日本化薬グループは、東証の「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」についての要請を受けて、「収益力の強化」・「資本効率の向上」・「持続可能な社会への貢献」を3本柱に、様々な施策を講じています。具体的には、各事業領域における需要増への対応や新製品の拡大によって収益力を高め、資本政策と合わせてROEの向上に努めています。また、サステナブル経営を推進する企業として、人材育成とその活用に注力しながら、環境側面をはじめとする事業等のリスク低減に努めていきます。
高成長分野における競争優位性の高い製品の拡販により収益力を強化する
自己資本コントロール 早期に自己資本を2,500億円未満まで圧縮
ROICを用いた部門別管理(全社ROIC 10%以上)の推進
持続可能な成長を支える人材育成とサステナブル経営の実現
日本化薬グループの自己資本比率は、2022年頃までは80%に近い高い水準で推移していましたが、70%程度を適正とみなし、負債の活用等を視野に入れた場合は60%までを許容する考えのもと2024年度末には71.6%まで抑えられています。現預金の積み増しの抑制、売上債権の縮小、棚卸資産の削減など流動資産のコントロールを含めて、今後も適切な財政状態を維持してまいります。
KV25(2022~2025年度)累計のキャッシュ・アロケーションは、合計2000億円+αとなる枠を設定しています。キャッシュインでは有利子負債調達と政策保有株式売却による収入も視野に入れながら、キャッシュアウトでは将来に向けた投資に必要十分な金額を想定するとともに、株主還元の強化を進めてまいります。
KV25(2022~2025年度)期間には、モビリティ&イメージング事業領域のインフレータや、ファインケミカルズ事業領域のエポキシ樹脂など、主力製品における旺盛な需要に対応するため、積極的な増産投資を実施しています。また、ライフサイエンス事業領域の高崎工場において、医薬品の品質保証をいっそう強化するため、新たに統合品質管理棟を整備しました。これらの設備投資について、4年間の累計計画はほぼ予定通りに進捗しています。
日本化薬グループはROICの部門別管理により資本効率の高い経営を目指しています。全社ROIC及び部門別ROICをモニタリングするとともに、投資効果を重視した設備予算の実施判断や、売掛債権圧縮による回収サイトの短縮、棚卸資産の削減等について、経営判断から現場の活動まで多角的に取り組んでいます。
2030年度実績 | 2024年度実績 | 2025年度 見通し |
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営業利益※1 | 73億円 | 204億円 | 200億円 |
全社ROIC※2 | 2.7% | 7.1% | 6.9% |
政策保有株式については保有の意義を精査して、ビジネスに不要なものについては売却を進める方針です。2023年度は日経平均株価の上昇により保有額が想定外に増加しましたが、2024年度は目標とする純資産比率10%以下を達成しています。
日本化薬グループは株主の皆様への還元を重視し、配当性向40%以上となるように累進的な配当を実施する方針です。また自己株式の取得を機動的に実施し、ROE8%の達成までの期間は総還元性向100%以上を基準とする考えです。
2025年4月から2年間において、320億円程度の自己株式取得を目指し、2025年度は170億円を上限とする自己株式の取得を実施中です。なお、発行済株式の0.5%を超える自己株式は、速やかに消去いたします。