環境マネジメント

方針・基本的な考え方

日本化薬グループの環境への取り組みは、地球環境保全への貢献としてKAYAKU Vision 2025 のサステナビリティ重要課題の一翼を担うものであり、レスポンシブル・ケア方針に掲げた目標を重点課題として推進しています。その活動は、国内外の環境に関連した法令や規則ならびに合意した協定等を遵守し、製品の開発や製造工程、事業活動等で発生する環境リスクを想定しながら、環境負荷の低減と汚染の予防、省エネルギー、気候変動、省資源、廃棄物削減等に配慮したもので、地球環境保全に貢献する全社的な取り組みです。

日本化薬グループのレスポンシブル・ケア

日本化薬グループは安全をすべてに優先させることを全役員・全従業員の共通の認識とし「環境・健康・安全と品質に関する宣言」に沿って、日本国内だけでなく海外現地の法令を遵守し、環境・安全に関わる事故災害の未然防止を図っています。

「日本化薬グループ レスポンシブル・ケア年度方針」は、2019年度以降継続して取り組むべき方針をベースにして、年度ごとに日本化薬単体および国内グループ会社が「環境・安全・健康」を確保するために、サステナビリティ重要課題を補完する目標とその達成に向けた取り組みを確認し策定しています。
日本化薬グループでは、本方針のもと今後もレスポンシブル・ケア活動を推進していきます。

日本化薬グループ レスポンシブル・ケア年度方針
(環境関係を抜粋)

目標

重大環境事故・災害:ゼロ

1. レスポンシブル・ケア重点課題
  • 全グループのScope1+2 CO2総排出量115,386t 以下(全社CO2削減率:12%以上;対2019年度比)
  • ゼロエミッション率1%以下(日本化薬単体)
4. 環境目標達成に向けた活動推進
  • 外部への気候変動関連開示の強化
  • Scope3 削減の対応強化(原料排出量開示要請の拡大、トンキロ算定精度の向上、廃棄物排出量算定方法の見直し)
  • MFCAの推進強化(適用事業場の拡大)
  • クラウド型環境情報データ集計システムの適正運用
  • 各事業場でのScope1+2 CO2排出量の年率3%削減
  • 製品製造時CO2排出量算定方法の確立
  • プラスチック廃棄量削減目標化と対策の実施

体制

環境マネジメントシステムの認証取得状況

日本化薬グループでは、環境管理の国際規格であるISO14001の認証取得継続を進めており、環境に配慮して製品の開発・製造を行い、サービスを提供しています。
環境マネジメントシステム・1SO14001については1998年から認証取得を開始し、日本化薬では国内7工場すべてにおいて、海外グループでは7社で認証を取得しています。日本化薬グループでは、今後も海外を含むグループ会社において、ISO14001の認証取得の検討を進めていきます。

指標

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サステナビリティ
重要課題
目指す
SDGs
アクションプラン 重要指標(KPI) 2025年度
到達目標
2022年度
結果
2022年度
取り組みに関するトピックス
エネルギー消費量と温室効果ガス排出量の削減

排水および廃棄物の削減

水資源利用の効率化
安全な水とトイレをみんなにエネルギーをみんなに そしてクリーンに産業と技術革新の基盤をつくろうつくる責任つかう責任気候変動に具体的な対策を
  • 省エネルギー・地球温暖化対策活動を推進し、2030年度環境目標を達成する
  • 2050年度カーボンニュートラル達成に向けた課題の抽出と戦略を明確化する
温室効果ガス排出量
(Scope 1+2)
(2030年度達成目標)
88,324トン以下(2019年度比32.5%以上削減)
(2022年度達成目標)
119,252トン以下
108,107トン
  • 温室効果ガス排出量削減の取り組みの⼀環として、MFCAおよび太陽光発電PPAモデル導⼊を推進
  • 廃棄物発生量は2021年度と比較し3.3%減少
  • これまで埋立処理をしていた廃棄物のリサイクル化をさらに推進し、リサイクル率は85.0%、ゼロエミッション率は0.8%に改善
  • 環境問題に配慮した製品・技術の開発状況
【セイフティシステムズ事業】
 軽量化シリンダー型インフレータ・グリーンプロペラントMGGの開発
【ポラテクノ事業】
 生産工程改善、製品設計改良による廃棄物および排出処理エネルギーの削減を推進
【機能性材料事業】
 CFRP用熱硬化樹脂について、展開可能性のある開発品を顧客に紹介
 バイオ由来原料を使用した熱硬化樹脂の開発
【色素材料事業】
 産業用インクジェット(コート紙用、軟包装用、捺染用)の開発
 感熱用ノンフェノール顕色剤の上市および拡販
 PLA(生分解性)繊維用染料の開発加速
【触媒事業】
 水素製造用触媒の共同研究を推進
 厚狭工場の石油燃料ボイラーのLPG化が進行中
 マテリアルズ・インフォマティクス技術を活用した原料使用量削減および目的物収量向上に寄与する触媒の開発
VOC排出量 (単)実績を開示 (単)38.7トン
COD排出量 (単)実績を開示 (単)171.8トン
廃棄物発生量 (単)実績を開示 (単)27,621トン
リサイクル率 (単)80%以上 (単)85.0%
ゼロエミッション率 (単)1%以下 (単)0.8%
SBTに批准した目標設定と具体的施策の検討・実施 進捗状況を開示 CDP(気候変動)でA-評価を獲得
Scope 3算定精度向上を実施
TCFD提言に沿った情報開示 進捗状況を開示 情報開示済み
環境問題に配慮した製品・技術の開発推進 進捗状況を開示 トピックスに掲載

