重要課題とアクションプラン

日本化薬グループは、企業ビジョンであるKAYAKU spirit「最良の製品を不断の進歩と良心の結合により社会に提供し続けること」を実現するための企業活動としてCSR経営を行っています。CSR経営を行うにあたっては、社内外の視点から当社グループが抱える重要課題を適切に把握し、事業活動と連動した中期CSRアクションプランを策定しています。

CSRと経営戦略

当社グループはCSRと経営は一体であると考えております。KAYAKU spiritを実現し企業価値を高めていくには、中期事業計画の実行と持続可能な社会・環境への取り組みの両輪が必要であり、これらを経営戦略として統合しマネジメントする必要があると考えております。
当社グループは経営基本方針を、『すべてのステークホルダーの信頼に応えるため中期CSRアクションプランを策定し、CSR経営に取り組みます。中期CSRアクションプランの継続的な取り組みによる経営資本の増大を通じて、企業価値の最大化と持続的な成長を図るとともに、持続可能な社会・環境に貢献します』と定めています。この経営基本方針のもと、事業環境や外部ステークホルダーの声を捉えてリスクと機会を把握し、中期的な事業の重要課題(マテリアリティ)を特定するとともに、中期事業計画およびこれに連動した中期CSRアクションプランを策定しています。事業全般にわたり、安全操業・コンプライアンスの徹底・環境への配慮を重視し、高い倫理観を持ちながら、経営戦略と一体となったCSR経営を実践しています。

CSR重要課題(マテリアリティ)

2019年度からの中期事業計画KAYAKU Next Stageの策定にあたり、日本化薬では、持続可能な社会への貢献および当社の持続的な成長に向けて、取り組むべき課題を整理し、CSR重要課題(マテリアリティ)を特定しました。

CSR重要課題(マテリアリティ)特定プロセス

【Step1 課題項目の認識】

多様化する社会から求められる要請事項についてGRIスタンダードで抽出されているテーマをベースに、当社グループのCSRアクションプランで設定されているテーマを加え、課題項目として設定。

【Step2 社内/社外意見のポイント化】

A. 外部評価のポイント化
責任投資を推進している複数の国際的な評価機関からの当社への産業別の評価基準、およびSASBの産業別の要求基準を、課題項目と紐付けし外部評価としてポイント化。

B. 内部評価のポイント化
社内の事業部門を含む主要な部署の責任者へのアンケートを実施し、課題項目について当社グループとしての影響度を評価。主要部署にはヒアリングの機会を設け、課題項目の優先順位度合いについて確認し整理。これに当社グループが過去にCSRアクションプランとして取り上げてきた重要課題の視点を加算し、内部評価としてポイント化。

【Step3 マテリアリティマッピング】

ポイント化した外部評価、内部評価による課題項目をクロスさせ、マテリアリティマッピングを作成。ポイントベースでのマップに閾値を入れ、この値以上のものを重要な項目として特定。

【Step4 妥当性確認と承認】

特定のプロセスおよび特定結果について、CSRの専門家である有識者による意見も取り入れながら、当社の意思決定機関であるCSR経営委員会においてレビューし、2回にわたる審議を経て承認。

日本化薬グループのCSR重要課題(マテリアリティ)

日本化薬グループのCSR重要課題(マテリアリティ)

重要課題に対する認識と取り組み

特定したCSR重要課題に対する日本化薬グループの認識と、私たちがどのように取り組んでいくかを、最重要課題を中心にご説明します。

事業を通じたイノベーション

なぜ重要か

より良い生活を求めて世の中は進化し続けており、技術の進化に終わりはありません。しかし持続可能な社会のためには、便利な世界の実現だけでなく、すべての人の健康で安全な暮らしの実現、気候変動の緩和や地球環境の保全などの大きな課題もあり、化学メーカーに求められる責任にもしっかり取り組む必要があります。日本化薬グループにとって、これら多岐にわたる難しい課題を解決しながら社会からの要求に応えていくためには、不断の進歩で事業を通じたイノベーションを起こすべく、新たな技術や新しいビジネスの機会を獲得することが必要だと考えています。私たちはこの重要課題に取り組むことで社会に求められる価値を提供し、持続可能な社会に貢献していきたいと考えています。

