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特集

東日本大震災への対応

BCPの見直しと強化

2011年3月11日の東日本大震災では多くの企業が事業継続に支障をきたす事態になりました。日本化薬グループでは、これまで危機管理の一環として「BCP(事業継続計画)」(自然災害・感染症・火災爆発・テロなど)の検討に取り組んでおり、新型インフルエンザH1N1の発生の際には感染症に関するBCPなどを策定していました。

しかし、東日本大震災において鹿島工場では生産に支障が起き、東北地方の医薬営業所では、建物の損傷やサプライチェーンの途絶などにより事業継続が滞りました。

2011年8月に東日本大震災の想定外の出来事を教訓としさらに強化するために、全社BCP策定プロジェクトを発足しました。外部コンサルタントの助言を受けながら、いざというときに有効に機能する実践的なBCPを策定しています。

安心して働ける職場環境の整備 - 医薬品事業の対応

医薬事業本部は、全国に15支店54営業所を展開し、医薬品の適正使用情報を医療機関にお届けしていますが、2011年3月11日の東日本大震災では震源地に近い支店、営業所が被害を受けました。そこで従業員の安全を確保するため、特に建物被害が大きかった4営業所(盛岡、郡山、水戸、千葉)の移転を行いました。

さらに、従業員が安心して働ける職場環境を確保するため、全国すべての拠点の建物が「1981年に改訂された建築基準法の耐震基準を満たしているか」の調査を行い、基準に適合していない建物の移転を順次進めています。2011年11月時点で2支店(高崎、広島)3営業所(高崎、広島、山口)がすでに移転を完了しています。

液状化地域の土砂清掃に従業員ボランティアが参加 - 鹿島工場の対応

鹿島工場の従業員ボランティアによる清掃活動 鹿島工場の従業員ボランティアによる清掃活動

鹿島工場では、合成工場の最上階において機器の一部に破損が見られましたが、建屋の損傷や地盤の液状化はなく、約2カ月半の復旧工事により6月1日より通常稼動を開始しました。その間、工場のある神栖市内では津波による冠水や液状化による道路陥没などの甚大な被害があり、幹線道路はいたる所で分断され、さらには水道水の断水が約1カ月続く中でガソリン不足が追いうちをかけ、まさに陸の孤島の様相を呈していました。

そのような状況の中、当社従業員によるボランティア活動として、液状化地域の土砂清掃に参加し地域社会への貢献を微力ながら果たしました。一方で近隣住民や銭湯・ホテルなどの施設から、低額でお風呂を提供していただいたり、生活用水を分けていただいたり、地域にともに暮らす人たちの優しさや真心に触れることもでき、地域社会との交流の大切さをあらためて感じました。

電力不足への対応

東京電力管内では、2011年3月14日から4月8日に実施された計画停電により高崎工場は延べ5回にわたり停電しました。初日の計画停電では、生産設備が停止し、培養中の原薬が一部不良となりましたが、その後は可搬型発電機を手配し対応しました。発電燃料は、首都圏での調達が困難だったため、厚狭工場(山口県)より陸送しました。

7月1日からは電気事業法第27条による電気の使用制限の発動により、東京電力管内及び東北電力管内において、今夏の最大使用電力を昨年の使用最大電力の15%削減した値に制限されました。

高崎工場では、医薬品製造のため経済産業省より削減率0%の緩和が認められました。しかし、厚生労働省の削減努力指示により削減目標値を8.47%と自ら定めて、生産調整や可搬型発電機の運転等によって約10%削減しました。

東京事業所及び研究所では、全体で取り組む共同緩和措置が認められ、全体で15%削減に取り組みました。土日も出勤する勤務体制への変更、空調温度管理の徹底、電力使用量の全館放送による節電啓蒙等により20%以上の削減を達成しました。

東京工場では、一般空調を停止、CGS稼動を増加する等により、約23%削減しました。

本社ビルでは、照明の間引き、エレベータの間引き、冷蔵庫等の使用制限により、約25%削減しました。

姫路工場及び関連事業部では、自動車業界の勤務体制に沿って、木曜日、日曜日休みで対応し、使用電力削減に協力しました。

現在既に、省エネルギー・地球温暖化防止対策について、全社的に取り組んでいますが、この度の震災による電力供給不安を受けて、エネルギー低消費型企業を目指して、より一層の省エネルギー対策を推進してまいります。

東日本大震災の被災地・被災者の方への支援について
http://www.nipponkayaku.co.jp/news/2011/20110811091612.html

東日本大震災による当社グループの影響について
http://www.nipponkayaku.co.jp/news/2011/20110314165253.html
http://www.nipponkayaku.co.jp/news/2011/20110325094457.html
http://www.nipponkayaku.co.jp/news/2011/20110601135805.html

中国の排水規制に対応する取り組み

有機染料成分の抽出技術と応用 - 招遠先進化工有限公司

招遠先進化工有限公司は中国の山東省招遠市にあり、蛍光染料およびその中間体、有色染料の製造、輸出、販売をしています。近年、中国では環境保護政策を年々強化しており、排水規制も厳しいものとなっています。このため、招遠先進化工有限公司では創業時から廃水処理を非常に重要な問題としてとらえ、常に排水負荷低減を検討してきました。

招遠先進化工有限公司ではここ数年、会社全体で排水負荷低減に取り組み、蛍光染料排水に対する新しい廃水処理法を開発いたしました。これは日本化薬株式会社が持っていた水溶液から有機染料成分の抽出技術を、廃水処理技術に応用したものです。蛍光染料残渣含有の廃水に特殊な有機化合物を用いて抽出処理した結果、廃水中のCOD※1値を効果的に下げることに成功しただけでなく、廃水中の残存蛍光染料も回収が可能となりました(2010年度は効果の検証期間)。

この廃水の新しい廃水処理法の成功は、日本化薬株式会社と招遠先進化工有限公司の協力体制のもと、ラボ実験から現場の担当者まで従業員が一丸となって成し得た結果です。今後も強化される中国の排水規制に対して、招遠先進化工有限公司では廃水処理技術を日々改善しながら対応していきます。また、日本化薬株式会社は、他の海外生産基地を含め、環境負荷低減に向けて今後も全面的にバックアップしていきます。

  • ※1COD : Chemical Oxygen Demand。化学的酸素要求量。

COD排出量の推移