災害:ゼロ
  • 重大環境事故・災害:ゼロ
  • 重大交通事故:ゼロ
1. レスポンシブル・ケア重点課題
  • 全グループのScope1+2 CO2総排出量111,838t以下(グループ共通)
    (全社CO2削減率:15%以上;対2019年度比)
  • 1.5℃目標への整合(さらなる削減ストーリーの明確化)
  • 国内ゼロエミッション率1%以下
  • 30秒巡視の強化と定点観察の推進(活動状況の見える化による活性化)
2. 「事故災害ゼロ」へ向けた取り組みの推進
  • リスクアセスメントおよび改正労働安全衛生法に重点を置いた診断方法の推進
  • 熱中症対策の水平展開
  • AIを用いた危険源推定システムの調査と選定
3. 職場の労働安全衛生環境の改善
  • 改正労働安全衛生法への適正運用
  • ストレスチェック組織分析による高ストレス職場の把握とフォロー推進
  • 健診結果データベースの適正運用
  • 健康経営の推進
    • 特定保健指導受診率20%以上
    • 健康イベント参加率50%以上
4. 環境目標達成に向けた活動推進
  • 外部への気候変動関連開示の強化
    • TNFD開示に向けたリスクと影響の明確化と目標設定
    • TCFDリスク(洪水)の定量化と今後の対策の立案
  • クラウド型環境データ集計システムの適正運用(グループ共通)
  • 各事業場でのScope1+2 CO2排出量の年率3%削減(努力目標)(グループ共通)
  • 製品排出算定方法の拡充(システム検討)
  • プラスチック廃棄のリサイクル率80%以上、最終処分率1%以下

体制

日本化薬グループでは、社長執行役員を議長とするサステナブル経営会議の専門委員会として「環境・安全・品質経営推進委員会」を設置し、日本化薬グループのレスポンシブル・ケア活動を統括しています。
環境・安全・品質経営推進委員会は各事業領域のレスポンシブル・ケア活動を担当する部署および事業領域に属さない一般管理部門の各部の代表者により構成され、レスポンシブル・ケア方針に基づく活動の実施状況および活動における問題点、その対応状況、次年度の方針案、気候変動に係る課題解決のための方針案および施策案などについて審議を行い、サステナブル経営会議への報告および答申を行います。
環境安全推進部では、組織的な活動として日本化薬各事業場およびグループ会社の中央環境安全衛生診断を実施し、環境・安全・品質経営推進委員会に結果を報告しています。

体制

レスポンシブル・ケア監査

基本的な考え方

日本化薬は各事業場および一部のグループ会社に対して、レスポンシブル・ケア監査を年間計画に基づき「中央環境安全衛生診断」として実施しています。中央環境安全衛生診断は、環境・安全・衛生に十分配慮した事業活動が正しく行われていることをチェックして、問題点があれば改善を促す仕組みです。
中央環境安全衛生診断は、レスポンシブル・ケア、環境保全、保全防災、物流安全、生物多様性、労働安全、コンプライアンス、健康管理の充実、化学物質管理等の項目を診断し、改善の助言・提案を行うことにより、コンプライアンス違反、不正または錯誤の発生を予防し、環境・健康・安全の維持と改善を図り、日本化薬およびグループ会社の内部統制システムの構築、維持、改善に資する機能を果たしています。

マネジメント体制

中央環境安全衛生診断チーム

環境安全推進部長(チーム長)、環境安全推進部員(診断員・事務局)、労働組合本部で構成されています。

診断項目
  • レスポンシブル・ケア進度確認表によるレスポンシブル・ケア活動の進捗状況
  • 危険リスクが高い作業工程や設備のリスクアセスメント実施状況
  • 過去に発生した事故災害の処置状況と再発防止策の効果
  • 現場巡視(30秒巡視、定点観察)
  • 化学物質の保管、管理状況
  • 環境安全衛生体制およびそれに関連した法規制の遵守状況
  • その他、レスポンシブル・ケアに関する必要事項
診断の対象
  • 日本化薬各事業場(工場7拠点、研究所3拠点、事務所2拠点、その他3拠点)
  • 国内グループ会社(事業場内3社、事業場外1社)
  • 海外(中国)グループ会社(3社)
診断の実施頻度

被診断事業場の規模や前年度診断結果の判断により、1~2年に1回の頻度で実施しています。また診断結果の内容やその後の状況によりフォローアップ診断を実施することがあります(2023年度はフォローアップ診断の実施なし)。

診断結果の報告

診断結果は以下の区分でフィードバックをしています。

  • 良い点・・・優れた取り組みで、他事業場・グループ会社の参考になる点
  • 指摘事項・・・事故災害や環境事故、コンプライアンス違反につながるリスクがある事項
  • 気づき事項・・・安全衛生、環境保全およびコンプライアンス遵守の取り組みで改善を要する事項
  • 提案・・・現状でも問題はないが、実施によって環境安全衛生の取り組みがさらによくなると思われる点

診断結果は被診断事業場・グループ会社、関連する事業部、環境・安全・品質経営推進委員会、監査部に報告します。またこれを受けて、被診断事業場・グループ会社は診断で見いだされた問題点について、計画的に改善を実施してPDCAを回します。

目標・実績

中央環境安全衛生診断実績(診断拠点数)
被診断事業場・グループ会社 2022 2023
工場 7 7
研究所 2 1
事務所 2 0
国内グループ会社 事業場内 3 3
事業場外 1 1
海外グループ会社 3 1
合計 16 13
  • 海外グループ会社はレスポンシブル・ケア進度確認表の確認のみウェブ会議システムを利用して実施。
2023年度診断結果(診断を実施した全13拠点の指摘件数)
指摘区分 レスポンシブル・ケア進度確認表 リスクアセスメント他
良い点 14 26
指摘事項 5 1
気づき事項 15 39
提案 23 57

取り組み

サステナブルな未来をつくる製品・技術
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