日本化薬株式会社(東京都千代田区、社長:涌元 厚宏、以下「日本化薬」)は、ネシツムマブ(ヒト型抗EGFRモノクローナル抗体、以下「本剤」)について、この度、がん薬物療法後に増悪した
EGFR 遺伝子増幅陽性の切除不能な進行又は再発の食道癌及び胃癌患者を対象とした国内第II相試験において、食道癌コホートを開始しましたのでお知らせいたします。
本試験は、血液検体を用いたがん遺伝子パネル検査(Comprehensive genomic profiling)により
EGFR 遺伝子増幅陽性と判定された食道癌及び胃癌患者を対象に本剤の有効性及び安全性を評価する単群の国内第II相試験です。
本試験は、特定臨床研究・先進医療BであるWJOG15021M試験(
EGFR 遺伝子増幅陽性切除不能固形がんに対するネシツムマブの第II相バスケット試験)の結果に基づき計画されました。
本試験の詳細は、WEBサイト(
https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCT2031240655)をご覧ください。
日本化薬は、
EGFR 遺伝子増幅陽性と判定された食道癌及び胃癌治療に新たな選択肢を提供できるよう、本剤の開発を加速させてまいります。
以 上
ネシツムマブについて
ネシツムマブは、ヒト上皮成長因子受容体(EGFR)に対する遺伝子組換えヒト免疫グロブリンG1(IgG1)モノクローナル抗体であり、ヒトEGFR(HER1)に結合し、EGFRを介したシグナル伝達を阻害することにより、腫瘍の増殖を抑制すると考えられます。
日本においては、2019年6月に「切除不能な進行・再発の扁平上皮非小細胞肺癌」の適応で承認を取得し、2019年11月よりポートラーザ
Ⓡ点滴静注液800mgとして販売しております。
EGFR 遺伝子増幅について
EGFR 遺伝子は、がん遺伝子の1つであり、EGFRは臨床腫瘍学における重要な治療標的です。
EGFR 遺伝子増幅は、複数の癌腫に認められていますが発現頻度は非常に低く、
EGFR 遺伝子増幅が認められる場合、生存期間が短く予後不良と関連していると言われています。さらに、
EGFR 遺伝子増幅によるEGFRの機能的活性化は、多くの腫瘍で確認されており、増殖、浸潤及び転移と関連しています。
1)
現時点で
EGFR 遺伝子増幅を標的とした治療法はないため、
EGFR 遺伝子増幅を標的とした治療薬の開発が望まれています。
WJOG15021M試験(特定臨床研究・先進医療B)について
西日本がん研究機構(WJOG)が主導したEGFR遺伝子増幅陽性食道・胃・小腸・尿路上皮・乳がんに対するネシツムマブの有効性・安全性・POCを評価した試験です。
参考文献
1) Kato S, Okamura R, Mareboina M, Lee S, Goodman A, Patel SP, et al. Revisiting Epidermal Growth Factor Receptor (EGFR) Amplification as a Target for Anti-EGFR Therapy: Analysis of Cell-Free Circulating Tumor DNA in Patients With Advanced Malignancies. JCO Precis Oncol. 2019;3.
[本件に対するお問合せ先]
日本化薬株式会社 コーポレート・コミュニケーション部
TEL:03-6731-5237