サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)

全社重要課題とサステナビリティ重要課題

日本化薬グループは、ありたい姿「KAYAKU spiritのもと、存在感をもって、永続的に環境、社会、すべてのステークホルダーに幸せやうれしさを提供できる会社であること」の実現に向けて、現状とのギャップを分析し、優先して取り組むべき5つの課題(新事業・新製品創出、気候変動対応、DX、仕事改革、働き方改革)を全社重要課題としました。
また、サステナブル経営の推進にあたり、社内外の視点から当社グループが抱える重要課題を適切に把握し、これをサステナビリティ重要課題と定め、事業活動と連動したサステナビリティ・アクションプランを策定しました。
中期事業計画KAYAKU Vision 2025(以下、KV25 )ではサステナブル経営基本方針のもと持続可能な環境・社会の実現に貢献するため、全社重要課題を最優先で取り組み、それを補完するかたちでサステナビリティ重要課題に取り組みます。全社重要課題とサステナビリティ重要課題を合わせた総称を「KV25 マテリアリティ」としています。

KV25マテリアリティ
  • 各サステナビリティ重要課題の前についている■は、全社重要課題の取り組みがサステナビリティ重要課題の取り組みにもつながることを示しています。

サステナビリティ重要課題

サステナビリティ重要課題の特定方法

日本化薬グループは、社内外の視点から当社グループが抱える課題を適切に把握し、ステークホルダーの期待や要請に応えていくために、2019年に中期CSR重要課題を特定しました。
2022年4月に中期事業計画KAYAKU Vision 2025 のスタートとCSR経営からサステナブル経営に切り替わるタイミングに合わせて中期CSR重要課題からサステナビリティ重要課題と名称を改め、事業活動の多様化や社会課題の変化に適切に対応するためにサステナビリティ重要課題を見直しました。

STEP 1課題項目の
認識
  • 多様化する社会から求められる要請事項についてGRIスタンダードで抽出されているテーマをベースに、当社グループの前サステナビリティ重要課題(KAYAKU Next Stage中期CSR重要課題)で設定されているテーマを加え、課題項目として設定。
STEP 2社内/社外意見の
ポイント化
  • A. 外部評価のポイント化
    責任投資を推進している複数の国際的な評価機関からの当社への産業別の評価基準、およびSASBの産業別の要求基準を、課題項目と紐付けし外部評価としてポイント化。
  • B. 内部評価のポイント化
    社内の各事業部門・コーポレート部門の本中計重点テーマを、課題項目と紐付けし内部評価としてポイント化。
  • SASB:Sustainability Accounting Standards Board(サステナビリティ会計基準審議会。サステナビリティの開示基準を業種別に策定・公開している米国の非営利団体)
STEP 3重要課題
マッピング
  • 課題項目「コーポレートガバナンスの強化」、「コンプライアンスの徹底」については"企業存続に関わる最重要課題"として特定し、その他の課題項目はポイント化した外部評価、内部評価によって、重要課題マッピングを作成。ポイントベースでのマップに閾値を入れ、この値以上のものを重要な項目として特定。
STEP 4妥当性確認と
承認
  • 特定方法および特定結果について、サステナビリティの専門家である有識者による意見も取り入れながら、当社の意思決定機関であるサステナブル経営会議(旧CSR経営委員会)においてレビューし、2回にわたる審議を経て承認。

サステナビリティ重要課題

サステナビリティ重要課題は「企業存続に関わる最重要課題」「最重要課題」「重要課題」の3つに分類し、各課題のアクションプランを定めています。

サステナビリティ重要課題

サステナビリティ・アクションプラン

日本化薬グループのサステナビリティ・アクションプランでは、SDG Compassを活用し、各重要課題とSDGs17目標を紐付けています。当社グループは毎年KPIの進捗状況を管理・開示しサステナビリティ活動を推進することで、環境・社会的価値と経済的価値を創造し、SDGsの達成(持続可能な社会の実現)と企業価値向上を目指します。