日本化薬の取り組むこと

日本化薬グループの事業ビジョンは、「生命と健康を守り、豊かな暮らしを支える最良の製品・技術・サービスを提供し続ける」です。日本化薬は、創業当初から社会に求められる課題を解決しながら発展してきました。これからも、火薬・染料・医薬の3つの遺伝子を変化させながら100年の歴史の中で培ってきた多様な要素技術を活かして、最良の製品・技術・サービスを提供し続け、持続可能な社会・環境に貢献していきます。具体的には、「超スマート社会」や「SDGs」の実現のための樹脂・色素・触媒を基盤にした特徴のある製品や、得意ながん関連領域での医薬品やその周辺製品、進化する自動車用安全部品や将来のモビリティテクノロジーに対応した製品、安定的な農業生産を支える環境適合性に優れた農薬、これらの技術を融合した新しい分野での製品展開や事業創出などを、要素技術をブラッシュアップし、オープンイノベーションを活用し、将来の成長を支えるコーポレート研究などにも取り組みながら、進めていきます。そのためには、進化するITの活用や、全社員の能力の向上にも、全社的な基盤の整備として取り組んでいきます。
この課題に取り組むことは、重要課題の「経済パフォーマンス」にも繋がっていきます。また「エネルギー消費量と温室効果ガス」「排水および廃棄物」「水資源の効率化」「省資源に貢献する原材料利用」などの環境関連の重要課題に取り組む中からも、社会に貢献できる新たな技術の獲得などのイノベーションが期待できると考えています。

その他の取り組みはクリックでご覧いただけます

品質と顧客の安全

なぜ重要か

製品・サービスの品質や安全性に対する社会の要求は高まっています。日本化薬グループの製品は、機能化学品、医薬品、自動車用安全部品、農薬と様々ですが、いずれの製品も適正な品質の製品を提供する必要があり、もし品質不良などの問題があると、その影響がお客様はもちろんのこと、サプライチェーン全体に及ぶことになると認識しています。安定した製品品質や、安全性・信頼性の向上や、適正にご使用いただくための技術サービスや情報提供は、お客様の満足度向上につながると考えています。

日本化薬の取り組むこと

日本化薬グループは、レスポンシブル・ケア精神のもと、環境保全、安全衛生の確保および品質保証の維持向上のため、「環境・健康・安全と品質に関する宣言」を制定し、全社の組織的な管理体制で活動を行っています。各事業部門には品質保証の要となる品質保証本部を設置し、各事業の特性に適した品質管理体制を整備し、グループ会社を含めたグローバルな取り組みを行っています。例えば、安定した品質を保証するための品質保証技術力を強化するための品質保証活動や、品質トラブルを未然防止するための品質リスクアセスメントの実施、顧客苦情および品質工程異常の再発防止策強化のための「なぜなぜ分析マニュアル」の整備・活用、研究開発者への品質工学や統計的手法導入による設計開発力向上のための研修実施など、教育から実践まで様々な手法を用いて、工程異常の低減や品質向上に取り組んでいます。この課題は、重要課題の「製品サービスの適切な情報提供」とも関係していますが、お客様に製品を安全にご使用いただくための技術情報や最新の学術情報の提供にも努めています。お客様に最良の製品を提供するために、今後もこれらの課題に正面から取り組むことで重大な顧客苦情や工程異常をなくし、当社グループのプレゼンスを向上させていきます。

  •  レスポンシブル・ケア(Responsible Care):化学物質を製造または扱う企業が化学物質の開発や生産、販売、消費から廃棄に至るまでのすべてのプロセスで自ら積極的に環境・安全・健康面に配慮した対策を行う活動。

取引先のアセスメント

なぜ重要か

製品の原料調達において、労働者の人権配慮や安全衛生管理の徹底、労働環境の整備、省資源、地球温暖化防止対策など、求められる課題は多岐に渡ります。これらを自社グループ内だけでなく、サプライチェーン全体で対応することが企業に求められています。この重要な課題に誠実に取り組み、持続可能な調達を継続的に実現することが、私たちにとっての社会的責任であり、日本化薬グループがお客様に選んでいただける企業になることでもあると考えています。

