年齢や性別、キャリア、学歴にこだわらない職務配置と処遇を可能にする人事制度として「ポジションクラス制度(職務等級制度)」を導入していますが、時代背景や社会からの要請に対応して改善しています。本制度は本人の役割と責任に基軸をおいた制度であり、管理職も同一の制度で運用しています。従って、管理職層への登用においても、年齢、性別、学歴、キャリア等に関係なく自発的にチャレンジできるシステムであり、女性の管理職も年々増加しています。
企業活動の主体は“人”。従業員一人ひとりの人権を尊重し、安心して働ける職場環境の整備に努め、仕事を通じて従業員が自らの成長と働きがいを感じられる会社を目指しています。
グループ管理本部長メッセージ
企業活動の主役は“人”、従業員一人ひとりの人権を尊重し、安心して働ける職場環境の中で、仕事を通して従業員が成長することができる会社を目指します。
日本化薬グループはKAYAKU spiritの実現を目指しており、従業員全員が仕事を通じて幸福を感じられる会社でありたいと考えております。
誰もが公平にチャレンジでき、公正に結果を評価されることにより、適正な配置、処遇につなげ、実感を伴う幸福感が得られる人事制度へ向けて常に改革を進めてまいります。
私たちは組織の多様性を重視すると同時に心理的安全性が確保され、生産性の高い、柔軟な組織風土を目指します。
このような組織であることにより、イノベーションが推進され、競争力の源泉となると信じております。
今後も会社を取り巻く環境の変化に従業員全員でスピーディーに取り組むとともに、組織風土の改革を推進してまいります。

ダイバーシティ&インクルージョン
ダイバーシティ&インクルージョンの推進
日本化薬グループの人事制度
女性の活躍
女性の管理職登用は、目的ではなく「ダイバーシティ」の推進に向けた取り組みの結果であると捉えております。全管理職に占める女性の割合は2021年3月末時点では、8.6%(前年度8.4%)まで向上してきました。2024年度末には女性管理職割合10%達成を目標としております。今後も継続的・発展的に女性の活躍を推進していきます。



医薬事業本部
信頼性保証本部長・総括製造販売責任者
それぞれの楽しめる働き方を見つけることこそ、ダイバーシティにつながる
研究所で医薬品の試験方法などを検討する職務を経た後、1999年に本社に異動となりました。当時、本社の女性管理職はほとんどいませんでしたが、その後増え、当社も変わってきたと実感しています。私が所属する信頼性保証本部は、今では8人の部長・室長の内で半数の4人が女性です。
また、当社は、育児休暇・勤務制度が充実し、私自身も利用しました。子育ての経験は、マネジメントスキルにプラスになると思います。子育て前は「努力をすれば必ず報われる」と考えていたのですが、赤ん坊は努力を見てくれず、思い通りにならない時間が続きます。その間、その子に合った楽しみや幸せは何かと、模索している間に、いつの間にか驚くほど成長しているのです。マネジメントもその人に合った喜び(強み)は何かと一緒に悩んでいる間に、いつの間にか良い結果を出してくれる、そんな感じです。女性は、こういったマネジメントは得意なのかもしれません。
個人や性別で、性格やスキルに差があるのは当然と思います。その人それぞれの楽しめる働き方を見つけることが、ダイバーシティにつながるのではと考えています。
障がい者雇用
日本化薬では障がいを有する方の雇用にも取り組んでおり、2021年3月末時点で、障がいを有する方49名を雇用(障がい者雇用率1.90%)しています。社会的には、積極的な雇用が要請されていることから、特別支援学校との連携(協働)等により知的障がい者の継続的採用を実施するなど、法定雇用率の確保は元より、障がいを有する従業員が働きがいを感じ、いきいきと能力を発揮できる職場の実現を目指し、より一層の取り組みを行っていきます。
定年到達後再雇用者(シニアパートナー)の活躍
2006年4月より、定年到達者の再雇用制度として「日本化薬シニアパートナー制度」を導入しています。この制度は定年到達後も心身ともに健康で、働く意欲がある方が、これまで培ったキャリアやノウハウを十分発揮し、活躍していただくことを目的とした制度です。ご本人より勤務地、職務内容、勤務形態に関する希望を聴取していますが、制度導入以来、再雇用希望者のほぼ100%が希望通りに再雇用され、また、そのほとんどの方が65歳まで活躍されています。2021年3月末時点での在籍者は136名です。
グローバルな人材の交流
ダイバーシティ推進のひとつとして、日本化薬グループの日本人従業員だけでなく、海外グループ会社の現地スタッフが、よりグローバルな環境下で活躍できるよう取り組んでいます。グローバル人材育成プログラムとして、海外語学留学プログラムや英語短期集中研修、全社一斉TOEIC試験など語学力の向上を図るとともに、海外赴任予定者に対し異文化適応力を含むテーマ別の教育研修を行っています。また、教育研修だけでなく海外グループ会社と日本拠点との人的交流を積極的に支援し、さまざまな国の文化やビジネス環境を経験するためのサポート体制を充実させています。

Jitka Simarova
ダイバーシティを推進する会社の支援に共感します
入社2000年当時のKSE※従業員数は107名、現在では1,076名(内女性539名)が在籍しています。女性管理職数は、私を含め4名で、女性のチームリーダーは、管理部門と製造部の合計で10名です。会社の発展のため最も重要なのはチームのダイバーシティだと思っています。
私たち女性従業員は、良い仕事環境とワーク・ライフ・バランスを常に必要としているので、人事部では産休から戻ってくる女性の職場復帰を支援するため、幼い子どもを持つ女性のために一部の職場でアルバイト制度を導入しました。
女性にとって製造部門で働くことはとても厳しいことですが、女性作業者たちからは、KSEは安定的で従業員への教育等をしっかりと行ってくれる会社だと高く評価を受けています。女性は仕事と家庭の両立を達成するために、強く自立した女性であるべきだと考えています。自分自身の欠点を認め、それらを乗越え自分の価値と人生の価値を理解して生きていくべきだと思います。
- ※ KSE:チェコにある自動車安全部品の製造会社

