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ファインケミカルズ事業領域
近年では産業や⽣活といったあらゆる場⾯で、利便性向上・効率化を⽬的としたデジタルへの移⾏や、環境に配慮した新製品の開発などが進んでいます。ファインケミカルズ事業領域では、こうした社会の動きに⽋かせない機能性材料や、⾊素材料、触媒といった製品を取り扱い、技術の進歩や新しい価値の創造を⽀えています。
機能性材料事業
AI革命で高性能化が
期待される
半導体向けに
欠かせない高純度な
「樹脂材料」を開発
半導体の高度化・小型化に
ともなう課題
データ通信の高速化やAIによる高度な計算に対応するため、半導体にはこれまで以上の性能が求められています。限られたスペースに膨大な機能を詰め込むために、チップの小型化と回路の細分化が限界まで進んでいます。その結果、半導体はかつてないほど繊細になり、目に見えないほどのわずかなホコリや外部からの衝撃が致命的な故障を招きかねません。「極限まで性能を高めること」と「安定した品質を維持すること」の両立が、現在の開発における大きな課題となっています。
課題の解決に貢献する
重要な樹脂材料
半導体チップは、「封⽌材」で包み保護した状態で「基板」に取り付けられて、電⼦機器の回路として機能します。デリケートなチップを湿気や熱、物理的衝撃から守ることで、最終製品の⻑期的な安定稼働を⽀えられます。⾼品質な半導体を実現するうえで、何より不可⽋なのが、封⽌材や基板の主原料である「樹脂」の純度です。樹脂に含まれる不純物を徹底的に排除することで、極めて微細な回路も設計通りに機能させることが可能となります。この「樹脂の純度」へのこだわりこそが、製品の良品率(歩留まり)向上、ひいては半導体の信頼性を左右する決定的な要素となっているのです。
著しい成長と変化を
続ける半導体市場の
ニーズに
オーダーメイド型の
研究開発で
的確に応える
機能性材料事業は、半導体を保護するエポキシ樹脂をはじめ、⽣産⼯程での不純物を取り除くクリーナー、そして半導体製造装置などを幅広く提供しています。特にエポキシ樹脂(環境対応型半導体封⽌⽤途)においては、世界トップシェアを誇る実績があります。この強みは、純度が⾼く⾼品質に製造できる独⾃のノウハウにあります。さらに営業と技術者が緊密に連携し、研究所のニッチな領域のプロフェッショナルがお客様の要望に応えるオーダーメイド型の研究開発を迅速に⾏うことで、新しい技術や素材をいち早く形にできる開発スピードも⼤きな特徴です。近年では、環境関連テーマの創出にも注⼒しており、バイオマスを原料とした新しい環境配慮型樹脂の開発にも取り組んでいます。
主な製品紹介
エポキシ樹脂
熱を加えると硬化する、熱硬化性樹脂の一つです。電気絶縁性を持つため、半導体を外部要因から保護するための電子部品の素材として使われています。当社の高純度エポキシ樹脂は、高度な電気信頼性が必要になる半導体封止材に加え、最近では半導体パッケージ基板用途の需要が広がっています。
半導体向けクリーナー
ドイツに本社を置くHenkel社より譲り受け、2020年より開始したクリーナー事業。クリーナーとは、化学製品を使った洗浄液を指します。今後は、半導体製造プロセスにおいて、クリーナー領域である、レジスト部分を溶かす・取り除くために使われる液体の動向を注視し、需要に対して確実に訴求できるよう努めていきます。
半導体製造装置
半導体の製造工程における、シリコンウエハーとレジストフィルム、バックグラインドテープなどの貼り合わせに使用する装置をファウンドリ企業に提供しています。当社はハードもソフトも開発しているため、お客様のご要望に合わせて最適化できるのが強みです。効率的で精密な生産に欠かせない装置として、お客様から高い評価を得ています。