こちらの表は横にスクロールできます。

サステナビリティ
重要課題
目指す
SDGs
アクションプラン 重要指標(KPI) 2025年度
到達目標
実績 2024年度
取り組みに関するトピックス
2023年度 2024年度
企業存続に関わる最重要課題 コンプライアンスの徹底 平和と公正をすべての人に
  • 企業活動を行う上での基本原則であるコンプライアンスを徹底し、公正な事業運営を遂行する
  • 高い倫理観をもつ風通しの良い企業風土を維持・強化する
重大コンプライアンス違反件数※1 0件 0件 0件
  • 重大なコンプライアンス違反なし。
  • 年度必須コンプライアンス研修で「職場におけるコミュニケーション」をテーマに、すべての国内グループ会社を対象に研修を実施した。
  • コンプライアンス通報窓口未設置の海外グループ会社と協議し窓口を設置した。2025年度は利用の普及に向けた啓発・教育に努める。
コンプライアンス研修の実施率 100% 96% 97.7%
コンプライアンス通報窓口設置率 100% 83% 100%
コーポレートガバナンスの強化
  • グループ全体のコーポレートガバナンスを強化し、透明性が高く健全な経営を行う
取締役会の実効性評価実施回数 1回/年 1回 1回
  • 取締役会の実効性評価アンケートを実施し、現状把握・課題の抽出・アクションプランを策定し、改善を実行中。
  • 「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を適宜開示した。
  • 監査役会の実効性評価を実施した。
監査部による内部業務監査実施回数 60回/4年間 17回 12回
最重要課題 品質と顧客の安全 平和と公正をすべての人に
  • 品質マネジメントシステムの継続的な改善と、品質ガバナンスを徹底することにより、品質管理・品質保証体制をより強固にする
  • 品質経営を推進し、デジタル化による生産効率の向上と工程異常の低減を図る
重大顧客苦情件数※2 0件 0件 0件
  • 品質月間(11月)に「チームの成長を加速させる対話術~品質不正の心理的メカニズムを紐解く~」と題して、品質不正防止に関するセミナーを開催した。
重大工程異常件数※2 0件 0件 1件
サプライチェーンにおける環境・社会配慮 働きがいも経済成長もつくる責任つかう責任気候変動に具体的な対策を平和と公正をすべての人に
  • サステナブル調達ガイドラインに基づき、環境面や社会面に配慮したサプライチェーン・マネジメントを実践する
サステナブル調達ガイドラインに対する同意確認書の回収率 (単)90%以上 (単)91% (単)91%
  • 2023年度に原材料を購入した実績のある国内の主要お取引先(530社)および2024年度の新規お取引先(23社)を対象に、サステナブル調達ガイドラインに沿ったアンケートを送付し、502社から同意確認書を回収した。
  • 回収したサステナブル調達アンケート内容から人権や環境に問題のあるお取引先は確認されなかったため、改善要望依頼書を提出する必要がなかった。
お取引先へのアンケートを利用した改善計画の策定・実施 (単)進捗状況を開示 トピックスに掲載 トピックスに掲載
エネルギー消費量と温室効果ガス排出量の削減

