日本化薬グループはレスポンシブル・ケア方針のもと、従業員一人ひとりが健康かつ安全に働き、自らの能力を最大限発揮できるように、さまざまな労働安全衛生活動と健康増進活動を推進しています。
重大事故・災害ゼロを目標として、不安全行動に着目した30秒巡視の強化と定点観察の推進をレスポンシブル・ケア重点課題に掲げて活動しています。無事故・無災害に取り組み、従業員の安全・安心を確保することは企業の責任と捉えています。
また、従業員が心身ともに健康であることは、組織の活性化や生産性の向上にもつながり、ステークホルダーの満足度を向上させるために必要不可欠なことです。業務中に取り扱う化学物質による暴露防止対策だけでなく、メンタルヘルスケアや生活習慣改善活動などを展開しています。
中期事業計画KAYAKU Vision 2025 (KV25 ) 目標達成に向け、これからも「安全はすべてに優先する」という考えのもと、日本化薬グループ一丸となって労働安全衛生活動と健康増進活動に取り組みます。
日本化薬グループは「環境・健康・安全と品質に関する宣言」に基づき、環境・安全・品質経営推進委員会を設置しています。当社グループの健康・安全に関する責任者としてテクノロジー統括管掌役員を最高責任者に任命し、RC・技術統括部が環境・安全・品質経営推進委員会の事務局となり、関連部署と連携する体制となっています。環境・安全・品質経営推進委員会では、レスポンシブル・ケア方針や計画の策定、職場の労働安全衛生環境の改善、健康増進活動、防火・防災、快適な職場づくりなどを議論します。環境・安全・品質経営推進委員会で審議された労働安全衛生・健康経営に関わる重要事項は、サステナブル経営会議の承認を経て、取締役会に付議・報告されます。
環境・安全・品質経営推進委員会に関連して、環境保安担当者委員会を設置しています。環境保安担当者委員会はRC・技術統括部長が委員長、RC・技術統括部が事務局となり、各事業場・グループ会社に配置している環境保安部・環境保安担当者と連携し、日本化薬グループ全体および各事業場・グループ会社の労働安全衛生管理および健康増進活動について情報や問題点を共有し、日本化薬グループ全体の重要事項や問題点を議論して改善や向上に取り組んでいます。
さらに事業場・グループ会社単位で労使合同の環境安全衛生委員会を毎月1回開催しています。環境安全衛生委員会では各拠点の課題や問題点、その解決策の立案について、労使双方が議論し、合意形成を図っています。
また、日本化薬と日本化薬健康保険組合は互いに連携して協力し合いながら、従業員とその家族の健康維持、健康づくりを効果的かつ効率的にサポートすることを目的としてコラボヘルス連絡会を設置し、健康増進に関する情報交換や報告、審議等を行っています。
日本化薬グループは連結子会社である化薬(湖州)安全器材において、労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格であるISO45001の認証を取得しています。2024年度における対象組織の認証取得割合は5%です。なお、認証を取得していない事業所にも、ISO45001と同レベルの労働安全衛生マネジメントシステムがあります。
事業場 | 取得年月 | 審査登録機関 | 認証番号 |
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化薬(湖州)安全器材 | 2023年1月 | NQA | 132021 |
カバー率※ | 5% |
こちらの表は横にスクロールできます。
サステナビリティ 重要課題 |
目指す SDGs |
アクションプラン | 重要指標(KPI) | 2025年度 到達目標 |
実績 | 2024年度 取り組みに関するトピックス |
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2023年度 | 2024年度 | ||||||
職場の労働安全衛生 |
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重大事故災害件数※ | 0件 | 0件 | 0件 |
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健康経営優良法人(大規模法人部門)認定取得 | (単)認定取得継続 | (単)認定取得継続 | (単)認定取得継続 | ||||
メンタルヘルス研修受講率 | (単)100% | 3ヶ年計画の1年目を計画通りスタート | 3ヶ年計画の2年目を計画通りスタート | ||||
定期健康診断受診率 | (単)100% | (単)100% | (単)100% |
項目 | 目標 | 結果 | 評価 |
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・重大事故・災害 | ゼロ | ゼロ | 〇 |
・重大交通事故 | ゼロ | ゼロ | 〇 |
1. レスポンシブル・ケア重点課題 | 30秒巡視の強化と定点観察の推進(活動状況の見える化による活性化) | 活動の見える化状況の確認中(一部見える化が十分でない事業場あり) | △ |
2. 「事故災害ゼロ」へ向けた取り組みの推進 | リスクアセスメントおよび改正労働安全衛生法に重点を置いた診断方法の推進 | 予定していた事業場の診断を実施した。 | 〇 |