ホルヘ モンテス
グローバル交流
私は、Kayaku Safety Systems de Mexico, S.A. de C.V.(KSM)の工場立上げに携わったのを皮切りに品質・製造についての継続的な改善活動を10年間行ってきました。そして、2017年6月にセイフティシステムズ事業本部品質保証本部が主導するグローバル品質プロジェクトメンバーの一員として日本化薬本社に着任し、その後姫路に異動しました。
プライベートでは、メキシコと日本では生活環境がまったく違う中で、家族とともに新しい世界に心を開き、日本語を習ったり、色々なものを見て回ったり、人の優しさに触れられたことは何物にも代えがたい経験となっています。
しばしば「主食は何ですか?それは日本で買えますか?」と聞かれ、「トルティーヤが主食です。日本で買えます。」と答えます。
最後に、私たちには日本化薬グループをより良くするチャンスが日々あります。それぞれのポジションで「全員D席で行こう※」をモットーに変化を起こしてまいります。
- ※ 全員D席で行こう:ドライバーズシート(D席)で主体的に行動すること
男女共同参画のための制度の充実
男女共同参画のために、社内制度の拡充並びに制度活用の促進に取り組んでいます。次世代育成支援対策では、育児休業制度をはじめ、従来より法を上回る内容の諸制度を導入し、取り組んできました。2020年度の育児休業取得実績は、女性の取得率100%(期間中の取得者数は29名)であり、男性88.5%(期間中の取得者数は31名)でした。また、育児休業取得後の復職率は、男女ともに100%です。今後なお一層、男性の育児参加を後押しする職場風土作りに取り組みます。
「特別有給休暇制度」の充実
特別有給休暇制度は、労基法により2年間で時効消滅する年次有給休暇を別枠として積み立て、介護・子の看護・研修・ボランティア・不妊治療や骨髄ドナーとしての休暇などの理由があれば利用出来る制度です。取得にあたっては煩雑な手続きは不要で、用途によってその事実を証明できるものがあれば申請できます。また、一度取得した場合でも、再び限度日数まで積み立てることができるなど、従業員の利用しやすさを第一に考えた制度にしています。

ワーク・ライフ・バランス
労働時間管理
日本化薬グループは、従業員の健康を第一に考え、またコンプライアンスやメンタルヘルスの面からも、労働時間の適正な把握と状況に応じた適切な対応を行うため、労使での専門委員会の設置など、労働時間管理の徹底に取り組んでいます。さらに、ワーク・ライフ・バランスを充実するため有給休暇の取得率向上を目標としています。新たに「アニバーサリー休暇制度」を設けるなど、より取得しやすい職場環境の整備を行い、有給休暇の取得奨励をしています。
時間外労働(残業)時間の削減のためには、職場風土と従業員の意識改革(働き方改革)のため労使による専門委員会で議論し、各事業場における管理職教育も実施しています。また、働き方の改善を業務生産性の向上および付加価値創造に結びつけるために、「まず時間外労働時間の削減ありき」ではなく「社員の働きがい」を念頭においた地道な改善努力が優先されると考え取り組んでいます。


生物評価グループ 小林 祐喜
育児休業を取得して
「育児に集中する時間を共有できたからこそ、その後に生かせました」
第二子出産に際し、自然と育児休業を取得することを考えていました。理由は、私の周りでは数年前から男性で育児休業を取得される方が増えており、制度だけでなく風土としても育児休業を取得しやすい環境が形成されてきていることが大きかったと思います。4年前の長男出産のときは育児休業を取得することは考えていなかったので、この2〜3年での環境の変化を強く感じました。
育児休業中は、日々成長していく次男の変化を感じながら、保育園から帰宅後の長男とも会話や遊ぶ時間を多くつくることができました。妻も生活リズムをつくることができたと話しており、実りの多い育児休業となりました。
うまくいかず子どもにも自分にもイライラしてしまうこともありましたが、そんなときはお互いに言葉を掛け合ったり、交代したりすることで冷静になることができました。このように子どもの成長の喜びと子育ての大変さを夫婦で実感を持って共有し、話し合えたことは育児休業で得られた大きな喜びです。この期間を経験したからこそ、復職後も家族への感謝の気持ちを忘れず、妻の負担を理解して育児に参加できているのではないかと、勝手ながら感じています。
最後に、育児休業の取得に際し、大変な時期であったにもかかわらず、快くご協力いただきました職場の皆さまに心より感謝申し上げます。

育児休業を取得して
「ライフスタイルが変化しても、自分らしく働き続けていきたい」
私は2016年と2019年に出産し、二度の育児休業を取得しました。入社当時から結婚・出産後も自分の知識や経験を生かし、この会社で働き続けたいという思いがありました。その気持ちを尊重していただき職場の全面的なサポートの中、育児休業を取得することができました。
第二子の育休中には新型コロナウイルスが世界中に蔓延し、第一子も登園自粛となり先行きの不安を感じることもありましたが、夫婦で協力して家事育児を行いより深く子ども達と向き合う貴重な時間を持てました。また復職にあたっても、会社の状況や今後の担当業務について上司や職場メンバーと話し合いスムーズな職場復帰を果たせました。
出産だけでなく、休職を取得せざるを得ない状況は誰にでも起こります。そういった状況になっても充実した制度や周囲の理解ある環境の中で働けることが自分自身や家族にとって何より心強いと改めて実感しました。
仕事と子育ての両立をバックアップしてくださる職場方々へ感謝し、恩返しできるよう精一杯励んでいきます。
人材育成
研修プログラム
職種別、階層別、従業員に応じたさまざまな研修プログラムが用意されており、多くの研修プログラムを通じて、次世代を担うための優れた人材の育成を図っています。