排水および廃棄物の削減

水資源利用の効率化
安全な水とトイレをみんなにエネルギーをみんなに そしてクリーンに産業と技術革新の基盤をつくろうつくる責任つかう責任気候変動に具体的な対策を
  • 省エネルギー・地球温暖化対策活動を推進し、2030年度環境目標を達成する
  • 2050年度カーボンニュートラル達成に向けた課題の抽出と戦略を明確化する
温室効果ガス排出量
(Scope 1+2)
(2030年度達成目標)
70,598トン以下(2019年度比46%以上削減)
(2024年度達成目標)
111,838トン以下
102,704トン 111,186トン
  • CDP「気候変動分野」において初の最高評価「Aリスト」選出。
  • MFCAの推進および太陽光発電PPAモデルを順次導⼊。
  • 生産量増加に伴い、各項目の排出量が増加したものの、リサイクル率およびゼロエミッション率は改善した。
  • 環境問題に配慮した製品・技術の開発状況。
【セイフティシステムズ事業】
軽量化シリンダー型インフレータ(新世代インフレータ)をKMYで生産開始。前世代のインフレータと比較し、CO2を30%削減。
グリーンプロペラントMGGの開発。
【機能性材料事業】
航空機向けをターゲットとしたCFRP/GFRP用熱硬化樹脂について、展開可能性のある開発品を実機評価。
バイオ由来原料を使用した高耐熱・高信頼性熱硬化樹脂の開発。
【色素材料事業】
産業用インクジェットインク(コート紙用、軟包装用)の開発。
感熱用ノンフェノール顕色剤の拡販。
【触媒事業】
水素製造用触媒の共同研究を推進。
マテリアルズ・インフォマティクス技術を活用した原料使用量削減および目的物収量向上に寄与する触媒の開発。
バイオ原料からプロピレンなどの基礎化学品を製造するための触媒開発。
【医薬事業】
省資源化につながる包装形態の変更、環境負荷低減素材の採用を推進。
VOC排出量 (単)実績を開示 (単)32.9トン (単)60.3トン
COD排出量 (単)実績を開示 (単)210.9トン (単)222.2トン
廃棄物発生量 (単)実績を開示 (単)20,974トン (単)28,225トン
リサイクル率 (単)80%以上 (単)83.8% (単)86.5%
ゼロエミッション率 (単)1%以下 (単)0.68% (単)0.6%
SBTに批准した目標設定と具体的施策の検討・実施 進捗状況を開示 中期環境目標を1.5℃水準に改定 トピックスに掲載
TCFD提言に沿った情報開示 進捗状況を開示 情報開示済み 情報開示済み
環境問題に配慮した製品・技術の開発推進 進捗状況を開示 トピックスに掲載 トピックスに掲載
重要課題 職場の労働安全衛生 すべての人に健康と福祉を働きがいも経済成長も
  • 安全衛生に関する基本ルールの徹底と、設備や作業手順の改善により、安全操業基盤をより強固にする
  • 健康経営を推進し、従業員が活き活きと働けるワーク・ライフ・バランスのとれた職場環境を提供する
重大事故災害件数※3 0件 0件 0件
  • 事業場内グループ会社および協力企業を含めて日本化薬単体での重大事故災害発生なし。
  • 健康経営優良法人の認定を継続。継続するよう従業員の健康維持増進活動を推進。
  • 有給休暇取得率は目標を達成したものの、管理職の取得率は目標を若干下回った。引き続き、社内イントラネットによる啓蒙、各事業場の人事労務担当者からの積極的な声かけ、有給休暇取得奨励日の設定等を実施する。新たな取り組みとして、5日以上の有給休暇取得プラン(ゆうYouプラン)を個人毎に作成し職場内で共有した。
  • 定期健康診断受診率は100%を継続
  • 2回目の従業員エンゲージメントサーベイを実施。全体のスコアは48.4となり、昨年度より改善したものの全国平均には届かなかった。全社の結果は「上司の支援」や「職場の一体感」は高い一方で、「適切な採用・配置」、「事業の成長性や将来性」に対しては低い傾向あった。エンゲージメント向上に向けて、各職場でアクションプランを設定して改善活動を行っている。
健康経営優良法人(大規模法人部門)認定取得 (単)認定取得継続 (単)認定取得継続 (単)認定取得継続
有給休暇取得率 (単)70%以上 (単)72.8% (単)73%
メンタルヘルス研修受講率 (単)100% 3ヶ年計画の1年目を計画通りスタート 3ヶ年計画の2年目を計画通りスタート
定期健康診断受診率 (単)100% (単)100% (単)100%
アンケートを利用した従業員満足度の把握とその向上 (単)進捗状況を開示 トピックスに掲載 トピックスに掲載
雇用の維持・拡大と人材育成、人権尊重 ジェンダー平等を実現しよう働きがいも経済成長も人や国の不平等をなくそう平和と公正をすべての人に
  • 多様な人材の採用と効果的な人材配置および交流により、ダイバーシティ&インクルージョンを推進する
  • 継続的な人材育成により、ものづくり技術力の継承・強化と人材のグローバル化を図る
  • 従業員をはじめサプライチェーンに関わるあらゆる人々の人権に配慮した事業運営を行う
女性管理職比率※4 (単)10%以上 (単)8.8% (単)8.3%
  • 事業場ごとに女性管理職候補の選定や面談による意思確認や計画的な育成指導、意識改革のための女性管理職を交えたパネルディスカッションを実施し、管理職へのチャレンジを推進した。採用者に占める女性比率を向上させた。(前年度比:新卒採用+9.2ポイント、キャリア採用+4.3ポイント)
  • 専門家による支援も取り入れ業務の切り出しや就業環境を整備し、障がい者雇用促進と職域拡大に継続して取り組んでいる。今後の対応として、重点取組事業場を設定し採用拡大・社内環境整備・特別支援学校との連携等をさらに推進して採用や継続して働ける環境を強化していく。
  • 日本化薬グループ人権方針改定にあたり、eラーニング研修を実施した。日本化薬グループ人権方針を再周知し、企業が尊重すべき人権の全体像・人権に関する取り組みが、事業活動に与える影響等に関して理解を促した。
  • 人権リスクの影響評価により特定した日本化薬グループの従業員にとっての優先対策リスクに対して、人権への負の影響を防止、軽減、是正策を継続実行。
障がい者雇用率 (単)法定雇用率達成 (単)1.93% (単)2.11%
従業員一人当たり教育研修投資額 (単)実績を開示 (単)76,565円/人 (単)72,015円/人
従業員一人当たり教育研修時間 (単)実績を開示 (単)17.7時間 (単)15時間
人権に関する研修回数 1回以上/年 2回 1回
人権デュー・ディリジェンス
「人権への影響評価」実施率
(単)2022年度までに実施
(連)2025年度までに100%
日本化薬グループ従業員を対象に人権リスク評価および優先対策リスクを特定 優先対策リスクに対して、人権への負の影響を防止、軽減、是正策を継続実行
リスクマネジメント
  • 事業に関わるさまざまなリスクへ対応し、生産体制の維持、原材料の適正確保、災害対策の強化により事業継続性を確保する
事業領域リスクコントロール活動・TOP5リスクコントロール活動実施率 100% 100% 100%
  • 国内7工場、すべてのグループ会社でTOP5リスクコントロール活動を実施した(トレンドとしては優秀な人材の不足のリスクが増加)。
  • 国内外の拠点をピックアップしてTOP5リスクに関してヒアリングを実施した。
  • ファインケミカルズ事業領域で関東を震源とする地震を想定し複数拠点でのBCP訓練を実施した。
  • 中国グループ会社でBCP訓練を実施した。
BCP訓練実施回数 1回以上/年 3回 3回
  • ※1倫理委員会にて重大と判断した案件数
  • ※2損失額1,000万円以上
  • ※33人以上の同時休業災害または死亡災害
  • ※42024年度末の目標値

