日本化薬グループは、企業価値の向上と持続可能な社会の実現には「人」が重要な資本であると認識しています。当社の成長と発展に重要な役割を果たす従業員一人ひとりが最大限の能力を発揮できる職場環境を整備することが、企業の競争力を高める鍵であると考えます。
人材の多様化、働き方の多様化が加速する中で、従業員の多様性を尊重し、すべての従業員が安心して働くことのできる職場環境を提供することが重要です。ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを推進し、年齢、性別、国籍、キャリアなど多様なバックグラウンドや視点を持つ従業員が協力し、互いに学び合うことで、革新が生まれ、組織全体のレジリエンスも高まると確信しています。
当社が求める人材は、「自ら主体的に行動できる自律型人材」、「失敗を恐れず果敢にチャレンジできる人材」、そして「世界で活躍できるグローバル人材」です。これらの特性を持つ人材を社内に呼び込み、育成することが、当社の未来を切り拓く原動力となります。約6,000人の従業員の知識・スキルや成長意欲を「人的資本」と捉えて積極的に投資し、事業の成長に合わせた人材を育成するとともに、時代が変化する中でもあらゆる人から選ばれる会社を目指します。
当社は人材育成・組織風土改善に向けた施策を継続的に実行することで、働きやすさと働きがいを両立させた「プラチナ企業」に向けて、すべての従業員が誇りを持って活躍できる企業体制を構築していきます。どうぞご期待ください。
取締役常務執行役員
武田 真
当社は、従業員が健康で快適に働ける労働環境を整備し、生産性向上や従業員満足度向上を目指しています。従業員がKAYAKU spiritに共感し、経営陣と相互に信頼し合いながら、やりがいや熱意を持ち活き活きと働くことができる職場風土を醸成し、従業員エンゲージメントを高めることを重視しています。
人事制度としては、年齢や性別、キャリア、学歴、国籍等にこだわらない職務配置と処遇を可能にする「ポジションクラス(職務等級)制度」や、管理職への登用において自発的にチャレンジできる制度を設け、役割と責任に基軸をおいたシステムを導入しています。
人材育成においても自ら「成長したい」「学びたい」従業員をサポートすることを通じて、従業員一人ひとりの自律的な成長を促し、個人の希望に沿った多彩なキャリアの実現を支援してまいります。
当社グループは、代表取締役社長を議長とするサステナブル経営会議において、人的資本経営の取組等の審議および活動状況の総括・評価を行っています。これらの審議、総括・評価の結果を取締役会へ報告し、取締役会による監視・監督を受ける体制としております。
日本化薬の人事評価制度の基盤となるのが「業績評価」です。「業績評価」は全従業員を対象に、まず年度初めに各従業員が担う役割と責任に応じて職務を設定します。職務を遂行する中で、年度ごとの業務目標を上司との面談により設定し、1年間でその遂行を目指し業務に就きます。半期に1回「期中成果目標達成度」について上司と進捗状況を確認します。年度が改まり次第、上司との面談で1年の業績を振り返り評価を決定し、次年度の目標を設定します。評価は賞与に反映します。
管理職を除く従業員の人事評価制度は「業績評価」「チャレンジ評価」「プロセス評価」の3つで構成されています。「チャレンジ評価」は自主的に設定した目標の達成度を評価し、「プロセス評価」は目標の遂行にあたりその過程を評価します。
会社の成長と自己の成長につなげることにより、会社の成長と従業員一人ひとりの自己実現を一致させ、また目標の達成度だけでなくプロセスを評価することで、業務に対するモチベーションを上げ従業員のエンゲージメントを高めることを目指しています。
日本化薬では激変する経営環境変化に柔軟に対応するため、要員の補充が必要な職場とその職場で働く積極的な意志と能力を持つ従業員のマッチングにより適材適所な要員配置を行い業績向上につなげることを目的に社内公募制度を導入しています。2024年度は2件の社内公募があり、いずれも異動が成立しています。
意欲ある従業員に対し挑戦の機会を設けることで従業員のキャリア自律を促進し、従業員のキャリア支援、ワークエンゲージメントの向上にもつなげています。
昨今の企業競争力優位性は、製品だけでは差別化しにくい世の中に変化しており、製品・サービスを提供する「人」が大きな要素となっています。当社においても、いかに人材を活かすかが重要なテーマとなっており、これまで以上に従業員一人ひとりの働きがい・生きがいを高めることが、企業価値のさらなる向上に繋がると考えています。
2024年度は当社として2回目の従業員エンゲージメントサーベイを2,204名の従業員(正社員、準社員、パート社員、シニアパートナー含む)を対象に実施しました。