必修プログラム
新入社員、入社1年後、3年後、5年目、中堅社員に向けて職務能力に応じた職種別・階層別に研修をおこなっています。役割や能力の変化を認識し実践につなげ新たな一歩を踏み出せるよう支援しています。
自主選択プログラム
多彩な自主選択プログラムが整備され、個々の従業員特性や職種に応じた、職務遂行のためのビジネススキルや問題解決能力の向上など自己研鑽を支援しています。
選抜プログラム
次世代のリーダー・管理者の育成のため、上司の推薦により受講する選抜プログラムを準備しています。

福山工場工場ならではの基礎教育
福山工場は、機能性材料と色素材料の製造拠点です。2013年以降は、定年到達者およびシニアパートナー社員などのベテラン社員の退職が続く年であったため、中途採用者を含めた多数の新規採用を実施する計画となり、工場の安全含む技術の伝承が危ぶまれる期間と想定していました。この間を事故や大きなミスを起こさず技術を継承していくため、福山工場の社員育成に必要な基礎的教育を43項目設定し教育を実施してきました。この43項目の教育を行うにあたり考慮した点として、技術の伝承は、先輩から後輩に受け継がれることであり、育成する風土の醸成も合わせて行う必要があることを考慮しました。このため、各組織の主任以上のリーダーが、横のつながりを生かしながら、一つひとつの基礎教育について、内容を検討し後輩育成用の講義資料を作成しました。2014年から2019年の6か年において、先輩社員となる主任以上のリーダーが講師を務め、主に新任者の知識拡大教育を図ることができました。
この6年間で、定年到達者およびシニアパートナー社員の退職による新任者の技術継承はいったん落ち着いたと考え、2020年より工場教育プログラムを新任者育成に限定した基礎教育プログラムへ移行しました。具体的には、日本化薬全体の研修および工場各部署内で行っている外部機関研修などを考慮し、この隙間を埋め込む基礎・基本の教育として見直しをしました。過去6年間の経験と蓄積された教育資料を基に、部署横断の部会による資料の改定や講師など、工場全体で実効力のある組織体制を継続しています。係長やチームリーダーなど中堅以上の社員が中心となって講座内容を考案し、新人社員に必要な情報・知識を教えています。
コロナ禍で集合研修が制限される中、感染予防を徹底しながら教育を実施し、工場の縦糸と横糸が絡み合うよう情報を共有しています。新人が基礎基本教育を同じ土台でスタートし、一体感が醸成できる風土づくりを推進しながら、業務効率化を図るためのIT教育なども取り入れて実行しています。
上越工場IATF16949と車載顧客要求に関する教育
2016年に自動車産業の国際的な品質マネジメントシステム規格であるISO/TS16949がIATF16949に改訂されたことに伴い、顧客から車載基準での対応要求が強くなってきました。また、車載製品(自動車メーター、センターインフォメーションディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ<HUD>)の販売を拡大していくためには、IATF16949規格の理解度を深める必要性が高くなってきています。
しかしながら、新しい規格を既存の品質管理システムに取り入れて運用するにあたっては、まずはIATF16949に対する社内の認知度を上げ、車載製品の開発・生産に携わる従業員が必要性を理解することが大切であると考え、IATF16949と車載顧客要求に関する教育を実施することとしました。
教育の対象者は全従業員ではなく、希望者としたところ、想定していた以上に関心が高く、2年間で延べ150名の社員が教育に参加しました。今後は、実務で使用することで品質向上につながるコアツールの教育を実施する予定です。
姫路工場若手社員の育成と品質向上
姫路工場は自動車安全部品を扱うセイフティシステムズ事業の国内製造拠点であるとともに、海外拠点のマザー工場としての役割も担っています。事業のグローバルな拡大に伴い当工場でも増産が続き、現在は日本化薬の国内工場で最多の従業員数となっています。
このような背景から、当工場では新規採用などにより若手社員が急増しており、その育成が課題となっていました。そこで、若手社員に重点を置いた体系的な教育システムを構築し、2019年度よりスタートしました。当プログラムにより社員の能力を底上げし、製品品質・業務品質を向上させていきたいと考えています。2018年度より実施している中堅社員向けの品質教育と両輪で人材育成を進めています。
当プログラムでは座学だけではなく体験型の教育も取り入れています。たとえば、おもちゃのブロックを製品に模して「かんばん生産」の有効性を学ぶ教育や、当工場では危険な火薬を取り扱っていますので、現物の製品を用いて正しい取り扱い方を習得できるような教育などもあります。1年間実施しての振り返りを行い、来年度は引き続きプログラムの改善を図っていきます。
姫路工場教育プログラムの様子
Kayaku Safety Systems de Mexico, S.A. de C.V.(KSM)
COE 3rd Generation※プログラム
―日給社員から月給社員へー
KSMではCOEプログラムを開始して以来COE第1期生(2014-2017年)4名、第2期生(2017年-2019年)4名が卒業しています。
COEとは、日給社員を教育・訓練し、月給社員に昇格するための育成するプログラムのことで、日給社員が月給社員になるための昇格チャンスを与え、日給社員のモチベーションを上げることを目的としています。
2020年は13名を3期生メンバーに迎え入れてプログラムを開始しました。メンバーたちは2021年9月のプログラム卒業までにリーダーシップスキル、チームワーク、問題解決能力について学ぶ予定です。
- ※ COE 3rd Generation:COE 第3期生