日本化薬の取り組むこと

日本化薬グループは、持続可能な社会を実現するために、「お取引先は最良の製品づくりの大切なパートナー」と考え、相互の持続的な発展を目指しています。「日本化薬グループの行動憲章」や「購買理念」、「購買基本方針」に則ったCSR調達ガイドブックを作成し、サプライヤーの皆さまにご理解いただき調達をするための取り組みを行っています。2020年度はサプライヤーの皆さまへの説明会や、継続的な実地アセスメントができない状況でしたが、Webでの面談、商談の場を通して、CSR調達方針をご理解いただくことを目指しました。
この課題の取り組みは、別の重要課題の「事業継続性の確保」とも深く関連しており、日本化薬グループとしては同時に取り組む必要があります。調達に関するリスクには、供給リスクと、社会課題に対して適切な対応を行わないことによるリスクがあります。私たちはどちらも重要な課題であるという認識のもと、CSR調達方針に則った原料調達をするため、ビジネスパートナーの皆さまとの連携強化に努めるとともに、「最良の製品」を提供できるように取り組んでいきます。

エネルギー消費量と温室効果ガス/排水及び廃棄物/水資源の利用の効率化/省資源に貢献する原材料利用

なぜ重要か

近年では、地球温暖化、気候変動という言葉をほぼ毎日のように耳にするようになりました。地球温暖化対策については、2020年10月26日、第203回臨時国会の菅内閣総理大臣の所信表明演説において、「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする※1、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことが宣言されています。実際に、地球温暖化に伴うと考えられる異常気象が日本国内だけでなく世界各地で発生しており、今後地球温暖化による脅威はますます高まることが予想されています。製品の製造工程においては、電気・熱エネルギー消費での加熱・冷却工程で地球温暖化ガスの排出があります。日本化薬グループにおいても、早急に地球温暖化対策を考え、適応策を実施していく必要があります。
また化学製品については、化石由来の原料を使用して多くの工程を経て製造しています。洗浄工程等で水資源の消費、化学物質の大気・水・土壌への排出があり、廃棄物も発生します。
さらに、グローバルな自動車普及率は今後も開発途上国を中心に伸びが予想され、それに使用される日本化薬グループの火薬を使用した自動車安全部品への要求は、安全性のみならず小型化・軽量化による地球環境への負荷の低減のためにも重要です。
このように日本化薬グループの事業活動は、地球環境へ少なからず影響を及ぼしている可能性があります。
環境負荷の低減に取り組み、持続可能な社会を実現していくために、私たちは、不断の進歩で、製品のライフサイクル全体で地球環境への悪影響を最小にし、環境負荷の低減と化学物質の適正管理をしていく必要があると考えています。

  • ※1 「排出を全体としてゼロ」とは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量から、森林などによる吸収量を差し引いてゼロを達成することを意味しています。

日本化薬の取り組むこと

前述した重要課題に取り組んでいくため、日本化薬グループでは詳細な課題への深掘りを行い、環境面の重要課題(マテリアリティ)を特定しています。具体的にはTCFD※2の提言にもとづき、専門家の意見もききながら製造部門だけでなく研究開発部門も参画して気候変動に関するリスクと機会を洗い出し、環境面の重要課題として特定しました。
日本化薬では、これまで中期環境目標を策定して環境対策に取り組んできましたが、その中期環境目標は2020年度で終了しています。そこで今後前述した重要課題に真摯に取り組んでいくため、地球温暖化対策について、2030年度までの中期環境目標を日本化薬グループ全体として制定しました。また地球温暖化ガス排出量については、従来から実施してきた製造工程等の事業活動による排出量の把握だけでなく、サプライチェーンから出されるCO排出量の把握も進めており、国内外グループ会社にも展開しています。さらに地球温暖化ガス排出量削減のために、製造工程のスリム化やエネルギー使用の適正化など検討範囲を広げて取り組み、企業としての事業継続および持続可能な地球環境に貢献できるよう、現在MFCA※3の手法を用いて検討を引き続き進めています。
今後の地球温暖化対策としては、製造工程における低炭素な原料への転換や、省エネ機器の導入、製造工程エネルギーの削減、再生エネルギーへの切り替えなど、さまざまな環境負荷低減への可能性がまだあり、2030年中期環境目標の達成のために最適な手法の検討を継続して進めていきます。
なお製品の製造には欠かせない加熱・冷却や製品の精製などに使用する水についても、利用可能な水量や水質の変化が事業活動に影響する可能性もあり、国内外グループ会社の生産拠点ごとに、地域に即したリスク評価および対策をとっています。
日本化薬グループの事業活動は、化学メーカーとしてのレスポンシブル・ケアが原点となっています。今後も社員のみならずお客様の安全や地球環境の保全にもつながる化学物質管理の充実および適正な情報提供に取り組んでいきます。