日本化薬グループ全体のスコアは48.4となり、昨年度より1.3改善しましたが、全国平均には届きませんでした。全社視点で見ると、「上司の支援」や「職場の一体感」は高い一方で、「適切な採用・配置」、「事業の成長性や将来性」に対しては低い傾向にあります。市場競争に勝てる強い組織になりきれていない状況があることが示唆されており、組織文化や制度に改善の余地があります。エンゲージメント向上に向けて、各職場でアクションプランを設定して改善活動を行っています。
引き続き、従業員一人ひとりが活力を持って仕事ができる改革を推し進め、働きやすく・働きがいのある職場風土の醸成に努めます。
指標 | 対象範囲 | 単位 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 2024年度 目標 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
回答率 | 単体 | % | - | - | - | 85.9 | 83.9 | - |
従業員エンゲージメントサーベイ | 単体 | スコア | - | - | - | 47.1 | 48.4 | 50 |
強みを持つ領域:上司の支援行動、職場のチームワーク
課題のある領域:適切な採用・配置、事業の成長性や将来性
従業員のエンゲージメント状態を可視化し組織力向上を図ることで、より働きやすく・働きがいのある職場整備と成果の最大化を目指します。
日本化薬では労働時間の適正な把握と長時間労働の削減に取り組んでいます。具体的には労使からなる労働時間管理専門委員会を設置し、労働時間管理の実態調査およびその対策と取り組み状況について、各事業場へ年2回の報告を求め、内容を確認しています。
また、管理監督者、人事労務担当者への教育を実施するとともに、労使共催による学習会も実施しています。
労働時間に関する法令や36協定(当社と労働組合の間で時間外労働の上限を取り決めた協定)の遵守と並行して、時間外労働時間は「原則月45時間以内、最長月80時間までを遵守する」と制定しています。
さらには入退場管理、客観記録管理、管理監督者も対象とした時間外労働管理も適切に行うなど、法令の遵守に留まらないさまざまな取り組みを行っています。
指標 | 対象範囲 | 単位 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
従業員1人当たり年間総労働時間 | 連結 | 時間 | - | - | - | - | 1,916 |
月平均時間外労働 | 連結 | 時間 | - | - | - | - | 10.7 |
従業員1人当たり年間総労働時間 | 単体 | 時間 | 1,885 | 1,911 | 1,896 | 1,876 | 1,883 |
月平均時間外労働 | 単体 | 時間 | 11.3 | 12.7 | 11.9 | 11.2 | 11.8 |
日本化薬グループは、日本化薬グループ人権方針において性別・年齢・国籍・人種・宗教・障がい・出身・祖先・信条・政治的見解・性的指向・婚姻の有無・雇用形態その他の差異に基づく差別を容認しないと定めています。人事賃金制度においてもジェンダー間で統一された報酬体系を適用しています。また、最低賃金、時間外割増賃金、同一労働同一賃金に関する法令を遵守し、最低賃金を超える賃金の支払いを行っています。
当社の人事賃金制度はポジションクラス制度のため、男女間賃金格差は生じない制度です。一方で、現実に生じている要因として、女性の管理職数が男性に比べて少ないことがあり、この理由の一つとして20代後半~30代にかけて出産・育児期間にかかり、マミートラックに陥ることが挙げられます。今後の対応としては、女性の管理職登用を推進し、男女間賃金格差の縮小に取り組みます。
指標 | 対象範囲 | 単位 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
平均年間給与 | 男性 | 単体 | 千円 | 7,423 | 7,683 | 8,003 | 7,704 | 7,979 |
女性 | 単体 | 千円 | 6,133 | 6,366 | 6,707 | 6,336 | 6,632 | |
全体 | 単体 | 千円 | 7,224 | 7,477 | 7,801 | 7,488 | 7,763 | |
男女の賃金差異 | 正規雇用労働者 | 単体 | % | - | - | 75.6 | 82.2 | 83.1 |
パート・有期労働者 | 単体 | % | - | - | 53.0 | 70.9 | 71.2 | |
全労働者 | 単体 | % | - | - | 72.3 | 71.4 | 72.5 |
⽇本化薬株式会社と⽇本化薬労働組合は、1998年の労働協約再締結以来、現在も労使相互の信頼関係に基づいた健全な関係を維持しています。ユニオンショップ制により、管理職や契約社員など⼀部の従業員を除いた労働組合加⼊率は100%です。