次世代育成支援対策推進法の一般事業主行動計画
2020年4月1日付で次世代育成支援対策行動計画(2020年4月1日~2021年3月31日)を策定し、東京労働局に策定届を提出しました。

2015年4月1日~2018年3月31日 | 行動計画 (第1回:2015年度~2017年度) |
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2018年4月1日~2020年3月31日 | 行動計画 (第2回:2018年度~2020年度) |
2020年4月1日~2022年3月31日 | 行動計画 (第3回:2020年度~2021年度) |
2015年4月1日~2016年3月31日 | 達成状況(2015年度) |
2016年4月1日~2017年3月31日 | 達成状況(2016年度) |
2017年4月1日~2018年3月31日 | 達成状況(2017年度) |
2018年4月1日~2019年3月31日 | 達成状況(2018年度) |
2019年4月1日~2020年3月31日 | 達成状況(2019年度) |
2020年4月1日~2021年3月31日 | 達成状況(2020年度) |
知的財産創出の促進と補償
知的財産創出の促進
日本化薬では、知的財産の創出とその有効活用によって有用な製品を産み出し、事業発展するとともに社会貢献に寄与しています。その知的財産の創出を促進するために、従業員の行った発明などに対する補償や従業員の貢献を表彰する制度を設けています。
1. 実績補償制度と発明報奨制度
売上に貢献した特許などの発明者に対し、実績補償を行っています。この制度は、1963年に制定された発明等取扱規程に則って実施されています。この発明等取扱規程は、特許法の規定を受けて制定されたものであり、職務発明に関する特許法の改正に基づいて適宜改正を行っています。事業年度ごとの売上額やライセンス実施料に対し、一定の割合を発明者などへ補償し、在職者だけでなく退職者も補償の対象となっています。
また、特に大きく売上に貢献した発明特許に対しては、実績補償に加えて報奨一時金を授与する発明報奨制度を定め、知的財産の創出を進めています。
2. 早期業績貢献
登録される前の特許出願であっても、すでに業績に貢献しているものに対しては実績に応じた表彰の形で補償を行っています。この制度は、2005年に制定されたもので、比較的ライフサイクルの短い製品に関する発明についても、適正に補償することを目的としています。登録後の特許等が対象の前述の実績補償制度を補完する制度で、登録前の特許出願について売上に基づく補償を行うという点では、社会的にみても進んだ制度です。
3. 発明表彰式
毎年開催される全社研究発表会の中で、特許等や出願に関する発明表彰式を行い、優れた発明者に対して賞金と賞状を授与します。各研究所長の推薦による研究所長賞や出願数の多かった発明者への出願賞、また技術的工夫度合が高く、明細書における記載内容が質的に優れると評価された特許出願を対象に優秀発明賞などを設け、表彰しています。また、従業員による発明などを促す一助になるよう、受賞者による講演会も行っています。
日本化薬グループの健康経営
日本化薬グループでは、2017年に「環境・健康・安全と品質に関する宣言」を見直し、「健康」を追加しました。製薬会社である当社が"健康経営"を維持発展させていくのは当然であり、従業員が健康であることは、企業が繁栄しひいてはステークホルダーの満足度を向上させるために必要不可欠なことです。そこで、業務中に取り扱うさまざまな化学物質に対する暴露防止だけでなく、メンタルヘルスケアや生活習慣改善を目指した活動を展開しています。
健康経営体制

健康経営の推進
日本化薬グループの従業員全員が「健康経営」の基本である「定期健康診断」を受診し、健康診断の後に産業医が面談を行い、健康管理についての助言・指導をしています。
また、指定された化学物質を取り扱う従業員には特殊健康診断を実施しています。さらに、取り扱う化学物質の有害性データをデータベース化し、蓄積したデータを活用して職業性疾病の予防を図っています。各事業場では、従業員の健康の保持増進のため、「心とからだの健康づくり」であるTHP※を推進しています。従業員それぞれの生活習慣を見直し、若い頃から継続的に計画的な健康づくりをすすめることで、より健康に生活できることを目標にしています。具体的には、健康体力測定、健康管理コンクール、ウォークラリー、ハイキングなどを実施しています。
2021年3月に日本化薬株式会社は、従業員への健康増進の取り組みが評価され、「健康経営優良法人 2021 大規模法人部門」に認定されました。
- ※ THP(Total Health promotion Plan):"健康づくり計画"~"健康測定"~"健康指導"~"実践活動"~"生活習慣改善と職場の活性化"のP-D-C-Aのサイクルを回していく取り組み
健康経営優良法人2021 (大規模法人部門)の認定取得
日本化薬は経済産業省と日本健康会議より「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業」として評価され、健康経営優良法人2021 (大規模法人部門)※に認定されました。
従来から、日本化薬では従業員の健康保持・増進のために、健康診断受診率100%の維持やストレスチェック、メンタルヘルス研修など多くの取り組みを実施してきました。このたびの認定は、健康増進のための取り組み課題を抽出し、この課題に対して健康診断結果改善の取り組みや受動喫煙対策、全社員による健康づくりイベントなど、新型コロナウイルス感染症対策に配慮しながら、可能な範囲で多くの施策を実施したことが評価されました。
日本化薬では、これからも従業員の健康増進は、企業の繁栄とひいてはステークホルダーの満足度向上に必要不可欠なものと考え、引き続き健康経営に積極的に取り組んでいきます。
- ※ 健康経営優良法人大規模法人部門:経済産業省が2016年に創設した認定制度「健康経営優良法人」のうち、規模の大きい企業や医療法人を対象とした大規模法人部門の認定法人を指す愛称
メンタルヘルスの取り組み
業務生産性の向上と付加価値創造の達成を両立させるためには、従業員がいきいきと働ける就業環境と心身の健康が不可欠です。
日本化薬では、2005年に社長名で「メンタルヘルスケア体制の導入宣言」を発信し、管理者への指導を徹底してきました。メンタルヘルスケアは、従業員全員が、継続的に正しい知識・認識を持ち、メンタル不調者の早期発見・予防に努めることが重要です。そこで「メンタル不調を予防することを第一に考える」取り組みを重点的に行っています。
具体的には、EAP※委託業者から講師を招き、2005年度にメンタルヘルス研修を開始、2006年度からは全従業員が受講できるように3年計画で実施しています。現在は2018年度からの3年計画で実施中ですが、2020年度は新型コロナウイルス感染症への対策として集合教育を避け、e-ラーニングにより全従業員向けの新型コロナウイルス等環境変化に対応するセルフケア研修、および在宅勤務を実施している事業場の管理者向けのラインケア研修を実施しました。
一方、メンタル不調によって、休養を余儀なくされた方の職場復帰は、「復職プログラム」を策定し、職場の上司(会社)、産業医、カウンセラーが連携し、再発予防を念頭においたスムーズな職場復帰を支援する体制を整えています。なお、2015年12月に施行された労働安全衛生法のストレスチェック制度への対応は、毎年継続して実施しています。
- ※ EAP:Employee Assistance Program(従業員支援プログラム)
各事業場の健康づくりの取り組み
法定産業医がいない事業場への対応
日本化薬は、今まで産業医の選任が必要のない事務所※の健康管理では、法定健診および日本化薬健康保険組合の成人病健診の受診後の産業医面談を各地域の拠点となる事務所で実施できていませんでした。そこで、2013年度に産業医の選任がされていない事務所への対応を検討し、本社産業医が出張し従業員との面談をすることにしました。
2014年度からは、本社産業医が、北は札幌から南は福岡まで、年1回全国の事務所の巡回を始めました。産業医面談の年間日程を決め、事務所だけでなくテレビ電話も活用して面談を実施しています。
- ※ 産業医の選任について必要のない事務所:労働安全衛生法第13条、労働安全衛生施行令第5条に労働者50人未満の事業場では産業医の選任は必要とされていない