色素材料事業
インクジェットで
色彩豊かな暮らしに貢献
染料技術を基盤とする
「色素材料」を提供
社会が求める色素材料の進化と
持続可能な社会への課題
色素材料の用途は、紙や繊維からプラスチック樹脂、さらにはカメラのイメージセンサーへと、時代の変化とともに多様化し、色彩豊かな社会の実現に寄与してきました。一方で、これまで印刷や塗料の分野では、溶剤に大量の揮発性有機化合物(VOC)を含む「油性タイプ」が主流でした。これらは高効率な生産や高い耐久性を実現してきましたが、同時に深刻な課題も抱えています。VOCは大気中に放出されると光化学スモッグやPM2.5の原因となるほか、人体に対してもシックハウス症候群や発がん性など、作業者の健康を脅かすリスクが指摘されているのです。
VOCによる負の影響
機能性が高く環境にも優しい
水系顔料インク
こうしたVOCに関する課題を解決し、次世代のスタンダードとして期待されているのが「⽔系顔料インク」です。⾊素材料は、⼤きく「染料」と「顔料」に分けられ、さらにそれらを溶解・分散させる溶剤によって「油系」と「⽔系」に分類されます。染料が液体に溶け込む「砂糖」のような性質をもつのに対し、顔料は液体に溶けず粒⼦として存在する「砂」のような性質をもつため、紙や繊維だけでなく幅広い素材に着⾊できます。加えて、優れた耐⽔性と耐光性を備えており、産業界でのニーズが急速に⾼まっています。さらに、溶剤を油系から⽔系へと転換することで、VOCの排出量を極めて低レベルに抑えることが可能となります。優れた堅牢性という「機能的な価値」と、環境負荷の低減という「社会的な価値」。この両⽴を実現したことで、⽔系顔料インクは持続可能な社会を⽀える基幹材料として、その存在感をますます⾼めています。
「染料・顔料」「油系・水系」の違い
| 染料 | 顔料 | |
|---|---|---|
| 性質 | 溶剤に溶ける | 溶剤に溶けない |
| 色の付き方 | 染み込む | 表面に乗って固着する |
| 耐水性 | △ | ◎ |
| 耐光性 | △ | ◎ |
| 油系 | 水系 | |
|---|---|---|
| 溶剤 | 有機溶剤 | 水 |
| VOC排出量 | 多い | 極めて少ない |
| 大気リスク | 高い | 低い |
| 健康リスク | やや高い | 低い |
水系顔料インクに
特化
大手メーカーが選ぶ
日本化薬の色素材料
⽇本化薬は、⻑年培ってきた⾼度な⾊素合成技術をコアに、インクジェットプリンター用色素や、イメージセンサーの主要な材料となる機能性⾊素を製造しています。この技術⼒を活かし、環境負荷の低い⽔系顔料インクの開発に特化することで、業界内の優位性を確⽴しています。この⽔系顔料インクは、揮発性有機化合物(VOC)を⼤幅に削減した環境性能を誇りながらも、優れた発⾊性と⾼い堅牢性を両⽴しています。現在、商業印刷向けのコート紙対応インクに加え、⾷品包装に使⽤される軟包装材向けインクの開発にも積極的に取り組んでおり、市場のニーズの対応範囲を広げています。⽇本化薬の技術⼒が⼤⼿プリンターメーカーから⾼く評価され、選ばれ続ける背景には、顧客の真のニーズを正確に捉える⾼い市場洞察⼒と、製品化を迅速に⾏う開発スピードの早さがあります。これらの強みが環境配慮と⾼性能を兼ね備えた製品を通じて、⾊素材料分野の進化を⼒強く牽引しています。
主な製品紹介
コンシューマインクジェット用色素
家庭やオフィスで使用されるカラーインクジェットプリンターは、今もなお進化を続けています。当社の製品は、色をより鮮明に表現できるほか、紙への定着性、印刷物を長く使えるようにするための耐光性に優れています。また、在宅勤務の多い海外での需要も高まっており、インクジェットによって多様な働き方を支えています。
産業用インクジェットインク