会社は、組合に対し可能な限り情報を開示し、誠実に対応することを協議⽅針としており、事業運営方針や安全衛⽣⽅針等について、経営幹部より組合へ直接伝え、協議する中央労使協議会を年3回開催しています。また、中央経営懇談会も毎月開催し、会社の状況に関する情報の共有化・相互理解を深めるとともに、課題解決に向けての協議を行っています。
労使協議の内容や結果は、従業員に向けて各部⾨で速やかに伝達されるように努めています。
⼀⽅、各事業所個別の課題については、各事業場労使協議会を年1回、各事業場経営懇談会を毎⽉開催し、認識の共有と協議・意⾒交換を実施し、働きやすい労働環境の実現を⽬指しています。
会合名 | 内容 | 2024年度の開催回数 | 出席者 |
---|---|---|---|
中央労使協議会 | 会社の経営方針や決算、事業戦略、環境安全衛生方針等について、会社役員が労働組合役員に説明し、課題解決に向けて協議 | 3回 | 会社:役員、関係部門所属長、人事部 労働組合:本部役員、支部長全員 |
事業場労使協議会 | 事業場の方針や事業計画等について会社が労働組合に説明し、課題解決に向けて協議 | 1回 | 会社:事業場の経営幹部(工場長や管理部長、製造部長、技術部長など) 労働組合:支部執行委員 |
中央経営懇談会 | 会社の事業計画、新規事業、経営状況および生産・販売・研究状況、生産技術の改善、要員計画等に関する事項について会社から労働組合役員に説明 | 12回 | 会社:人事部管掌役員、人事部 労働組合:本部役員 |
事業場経営懇談会 | 事業場の事業計画、新規事業、経営状況および生産・販売・研究状況、生産技術の改善、要員計画等に関する事項について会社から労働組合役員に説明 | 12回 | 会社:事業場の経営幹部(工場長や管理部長、製造部長、技術部長など) 労働組合:支部執行委員 |
働き方に関する専門委員会 | 労働時間管理、次世代育成支援、女性活躍推進、高年齢者雇用、福利厚生制度、各種休暇制度、人事制度、人材教育、育児・介護等について意見交換し、課題解決に向けて協議 | 5回 | 会社2名、労働組合3名 |
指標 | 対象範囲 | 単位 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
組合加入者数※1 | 連結 | 人 | - | - | - | - | 3,532 |
組合員比率※2 | 連結 | % | - | - | - | - | 72 |
組合加入者数※1 | 単体※3 | 人 | 1,753 | 1,695 | 1,687 | 1,697 | 1,697 |
組合員比率※2 | 単体※3 | % | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 |
日本化薬では賃金・賞与、労働時間と休日、労働安全衛生、福利厚生、服務規律等の労働条件に関する事項は、入社時教育の必須事項としています。これらは常に社内イントラネット等に掲載しており、従業員はいつでも閲覧することができます。
また、人事労務担当者会議等を定期的に開催して、各事業場の人事担当者を通じて、従業員への情報共有や教育も行っています。こうした取り組みによって労働基準の浸透の徹底を進めています。
ハラスメントの防止と、より心理的安全性の高い職場づくりを推進するために、2024年度はマネジメント層向けのリスペクト・トレーニングを福山工場、高崎工場で実施しました。
2024年度、日本化薬(単体)における労働基準法違反が1件ありました。
2024年度、労働基準法違反の事例は1件でした。時間外労働時間が月の上限(80時間)を超えたものでした。
違反が発生後、直ちに労働組合と人事部から該当組織の上長にヒアリングするとともに、発生原因および再発防止策を確認しました。また、人事部より当該事業場に向けて人事部による労働時間管理の教育を実施しました。当該事例を他の組織に横展開するとともに、労働時間管理に関する教育をさらに強化していく予定です。
指標 | 対象範囲 | 単位 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
労働基準法違反件数 | 連結 | 件 | - | - | 1 | 0 | 1 |
労働基準法違反件数 | 単体 | 件 | - | - | 1 | 0 | 1 |
日本化薬では、次のような福利厚生制度を導入しており、従業員の生活を支援しています。
福利厚生制度 | 内容 |
---|---|
社会保険 | 健康保険、厚生年金、介護保険、雇用保険、労災保険 |
資産形成 | 財形貯蓄、従業員持株会、譲渡制限付株式インセンティブ制度 |
人材育成 | 留学制度 |
自己啓発 | 資格取得補助 |
年金 | 確定給付企業年金制度 |
住居 | 寮・借上社宅 |
育児・介護 | 休職制度、育児用品・介護関連費用補助 |
その他 | カフェテリアプラン |