Kayaku Safety Systems de Mexico, S.A. de C.V. (KSM※)
"体重を1㎏減らしましょう!" 活動
メキシコでは肥満による健康問題が深刻で、2014年に社会保険庁よりダイエット促進のため「健康診断を受けよう。 食事のカロリー計算をしましょう。運動をしましょう。」という運動が始まりました。これに基づき、2014年に"体重を1㎏減らしましょう!"という活動をスタートしました。
この活動の目的は、従業員の食習慣や生活習慣の改善です。
参加者一人ひとりが専門家から栄養指導を受けバランスのとれた食事のアドバイスをもらい、健康的な生活ができるように運動をします。また、一人ひとり目標体重と目標ウェストサイズを決め、努力をしています。今年度は第11回目を開催しました、引き続き食生活を改善し、生活習慣病の予防と心身ともに健康になることを目指していきます。
"1 Kilo Menos" プログラム | 2017年 | 2018年 | 2019年 | |
---|---|---|---|---|
第8回 2月 - 6月 |
第9回 8月 - 11月 |
第10回 2月 - 6月 |
第11回 1月 - 5月 |
|
目標体重(kg) | 629.4 | 573.4 | 678.5 | 573.8 |
参加人数(人) | 100 | 91 | 91 | 63 |
参加率(%) | 25% | 22% | 22% | 15% |
目標達成人数(人) | 7 | 12 | 10 | 12 |
参加者の達成率(%) | 7% | 13% | 11% | 19% |
合計の体重減(kg) | 141.2 | 98.3 | 115.0 | 103.7 |
ウェスト減の合計(cm) | 497.75 | 89.10 | 545.30 | 256.4 |
- ※ KSM:メキシコにあるグループ会社、自動車安全部品を製造
その他の取り組みはクリックでご覧いただけます
Kayaku Safety Systems de Mexico, S.A. de C.V.(KSM※)
サッカー大会を開催
KSMは、スポーツと仕事の共存を促進する目的で、男性の部と女性の部の最初のサッカー大会を開催しました。
大会は、期間を2018年5月-8月、男性の部に11チーム、女性の部に5チームが参加し、トーナメント形式で実施しました。
4ヵ月間もの長い期間実施するのはとても大変でしたが、各チームはそれぞれしっかり練習して、大会では練習の成果が発揮されるようなプレーでした。また、異なる部署からのメンバー構成のため、各チームは練習する時間を調整して、メンバー全員がそろって練習するのも大変だったそうです。
8月30日に決勝戦を行い、決勝に進出したのは、男性の部:アドミニストレーションFC対ウォリアーズ、女性の部:カヤクガールズ対タイタンズ104でした。
- ※ KSM:メキシコにあるグループ会社、自動車安全部品を製造
化薬化工(無錫)有限公司(KCW)健康診断講座活動
KCWの4月度の環境安全月間テーマである「従業員の健康」の一環として、社員全員が健康診断を受診しました。
昨年に引き続き、健康診断を担当した医療機関の専門医師に来社いただき、診断項目の内容や結果の詳しい説明と、個々の質問への回答・指導をお願いしました。
専門医師からの詳しい説明により、生活習慣の改善を含めた健康の大切さについて、社員一人ひとりが再認識することができました。引き続きこの取り組みを継続していきます。
2019年度 KCW 健康診断講座
医療機関の専門医師が来社し指導を受ける活動
安全衛生活動に対する取り組み
日本化薬グループでは、安全衛生活動の中でも、指差呼称、KYT(危険予知トレーニング)、作業前KYの実施に重点的に取り組んでいます。さらに、非定常作業を含む潜在リスクの徹底的洗い出しによる事故災害の未然防止に継続的に取り組み、国内で法制化された化学物質のリスクアセスメントを確実に実施しています。
たとえば、新製品製造や新設備の導入時には、その開発段階および設計段階で安全審査を確実に実施し、その中でリスクアセスメントを行い、潜在的なリスクを把握することにより、事故・労働災害・環境事故の未然防止に努めています。また、海外グループ会社では、KYT・ヒヤリハットなどの安全教育を推進し、意識向上を図っています。
安全成績
日本化薬グループでは安全成績を重大事故・災害、環境重大事故、休業災害、不休業災害、無傷害事故、自動車事故に分類して目標を設定しています。自動車事故に関しては、事故内容を分析して対策を取りやすくするために、2016年度より件数カウントの項目を細分化して、「重大事故」「人身」「物損」「自損」に分けて目標を設定しています。
1. 安全成績(結果)
2020年度の日本化薬各事業場および国内外のすべてのグループ会社の安全成績は次のようになっています。
重大事故は2020年度も2019年度と同様に発生していません。また休業災害の発生件数は日本化薬グループでは2件であり、2019年度の2件と変わりありません。また不休業災害(微傷災害)は5件で、2019年度よりも1件増加しています。また無傷害事故も2020年度は1件発生しています。
なお、MRの業務上および通勤途上自動車事故※については、2020年度も2019年度同様に重大事故は発生しておりませんが、総件数は2019年度の34件から2020年度は6件へ大幅に減少しています。

