企業を取り巻く事業環境は日々変化しており、複雑かつ不確実性が高まる中、多種多様なリスクに直面しています。日本化薬グループは生産体制の維持、原材料の適正確保、災害対策の強化により事業継続性を確保することで、事業に関わるさまざまなリスクの顕在化を未然に防止し、リスクによる影響の最小化を図ります。
災害等の緊急事態の発生から「目標期間内に事業を復旧する」ために、本社、各事業部や工場においてBCPマニュアルを制定するとともに、海外事業場のBCPマニュアルの整備を推進しています。
日本化薬グループは、リスクの顕在化を未然に防止し、リスクによる影響を最小化するためにサステナブル経営会議の専門委員会として「危機管理委員会」を設置し、年2回(必要があれば随時)開催しています。
危機管理委員会は、社長の指名を受けた役付執行役員を委員長とし、各事業領域企画部および事業領域に属さない一般管理部門の各部の代表者から構成され、日本化薬グループの企業経営、事業活動が甚大な損害を受けるリスクの未然防止、緊急事態発生時の対応、収束後のダメージ修復活動等の危機管理体制を構築・管理しています。危機管理委員会で議論された内容のうち、重要な事項はサステナブル経営会議および取締役会に報告されフィードバックを受けています。
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サステナビリティ 重要課題 |
アクションプラン | 重要指標(KPI) | 2025年度 到達目標 |
実績 | 2024年度 取り組みに関するトピックス |
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2023年度 | 2024年度 | |||||
リスクマネジメント |
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事業領域リスクコントロール活動・TOP5リスクコントロール活動実施率 | 100% | 100% | 100% |
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BCP訓練実施回数 | 1回以上/年 | 3回 | 3回 |
日本化薬グループは重要なリスクを特定し、コントロールするために「事業領域リスクコントロール活動」と「TOP5リスクコントロール活動」を以下の通り年間を通じて実施しています。
「事業領域リスクコントロール活動」は、3つの事業領域、研究開発部門と本社管理部門を対象としています。各事業領域、各部門で事業運営の視点から事業活動に大きな影響を与えるリスクを抽出し、対応策を検討します。
「TOP5リスクコントロール活動」は、工場・研究所などの国内全事業所と海外を含めたグループ会社を対象としています。現場である各事業場の視点から特に重要なリスクを5つ抽出し、対応策を検討します。
各事業領域および各事業場で特定したリスクと対応策は、危機管理委員会の事務局である内部統制推進部へ報告します。内部統制推進部では網羅的にリスクの傾向を把握・分析し、重要なリスクとその対策は危機管理委員会での議論を経て決定され、サステナブル経営会議および取締役会へ年2回進捗および活動を報告しています。
日本化薬グループでは、事業活動に影響を及ぼす可能性のあるリスクに関して、「事業領域リスクコントロール活動」で取り上げた各事業領域、各部門のリスクから事業特性や地政学的リスクやビジネスを取り巻く環境を考慮してリスクを抽出しています。経営戦略、自然災害・気候変動対応、コンプライアンスに係るリスクを主要なリスクとし事業の継続や持続的な成長、企業価値向上に向け重要なリスクとして次の13項目を取り上げ課題とその対策に取り組んでいきます。緊急時においては、危機管理委員会を立ち上げ、グループとして迅速かつ適切に対応できる体制を構築しています。(緊急事態発生時の対応と危機管理体制の構築・管理についてはこちらをご覧ください。)
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2024年度全社重要リスク | ||
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リスク分類 | No. | リスクカテゴリー |
経営戦略に係るリスク | 1 | 原材料の調達 |
2 | 製品の品質 | |
3 | 事業環境変化 | |
4 | 事故発生 | |
5 | 研究開発 | |
6 | 規制・政策の変更 | |
7 | 関税の変更および為替レート変動 | |
8 | 知的財産 | |
9 | 情報漏洩 | |
10 | コンピュータシステムの停止 | |
自然災害・気候変動対応に係るリスク | 11 | 自然災害 |
12 | 気候変動対応 | |
コンプライアンスのリスク | 13 | 法令違反等コンプライアンス |
日本化薬グループは、サステナブル経営におけるリスクと機会を適切に把握し、リスクを低減するとともに新たな事業機会の獲得と事業成長につなげていく必要があると考えています。
この認識のもと、日本化薬グループサステナビリティ重要課題のリスクと機会およびTCFD・TNFD提言に基づく情報を開示しました。事業を通じて環境・社会課題の解決に取り組むことで、持続可能な社会の実現とさらなる企業価値の向上を目指します。
今後も事業活動の多様化や環境・社会課題の変化に適切に対応するために、リスクと機会を定期的に見直し、情報開示の量と質の充実に努めていきます。
日本化薬グループでは、リスク意識の向上を図り、リスクを最小限に抑えるよう継続的にPDCAサイクルを回す活動の一環として、すべての役員・従業員(契約社員、パート社員含む)および派遣社員を対象に年度ごとに研修を実施しています。また、新入社員や新任管理職、海外赴任者にはリスクマネジメント教育研修を別途実施しています。
企業活動に重大な影響を与えるようなリスクに備えて「危機管理規程」を制定し、危機管理体制を整備しています。
また、「危機管理規程細則」にさまざまなリスクに対する予防および対応マニュアルに則り、緊急事態が発生した際に的確な対応が可能となるよう体制を構築し、危機管理に努めています。
日本化薬グループでは、自然災害や感染症等に備えて、BCP基本マニュアルを制定しています。それを基に国内外の事業部、工場やグループ会社においてそれぞれBCPマニュアルを制定し、より実効性を高めるため定期的に見直しを行っています。
日本化薬グループでは、緊急事態が発生した際に被害を最小限に抑え事業を継続し速やかに復旧するために、国内外でBCP訓練を実施しBCPマニュアルの有効性を確認するとともに実行性や従業員の意識向上に努めています。日本国内では、事業領域を管掌する役員を対策本部長とするBCP訓練を毎年実施しています。2024年度はファインケミカルズ事業領域においてブラインドシナリオ型のBCP訓練を社長、危機管理委員長の同席のもと実施しました。訓練は、関東地方で地震が発生したことを想定し、本社、研究所、工場の関係する部署で連携し、災害や被災状況や顧客などさまざまな情報を収集して本社および工場・研究所で共有しました。対策本部長の迅速かつ適切な判断、指示が実行され、事業継続計画の有効性を確認しました。
中国では、化薬化工(無錫)において、工場内で火災による被害が発生した想定でBCP訓練を実施しました。無錫先進化薬化工と上海化耀国際貿易では、台風被害を想定したBCP訓練を2社で連携して実施しました。いずれの訓練でも確認した課題や懸念事項について、今後の訓練に生かすとともにBCPマニュアルの修正等の改善を行いました。また、無錫宝来光学科技、化薬化工(無錫)、無錫先進化薬化工と化薬(湖州)安全器材では、従業員の事業継続の意識を高める目的で緊急時の初動対応に関する勉強会を実施しました。今後も、さまざまな場面を想定したBCP訓練を実施し、危機対応力の向上に努めます。