サステナビリティ重要課題のリスクと機会

日本化薬グループは、特定したサステナビリティ重要課題のリスクと機会を認識した上で、リスクを低減し、新たな事業成長につながる機会を取り込むことで、持続可能な社会の実現とさらなる企業価値の向上を目指します。

こちらの表は横にスクロールできます。

サステナビリティ
重要課題
リスク 機会
企業存続に関わる最重要課題 コンプライアンスの徹底
  • コンプライアンス違反による社会的信用の失墜
  • 企業価値の毀損
  • 事業活動の低迷
ステークホルダーからの信頼獲得
コーポレートガバナンスの強化 事業活動の停滞
  • ステークホルダーからの信頼獲得
  • 社会的信用力の向上
最重要課題 品質と顧客の安全
  • 品質不適合の発生による顧客の離反
  • 品質管理、表示等の法令違反による社会的信用の失墜
高品質の製品供給による顧客の信頼獲得
サプライチェーンにおける環境・社会配慮 お取引先の違法行為・コンプライアンス違反による企業活動への悪影響
  • サステナブルな社会の実現への貢献
  • 長期的な競争力の向上
エネルギー消費量と温室効果ガス排出量の削減

排水および廃棄物の削減

水資源利用の効率化
【移行リスク】
  • 排出規制強化の影響による操業コスト増大
  • 電力およびLPG等の価格上昇
  • 排出規制強化の影響による原料価格上昇
  • 環境情報開示およびLCA算定等のコスト増加

【物理リスク】
  • 台風、大雨、高潮等による洪水被害によるコスト増加
  • 水不足による操業への影響
  • 気温上昇による労働生産性の低下
  • スマートシティー化やDXの伸張により、半導体関連素材、低消費電力に寄与する材料素材が拡大
  • 次世代蓄電池向け材料が拡大
  • モビリティの躯体の軽量化に寄与する樹脂素材が拡大
  • EVの軽量化のための光学材料や自動運転化のためのセンサー材料も伸張
  • 気温の上昇が見込まれ、農業の生産性の維持向上に寄与するバイオスティミュラントや、新たに問題化する害虫への既存農薬の適用拡大
重要課題 職場の労働安全衛生
  • 事故・不祥事の発生による社会的信用の失墜
  • 労働生産性の低下や人材の流出
  • 安全文化の醸成
  • 従業員のワークエンゲージメントの向上
雇用の維持・拡大と人材育成、人権尊重
  • 人材の属性やスキルの偏りによる発想の画一化と新たな事業機会の喪失
  • 人権侵害による社会的信用の失墜
  • 価値観の多様化による新たなアイディアを生み出す企業風土の醸成
  • サステナブルな社会の実現への貢献と長期的な競争力の向上
リスクマネジメント 経営に関わるリスクの増加 非常時の事業継続性の確保
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