- ※1 業務上および通勤途上自動車事故:医薬事業本部営業車利用のMRのみが対象
2. 労働災害度数率のグラフ比較
日本化薬の2020年度の労働災害度数率は、2018年度以降も製造業や化学工業と比較して引き続き低い水準で推移しています。
なお日本化薬では2017年度に突発的に労働災害度数率が上昇し、製造業や化学工業の値を大きく上回る結果となりました。そこで2017年度の労働災害について精査したところ、労働災害の多くは非定常作業に起因していることがわかりましたので、2018年度より非定常作業における事故災害を防止するため、不安全行動の摘出を目的として30秒巡視と定点観察を安全活動に取り入れています。

3. 交通事故防止の取り組み
交通事故率では、製薬協の事故率推移を毎年下回ってはいるものの、2011年度以降は高い水準で推移していましたが、2020年度は新型コロナウイルスの影響もあり、事故件数が6件へ大幅に減少したことでかなり低い事故率になりました。なお今後も交通事故のさらなる低減を目指していきます。

各事業場での安全衛生活動
日本化薬グループ各事業場では、安全衛生目標を定め、日々さまざまな安全衛生活動を展開しています。

- ※1 5S活動:整理、整頓、清掃、清潔、躾の頭文字からとった活動
- ※2 TPM活動:Total Productive Maintenance(装置を正常に維持することによって安全を確保し生産を維持していく活動)
1. リスクアセスメントの実施
新規の作業・設備・既存作業・設備の変更時の安全審査を実施し、さらに、事故や労働災害、環境事故の未然防止のために、各事業場においてリスクアセスメントに取り組んでいます。また、化学反応については、HAZOP※を中心に危険要因を分析しています。
- ※ HAZOP:Hazard and Operability Study(化学プラントの安全性評価手法で、化学反応に伴う潜在的な危険性を網羅的に摘出し、評価)
2. 近道省略行為の撲滅
近年の日本化薬グループで発生している事故の特徴として、近道省略行為によるものが目立ってきています。そこで日本化薬グループでは近道省略行為撲滅のためのチェックリストを配布し、従業員全員が近道省略行為防止のための安全宣言を行い、各職場内に安全宣言を掲示するなど、安全意識の共有化を図っています。また、本安全宣言は、作業事故防止のためだけでなく、交通事故防止の観点でも実施しています。
3. 交通安全活動の推進
日本化薬グループでは営業活動、通勤等に多くの従業員が自動車を使用しています。自動車使用者に対しカメラ付きセイフティレコーダ※1や警察庁方式運転適性検査※2を用いた運転適正診断を組み合わせた総合的な交通安全診断を実施しています。そして、新人の実技教育等をさらに強化し交通事故削減に取り組んでいきます。
- ※1 セイフティレコーダ:前後・左右加速度、ジャイロ、位置(GPS)のセンサーで急加速、急ブレーキ、急ハンドル、急旋回等の運転の癖を解析できる装置
- ※2 警察庁方式運転適性検査:全7問の記入式で状況判断力、衝動抑止性、精神安定性等 11項目の判定を行い運転の適正を判定する検査
4. AEDの設置
本社、各工場・事業所にAED(自動体外式除細動器)を設置しています。適時、社内で救急処置法講習会を開催するほか社外講習会へ参加し、突然の心臓発作に対応できるように訓練しています。

5. 火災への対応
日本化薬の各事業場では火災に備えて消防車、消火栓および化学物質用の消火器を設置しています。また実地訓練のほか、地域の消防競技大会に参加し好成績をあげています。