熱中症対策の水平展開 | 熱中症対策会議を開催し、防爆エリアで使用可能な水冷ベストのテストを実施した。 | 〇 | |
AIを用いた危険源推定システムの調査と選定 | 調査および費用対効果も含めて選定の準備を開始した。 | △ | |
3. 職場の労働安全衛生環境の改善 | 改正労働安全衛生法への適正対応 | 環境保安担当者委員会等で実施状況の情報の共有化を行い、環境安全衛生診断でチェックリスト作成し進捗確認した。 一部事業場で保護手袋の選定に課題があった。 |
△ |
項目 | 目標 | 結果 | 評価 |
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3. 職場の労働安全衛生環境の改善 | ストレスチェック組織分析による高ストレス職場の把握とフォロー推進 | 2024年7月に実施済み | 〇 |
健診結果のデータベースの適正運用 | 設定は概ね完了したものの、一部事業場の追加対応中。 | △ | |
健康経営の推進 ・特定保健指導受診率20%以上 ・健康イベント参加率50%以上 |
・特定保健指導受診率41.2%(2023年度実績) ・健康管理コンクール参加率74.5% |
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日本化薬では、新規作業・設備の導入時および、既存作業・設備の変更時に安全審査によるリスク評価を実施し、その評価結果に基づく安全対策を行っています。また、化学プロセスや反応設備に対しHAZOP※による安全性評価を行い、危険要因を分析しています。
日本化薬の各事業場および一部のグループ会社では、年間計画に基づき内部監査として環境安全衛生診断を実施しています。環境安全衛生診断には、原則として労働組合本部および被診断事業場・グループ会社の労働組合支部が参加します。
環境安全衛生診断では、環境保安部・環境保安担当者・労働組合を中心とした診断チームがレスポンシブル・ケア方針・計画に対する進捗状況や活動の実績などを会議・書類・現場巡視を通して確認します。
労働組合側からの視点でも問題点などを指摘し、労使一体となった安全衛生水準の向上を図っています。
2024年度は環境安全衛生診断を現地で実施しました。レスポンシブル・ケア進度確認表を用いたレスポンシブル・ケア活動の進捗、過去の事故事例の原因究明をもとに再発防止を目的とした潜在リスクの洗い出しや、製造工程のリスクアセスメント実施状況について重点的に確認しました。
今後も従業員が心身ともに健康で安心して働くことができる職場環境の整備に向け、労使間の対話を重視して取り組んでいきます。
日本化薬グループでは、法令およびレスポンシブル・ケア年間計画に基づき安全衛生教育を職務別・階層別に実施しています。日本化薬グループの安全衛生教育は、新入社員や各事業場で異動になった従業員を対象とした転入時受入教育、職場を異動になった従業員を対象にした作業前の安全教育、新任管理者向けの安全教育、各工場で実施されている職長教育、化学物質のリスクアセスメント等を用いた化学物質およびその取り扱いの教育、さらには化学の基礎や法令に関する教育など多岐に渡っています。
教育の方法もオンライン(eラーニングや外部講習受講)とオフライン(集合教育や現場でのOJT)を使い分け、効率的かつ効果的に実施することで従業員の安全衛生に対する意識向上を図っています。
新入社員研修 | |
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内容 | 安全管理の基本ルール |
受講者数 | 72名(男性:60名、女性:12名) |
総研修時間 | 1時間 |
新任管理職研修 | |
内容 | •職場の安全配慮義務を中心とした安全管理 •日本化薬レスポンシブル・ケア活動で管理者として知っておくべきこと •環境・気候変動に対する日本化薬グループの取り組み |
受講者数 | 29名(男性:28名、女性:1名) |
総研修時間 | 1時間 |
日本化薬グループの全従業員が「健康経営」の基本である「定期健康診断」を受診し、健康診断の後に面談が必要と産業医が判断した従業員に対して面談を行い、健康管理についての助言・指導をしています。
また、指定された化学物質を取り扱う従業員には特殊健康診断を実施しています。取り扱う化学物質の有害性データをデータベース化し、蓄積したデータの情報を基にリスクアセスメントを実施して、事故・健康被害を防止しています。さらに各事業場では、従業員の健康保持増進のため、「心とからだの健康づくり」であるTHP※を推進しています。従業員それぞれの生活習慣を見直し、継続的に計画的な健康づくりをすすめることで、より健康に生活できることを目標にしています。健康体力測定、健康管理コンクール、ウォークラリー、ハイキングなどを実施しています。
指標 | 対象範囲 | 単位 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 |
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定期健康診断受診率※ | 単体 | % | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 |