少部数で短納期での対応を可能とする産業⽤インクジェットプリンター。版を作成しないため洗浄が不要であり、必要な量のインクのみを消費することから、環境に優しい印刷⽅法とされています。紙への印刷だけでなく、⾦属や樹脂、ガラス、包装フィルムへの印字も可能です。
機能性色素
⾊素合成技術を活かして、⾊を表現する以外の機能をもつ製品開発にも注⼒しています。すでに、透明・遮光を切り替えられる調光ガラス⽤⼆⾊性⾊素を上市し、⾞載⽤途への販売が始まっています。
触媒事業
紙おむつから水族館の
巨大水槽まで
化学素材を
ムダなく生み出す
「収率」を向上
望む物質を得るための化学反応と
無視できない効率の壁
私たちの⾝のまわりにある製品の多くは、化学反応によって⽣み出された有⽤な物質から作られています。しかし、こうした反応の多くには共通の課題があります。それは、反応の進⾏に膨⼤なエネルギーが必要なこと、あるいは反応速度が極めて遅く、効率的・経済的な⽣産が難しいという点です。例えば、反応を促すために⾼温・⾼圧の状態を維持するには、多額の燃料費や設備費がかかるだけでなく、安全性への配慮も⽋かせません。また、反応に時間がかかれば⽣産性は低下します。そのため、より少ないエネルギーで、迅速かつ⼤量に⽬的の物質を作り出す、効率的で持続可能な⼿段が強く求められています。
効率の壁を打ち破り
現代の製造業を支えるキーテクノロジー「触媒」
これらの課題を解決し、化学反応の効率と経済性を劇的に向上させる存在が「触媒」です。⼀般に、化学反応を進⾏させるには、過酷な条件が求められます。例えると「乗り越えなければならない⾼い壁」が存在する状態です。ところが、触媒はこれを回避し、別のルートとして「より低い壁」を⽤意してくれます。これにより、本来は膨⼤なエネルギーが必要な反応も、常温・常圧といった穏やかな環境下でスムーズに進めることが可能になり、反応スピードは数百、数千倍にも加速されます。さらに重要な特徴は、触媒は反応を促進させる⼀⽅で、⾃⾝は最後までほどんど変化しないという点です。繰り返し使⽤できるため、環境負荷の低減と経済性を両⽴させる究極のツールといえるのです。
独自の知財戦略で
世界をリード
グループの
収益基盤を支える、
世界シェアNo.1の
触媒事業
世界最高水準の技術力を背景に、高収率※1と長寿命を両立した触媒を開発。アクリル酸・メタクリル酸(直酸法※2)製造用触媒において、世界シェアNo.1の地位を確立しています。当社の強みは、単なる製品供給にとどまりません。ユーザー現場での実践的な技術サポートに加え、事業・研究・知財が三位一体となった「多面的な知財戦略」を構築。触媒そのものはもちろん、製法、プラント運転、ビジネスモデルに至るまで網羅的に保護することで競争優位性を確立しています。現在は、バイオエタノール由来のプロピレン製造や水素製造など、脱炭素社会に貢献する次世代型触媒の開発を加速。持続可能な社会の実現に向け、さらなる進化を続けています。
※1 収率…物質をムダなく生み出す割合のこと
※2 直酸法…経済性に優れて環境負荷の少ない製造法の一つ
主な製品紹介
アクリル酸製造用触媒
紙おむつに使われるSAP(高吸水性樹脂)のほか、染料やコーティング剤、接着剤などの原料になるアクリル酸の製造用触媒であり、世界シェアNo.1です。また、アクリル酸を製造する途中には、家畜の飼料の原料となるアクロレインという液体が生成されます。このアクロレイン製造においても、当社の触媒は世界シェアNo.1を誇ります。
メタクリル酸製造用触媒
水族館の巨大なアクリルガラスや、自動車向けのトップコート塗料などの原料になるメタクリル酸の製造用触媒であり、経済性に優れて環境負荷の少ない製造法の「直酸法プロセス」において世界トップクラスのシェアを誇っています。