6. 自然災害への対応
すべての事業場ごとに地震をはじめ自然災害に備えた「社員の防災(地震)手引き」を整備し、全従業員に配付しています。手引きには、地震が起きたときの緊急行動、安否確認の連絡方法、交通機関が不通のときの代替帰宅手段等が記載されています。
地震等の災害時の社員の安否確認は、インターネットのメール機能を利用した通報連絡システムで実施しています。地震等の災害発生時、災害対策本部からの指示で社員にメールを送付し、社員が簡単な操作でメールに返答することにより安否を集計することができます。日本国内で震度6以上の地震が発生したときには社員の安否確認を行うことになっています。
鹿島工場「令和2年安全功労者内閣総理大臣表彰」受賞
鹿島工場は、1982年の操業開始以来、37年間にわたり無災害を継続しているなど、労働災害の防止および産業安全水準の向上に貢献したことが評価され、「令和2年安全功労者内閣総理大臣表彰」を受賞しました。本表彰は、毎年7月1日を「国民安全の日」として交通安全や火災予防など、国民の安全の確保について顕著な功績をあげた個人または団体を内閣総理大臣が表彰するものです。
本受賞はこれまで工場運営に尽力してきた諸先輩と現従業員の安全操業に対する取り組みの賜物です。2021年3月31日には連続無災害日数14,000日を達成しましたが、無災害記録に終着点はなく絶えず通過点です。ほんの小さなことがきっかけで事故が発生すれば立派な記録も無となります。今後とも全従業員が一丸となり安全操業に努め、事故・災害の未然防止に取り組んでいきます。

鹿島工場フォークリフト認定制度による運転技能の向上
鹿島工場では、フォークリフトによるヒヤリハット事象が頻発した時期があり、その対策として運転者の技能向上を目指し事故の未然防止を図るため次の取り組みを行いました。
①技能向上のための取り組み
外部講師による実技講習会(「運転操作の基本」「運転技量と教育指導の仕方」)をフォークリフト作業者全員が受講
②運転認定制度の導入
認定試験の合格者だけに運転が許される(有効期間は半年)
③環境整備
教習コースを常設し、いつでも運転の練習と実技試験が可能
④運転技術の解析
全方向ドライブレコーダーを設置し、映像をもとに運転者の状態や癖を解析
これらの取り組みにより、フォークリフトによるヒヤリハット事象を激減することができました。今後も認定制度を継続することにより事故の未然防止につなげていきます。
上越工場巻込まれ体感機を活用した安全教育
上越工場では、2017年までロール挟まれ巻込まれを含む労働微傷災害が毎年のように発生していました。発生傾向を分析したところ、入社3年未満の従業員の被災が80%を占めていることが分かり、労災撲滅を目的に教育体形を見直しました。特に、入社3年目までの従業員に対して安全教育の強化を行い、慣れてきた頃に起こりうる事故防止を図りました。入社1年目は「5S・気づき力」、2年目は「KYT」、3年目は「ヒヤリハット」をテーマとして自社講師による安全教育を実施し、安全活動のボトムアップを行っています。本安全教育では、2012年度に導入した「巻込まれ体感機」を活用し、事故を未然に防ぐ光電管センサー、緊急時の非常停止ボタン、ロープスイッチの起動操作、近接センサー機能を利用した巻込まれの体感教育も交え行っています。また、従業員の「気づき力の向上」、「相互注意」を高めることで労災の未然防止を図ることを目的として、ヒヤリハット活動にも力を入れています。提出目標は、「年間3件以上/人」としており、特に製造部では強力に活動を推進しています。
このような活動を通し2017年まで毎年のように発生していた労災でしたが、2018年以降は、労災ゼロを継続し、連続無休業災害日数は、1280日を記録しています(2021年3月6日時点)。今後もPDCAを回し企業活動の基盤となる安全に対する意識の高い企業風土づくりを推進します。

KSEKayaku Safety Systems Europe a.s.
従業員の健康と安全
KSE従業員の労働安全衛生は、すべての活動の不可欠な部分であり、最優先事項です。健康で安全な職場環境は基本的な権利であるだけでなく、日常業務の一面でもあります。このため、従業員の仕事に関連して最適な条件が満たされていることを確認するため定期訓練だけでなく、緊急訓練(危険化学物質漏洩など)や火災・爆発時の避難訓練なども実施しています。
また、職場での衛生にはかなりの注意が払われています。労働安全衛生審査制度に基づき、従業員の特定の仕事に対する適性を慎重に審査します。私たちは、各職場におけるリスク要因を監視するために、多数の作業環境のチェックを実施しています。その結果に基づいて、潜在的に危険な仕事を排除することを目的として、技術的または組織的措置を提案しています。例えば、有機溶媒の取り扱い中の作業台にガス抽出装置の設置です。この装置措置により、作業環境における化学物質の管理が徹底され、危険な作業が排除されました。
このように継続的に予防を推進し、従業員自身がヒヤリ防止を提案して、労働安全衛生の改善に積極的に参加してます。
労働組合/労使関係
日本化薬株式会社と日本化薬労働組合は、1998年6月1日「産業と労働の社会的意義と責任を認識し、労働法の精神に則り、相互に相手方の権利を尊重し、労使関係の安定平和を確立するため、誠意と信頼に基づいた」労働協約を締結しました。以来、この締結趣旨に従い8回の再締結を経た現在まで、労使相互の信頼関係に基づいた健全な関係を維持しています。ユニオンショップ制により、管理職と契約社員など一部の従業員を除いた労働組合加入率は100%です。
会社と労働組合とは活発に協議しており、会社は可能な限りの情報開示を行ない誠実に対応することを協議方針としています。年度事業計画や中期事業計画、安全衛生方針が明確になり次第、経営幹部より会社の経営方針を伝える中央労使協議会を年3回開催しています。また、毎月中央経営懇談会を開催し、会社の状況に関する情報の共有化・相互理解を深めるとともに、課題解決に向けた協議を行なっています。またこれら労使協議の結果は、従業員に向けて各部門で速やかに伝達されるように努めています。
なお、労働協約には協議・交渉に関する条項を明記しています。また、従業員に著しい影響を及ぼす可能性がある事業上の重大な変更を実施する場合、従業員および従業員代表に対して、事前に通知しています。たとえば、転居を伴う異動の場合については原則1カ月前までに通知しています。内容によっては、さらに前から通知や協議を行っています。
一方、各事業所個別の課題については、各事業場経営懇談会を毎月開催し、認識の共有と協議・意見交換を実施し、働きやすい労働環境の実現を目指しています。