  • ※2  TCFD (Task Force on Climate-related Financial Disclosures):2016年に金融システムの安定化を図る国際的組織、金融安定理事会(FSB)によって設立された「気候変動関連財務情報開示タスクフォース」のこと。
  • ※3  MFCA (Material Flow Cost Accounting):製造プロセスにおける資源やエネルギーのロスに着目し、そのロスに投入した材料費、加工費、設備償却費などを“負の製品のコスト”として、総合的にコスト評価を行なう分析の手法。

職場の労働安全衛生/コンプライアンス

なぜ重要か

安全操業は製造業にとってすべての基本です。日本化薬グループ各社が「安全はすべてに優先する」を共通の認識として安全活動の取り組みを進め、事故災害を未然に防止することがすべてのステークホルダーに対しての責任であると考えています。それは日本化薬グループで働く社員にとっても最も重要なことです。また、日本国内だけでなく海外現地法人の法令順守をはじめとして、社員一人ひとりがコンプライアンスを徹底し、公正な事業活動を行うことも、企業の存続し社会的責任を果たすためには不可欠と考えています。これらの課題のように、私たちのすべての企業活動を支える基盤となる重要課題には、他にも「コーポレートガバナンス強化」「雇用の維持拡大と人材育成」「人権尊重とアセスメント」「地域コミュニティ」があり、これら重要課題への適切な対応なしに企業として存続できることはあり得ないと考えています。いずれの課題も中期事業計画KAYAKU Next Stageの中計重点テーマのひとつである「成長を支える経営基盤の充実」としても挙げられており、揺るぎない取り組みが必要と認識しています。

日本化薬の取り組むこと

日本化薬グループは、私たちの行動の道しるべとして、2000年に「日本化薬グループ行動憲章・行動基準」を制定し、時代の要請に応えて改定しながらすべての社員で共有してきました。近年、気候変動をはじめとする環境問題、児童労働などの労働環境とサプライチェーンの関係、良き企業市民としての社会参画、人権の尊重等、企業に求められる社会的な責任はますます複雑化・多様化しており、また、日本化薬グループでも、多くの事業において、国籍、宗教、言語等、文化的背景が異なる多様な社員が協力し合い業務を推進する中では、共通の認識を持つことが重要となっています。これらを念頭に「日本化薬グループ行動憲章・行動基準」に「人権」「危機管理」「地域社会」「対話」を新たな要素として加えて、2019年度に改定を行いました。
企業活動を支える基盤である重要課題のすべてが、いずれも「日本化薬グループ行動憲章・行動基準」を理解・遵守して企業活動を行うことと同義であり、社員一人ひとりが共通の認識を持ってそれぞれの課題に対応できるような社員教育を行うとともに、日本化薬グループとして責任をもって取り組んでいきます。

中期CSRアクションプラン2019-2021

特定したマテリアリティを基に、具体的な取り組み目標を定めた中期CSRアクションプラン2019-2021を策定しました。策定した中期CSRアクションプランの課題と目標は、中期事業計画KAYAKU Next Stage の重点テーマをより具体化するために各部署で設定した中長期重点課題と統合されています。中長期重点課題は、日本化薬グループ全体でより具体的な組織の目標へ、さらに私たちそれぞれの個人の業績目標へと繋がっています。そのため中期CSRアクションプランは、事業戦略と一体で、私たち全員が実践していきます。

CSR経営の実行
【図版】アクションプラン一覧(2019-2021)

中期CSRアクションプラン2019-2021

中期CSRアクションプランと2020年度進捗

中期CSRアクションプラン2019-2021の2年目となる2020年度進捗は次の通りです。

【図版】中期アクションプラン2020進捗

中期CSRアクションプラン2020進捗

中期CSRアクションプラン2019-2021とISO26000の関係

ISO26000の7つの中核主題及びその37の課題と中期CSRアクションプラン2019-2021の各アクションプランの対応表は次のとおりです。

中期CSRアクションプラン2019-2021とISO26000の関係

中期CSRアクションプラン2019-2021とISO26000の関係

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