中期環境目標と実績

日本化薬グループでは、2021年度より新たに中期環境目標を設定し、環境保全活動をスタートしています。

新たに設定した中期環境目標では、「地球温暖化防止」の分野で温室効果ガスScope 1+2排出量の項目(2030年度に2019年度比で32.5%以上削減)の実施対象をグループ会社(連結)まで拡大しスタートしています。目標を達成するため毎年約3%の割合で削減していくと2022年度は119.2千トン以下が目標となりますが、2022年度は108.1千トン(2019年度比17.4%削減)で目標を達成し順調に削減しています。この項目に関連して、日本化薬グループは2022年3月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言に賛同しており、今後もTCFD提言に沿って温室効果ガス排出量の削減状況だけでなく、気候変動に関わるリスクと機会など、持続可能な循環社会構築に向けた取り組みの情報を積極的に開示してまいります。

「化学物質排出量削減」の分野では、VOC排出量およびCOD排出量はともに目標数値は定めず実績報告としています。VOC排出量は前年度からわずかに増加し、COD排出量は生産品目の変遷に応じて増加しています。

「廃棄物削減」の分野では、廃棄物発生量を目標は定めず実績報告とし、リサイクル率(容器リユースを除く)を80%以上、ゼロエミッション率は1%以下に目標設定して取り組んでいます。2022年度の廃棄物発生量は各工場・事業場で廃棄物の分別と削減の取り組みの継続の結果、昨年度よりも減少しています。さらにリサイクル率とゼロエミッション率については、継続して各事業場でリサイクル化を促進し、環境負荷低減の取り組みを継続して進めた結果、リサイクル率およびゼロエミッション率ともに目標を達成するだけでなくさらに向上する結果となりました。

中期環境目標に対する結果の推移

分野 対象範囲 項目 目標値 2020年度※1 2021年度 2022年度
地球温暖化防止※2 連結 温室効果ガス・Scope 1+2※3排出量 2030年度目標:
88.3千トン以下(2019年度比32.5%以上削減)
(参考:2022年度基準):
119.2千トン以下
117.8千トン
(10.0%削減)
112.2千トン
(14.2%削減)
108.1千トン
(17.4%削減)
化学物質排出量削減 単体 VOC※4(揮発性有機化学物質)排出量 (実績報告) 33.3トン 52.1トン 37.1トン
COD※5排出量 (実績報告) 122.6トン 124.2トン 171.8トン
廃棄物削減 単体 廃棄物発生量 (実績報告) 25,153トン 28,424トン 27,621トン
リサイクル率(容器リユース除く) 80%以上 81.6% 82.3% 85.0%
ゼロエミッション率※6 1%以下 1.6% 1.0% 0.8%
  • ※1上越工場を含む。なお2020年度までの旧中期環境目標において上越工場はスコープ外。
  • ※22030年度までの中期環境目標:2019年度(130.8千トン)比で32.5%以上削減(88.3千トン以下)
  • ※3Scope 1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、製造プロセスからの排出等)。
    Scope 2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出。
  • ※4VOC(Volatile Organic Compounds)の集計には、政令(PRTR法)で報告対象となっている化学物質以外に、日本化学工業協会で指定されている化学物質も含む。
  • ※5COD(Chemical Oxygen Demand):化学的酸素要求量、水中の物質を酸化するために必要とする酸素量で、代表的な水質の指標の1つ。
  • ※6ゼロエミッション率:日本化薬では廃棄物発生量全体に対する内部および外部埋立量の割合として定義。

2022年度 事業活動におけるマテリアルフロー(対象組織:日本化薬単体)

事業活動におけるマテリアルフロー

原材料使用量

こちらの表は横にスクロールしてご覧いただけます。
種別 対象範囲 単位 2020年度 2021年度 2022年度
主原料 単体 トン 36,614 47,583 44,211
副原料 単体 トン 16,581 18,529 17,026
包装資材ープラスチック系 単体 トン 194 266 389
包装資材ー段ボール系 単体 トン 415 529 480
包装資材ーその他 単体 トン 461 489 470
合計 単体 トン 54,266 67,396 62,576
  • 商品は含めない(工場へ入庫した物品)

取り組み

LCA(ライフサイクルアセスメント)の利用

日本化薬グループでは製品の研究開発から生産、流通、販売、リサイクル、廃棄に至るまでのライフサイクル全体に渡り、環境・健康・安全の維持と改善に努めています。
当社グループの製品・サービスがライフサイクル全体を通じて地球環境にどのように影響し、あるいは貢献ができるのかを評価・分析し、その価値を可視化できるよう設計する試みを進めています。
この活動の一環として、現在当社製品毎のCO2排出量(製品CFP)の算定を推進しています。製品CFPを算定することにより製品毎の環境負荷を把握できるだけでなく、顧客製品のLCAを算定する際の精度の向上を図ることができます。現時点では一部の製品群での算定を進めていますが、将来的には全製品の製品排出を実施できるよう、算定のシステム化などの検討を進めます。

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