環境安全衛生(統合)診断
日本化薬各事業場および一部のグループ会社に対して、年間計画に基づき、環境安全衛生診断および品質診断と一緒に統合診断として実施しています。なおこの診断には、日本化薬労働組合からも参加しています。
診断では、被診断事業場やグループ会社の環境安全衛生方針・計画に対する進捗状況の確認、活動の実績などを会議、書類、現場巡視を通して把握し、労働組合側からの視点でも問題点などを指摘し、全社的な安全衛生レベルの向上を図っています。
なお2020年度は新型コロナウイルス感染防止のため、被診断事業場で現場巡視などの現地での診断は実施せず、環境安全推進部でまとめているRC(レスポンシブル・ケア)進度確認表を用いて、書類上でRC活動の確認を行いました。
労働組合との安全衛生への取り組み
労働安全衛生の取り組みとして、労働組合が主催する「レベルアップセミナー(安全衛生)」に協力しています。日本化薬労働組合は、運動方針のトップ項目に「安全」を掲げており、例年2日間の日程で研修を実施しています。1日目は外部の専門機関を利用した「安全体感研修」として、機械の巻き込まれや安全帯ぶら下がりなどを体験し、「危険とは何か」、「ルールを守る必要性」などを学ぶ研修を実施しています。2日目は環境安全推進部による「日本化薬の事故災害(過去の事故から学ぶ安全対策)」、「気づき力を鍛える」と題した講演を行いました。また、労働組合からは「労組としての安全の取り組み」と題し、労働組合が安全に取り組む重要性を伝えています。
講演の後は、各事業場・各支部の安全衛生活動の良い点や問題点を抽出し、参加者で共有するとともに良い点を自職場でどう活用・展開していくかを考え、安全衛生意識の向上を図るグループ討議を行っています。2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響により中止としましたが、今後も取り組んでいく予定です。
その他、環境安全衛生診断、ハラスメントの撲滅、メンタルヘルスケア対策を通し、従業員が心身ともに健康で、安心して働ける職場環境の整備に向け、労使協力して取り組んでいきます。
CSR人事関連データ
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 単位 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
合計 | 男性 | 女性 | 合計 | 男性 | 女性 | 合計 | 男性 | 女性 | ||
正社員数(連結) | 5,814 | 5,769 | 5,664 | 名 | ||||||
正社員比率(連結) | % | |||||||||
正社員数(単体) | 2,079 | ー | ー | 2,053 | 1,730 | 323 | 2,077 | 1,751 | 326 | 名 |
正社員数(連結) | 名 | |||||||||
非正社員数(連結) | ー | ー | ー | ー | ー | ー | 名 | |||
非正社員比率(連結) | % | |||||||||
非正社員数(単体) | 642 | 437 | 205 | 662 | 450 | 212 | 629 | 434 | 195 | 名 |
非正社員比率(単体) | 23.59 | 24.38 | 20.64 | 39.62 | 23.24 | 19.86 | 37.43 | % | ||
障がい者雇用率(年間平均) | 1.82 | 1.97 | 1.90 | % | ||||||
定年再雇用率 | 62.74 | 58.69(※) | 100.00 | 70.58 | 68.75(※) | 100.00 | 84.1 | 82.5(※) | 100.00 | % |
社員離職率 | 2.18 | 2.14 | 2.42 | 1.75 | 1.5 | 3.09 | 1.82 | 1.77 | 2.14 | % |
社員平均年齢 | 40.29 | 40.03 | 41.67 | 41.04 | 39.75 | 42.33 | 40.31 | 39.87 | 42.63 | 歳 |
平均勤続年数 | 14.65 | 14.45 | 15.68 | 15.2 | 14.19 | 16.21 | 14.62 | 14.27 | 16.53 | 年 |
新卒社員数 | 64 | 60 | 4 | 57 | 49 | 8 | 48 | 41 | 7 | 名 |
管理職社員数(単体) | 494 | 456 | 38 | 499 | 457 | 42 | 512 | 468 | 44 | 名 |
管理職社員数(連結) | 名 | |||||||||
有給休暇取得率 | 61.1 | 56.7 | 81.6 | 60.1 | 56.8 | 75.9 | 65.8 | 63.9 | 74.8 | % |
育児休業取得率 | 39.5 | 100 | 52.4 | 100 | 88.6 | 100 | % | |||
育児休業取得者数 | 37 | 17 | 20 | 48 | 22 | 26 | 60 | 31 | 29 | 名 |
復職率及び定着率 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | % |
介護休業制度利用数 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 名 |
育児短時間勤務制度利用数 | 21 | 2 | 26 | 33 | 2 | 31 | 43 | 0 | 43 | 名 |
健康診断受診率 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | % |
業界平均(製造業2018) | 業界平均(製造業2019) | 業界平均(製造業2020) | ||||||||
労働災害度数率 | 0.43 | 1.2 | 0.44 | 1.2 | 0.18 | 1.2 | 度数率 | |||
労働災害強度率 | 0.012 | 0.1 | 0.034 | 0.1 | 0.000 | 0.1 | 強度率 | |||
労働組合員数(単体) | 1,762 | 1,871 | 1,753 | 名 | ||||||
大学卒 | 高卒 | 大学卒 | 高卒 | 大学卒 | 高卒 | |||||
初任給 | 226,000 | 174,200 | 226,000 | 174,200 | 229,500 | 177,700 | 円 | |||
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | ||||||||
正社員一人あたりの年間平均研修時間(単体) | - | - | 41.07 | 時間 |
- ※ 再雇用希望者については100%