業務生産性の向上と付加価値創造の達成を両立させるためには、従業員が活き活きと働ける職場環境と心身の健康が不可欠です。
日本化薬では、2005年に社長名で「メンタルヘルスケア体制の導入宣言」を発信し、管理者への指導を徹底してきました。メンタルヘルスケアは、全従業員が継続的に正しい知識・認識を得て、メンタル不調者の早期発見・予防に努めることが重要です。そこで「メンタル不調を予防することを第一に考える」取り組みを重点的に行っています。
EAP※委託業者から講師を招き、2005年度にメンタルヘルス研修を開始、2006年度からは全従業員が受講できるように3年計画で実施しています。営業職等で集合研修が難しい職場や聴覚に障害のある従業員に対してはeラーニングを併用して受講しやすくする取り組みを行っています。メンタル不調によって休養を余儀なくされた方の職場復帰は「復職プログラム」を策定し、職場の上司・産業医・カウンセラーが連携し、再発予防を念頭においたスムーズな職場復帰を支援する体制を整えています。
2015年度からは労働安全衛生法改正に伴いストレスチェックを年1回実施し、毎年97%以上の従業員が受検しています(2024年度ストレスチェック受検率96.6%)。ストレスチェックの結果は個人のストレス状況の把握だけでなく、組織ごとの分析も実施することで高ストレス職場の把握とフォローを行っています。
指標 | 対象範囲 | 単位 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 |
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ストレスチェック受検率※ | 単体 | % | 97.2 | 98.1 | 97.9 | 98 | 96.6 |
高ストレス者割合 | 単体 | % | 9.5 | 10.6 | 10 | 10.1 | 10.1 |
メンタルヘルス関連投資額 | 単体 | 百万円 | 11 | 13 | 12.6 | 12.6 | 10.8 |
日本化薬は、今まで産業医の選任が必要のない事務所※の健康管理では、法定健診および日本化薬健康保険組合の成人病健診の受診後の産業医面談を各地域の拠点となる事務所で実施できていませんでした。そこで、2013年度に産業医の選任がされていない事務所への対応を検討し、本社産業医が出張し従業員との面談をすることにしました。
2014年からは、本社産業医が年1回全国の事務所の巡回を始めました。産業医面談の年間日程を決め、事務所だけでなくウェブ会議システムも活用して面談を実施しています。
日本化薬および一部のグループ会社では、2018年度から全社健康管理コンクールを開催して従業員の健康増進活動に取り組んでいます。2024年度は日本化薬グループ全体で2,603人(参加率74.2%)が参加しました。
全社健康管理コンクールは、毎年3月に実施しています。従業員が日々の健康活動の取り組みを1か月間記録して点数化し、各事業場およびグループ会社の環境保安部が取りまとめ、環境安全推進部で結果を集約・分析しています。取り組み項目は、朝・昼の体操、日常生活での食事、歯磨き、睡眠、歩数の他、娯楽やスポーツなど多岐にわたります。参加方法は個人での参加だけでなくチームでの参加も募って開催しています。
今後も全社健康管理コンクールの開催を通じて、従業員の健康維持・向上を支援します。
単位 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | ||
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日本化薬 | 参加者 | 人 | 1,566 | 1,976 | 2,105 | 2,096 | 2,242 |
参加率 | % | 51.4 | 65.1 | 69.2 | 70.1 | 74.5 | |
グループ会社 | 参加者 | 人 | 263 | 82 | 317 | 348 | 361 |
参加率 | % | 57 | 32.4 | 65 | 69.6 | 72.8 | |
日本化薬グループ全体 | 参加者 | 人 | 1,829 | 2,058 | 2,422 | 2,444 | 2,603 |
参加率 | % | 52.1 | 62.6 | 68.6 | 70 | 74.2 |
日本化薬は経済産業省と日本健康会議より「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業」として評価され、健康経営優良法人2025(大規模法人部門)※に認定されました。
日本化薬は従業員の健康保持・増進のために、定期健康診断受診率100%の維持やストレスチェック、メンタルヘルス研修など多くの取り組みを実施してきました。健康増進のための取り組み課題を抽出し、この課題に対して健康診断結果改善の取り組みや受動喫煙対策、全従業員による健康づくりイベントなど、多くの施策を実施したことが評価され、認定を受けるに至りました。
日本化薬では従業員の健康増進は、企業の繁栄とステークホルダーの満足度向上に必要不可欠なものと考え、引き続き健康経営に積極的に取り組んでいきます。