環境負荷低減の取り組み
新旧中期環境マスタープラン
これまでの中期環境マスタープランの取り組み結果
日本化薬では「全社環境マスタープラン」としてVOC※1排出量削減など、3分野4項目に2010年度までの中期環境目標を定めて取り組み、ほぼ目標を達成しました。なお埋立廃棄物量のみがわずかに目標に届いていませんが、これは最近のラグーン汚泥処理の影響であり、一過性のものとして捉えています。

- ※1VOC:Volatile Organic Compounds。揮発性有機化学物質。
新中期環境マスタープランの制定
日本化薬では2010年度までの環境マスタープランの結果を振り返り、グローバルな問題である環境保全に今まで以上に全社として取り組んでいくため、新たに2020年度までの中期環境目標を3分野6項目で制定しました。これまでの中期環境目標であった化学物質排出量削減、地球温暖化防止、廃棄物削減の3分野を柱とし、化学物質排出量削減にはCOD※2排出量削減、廃棄物削減にはリサイクル率向上の項目を新たに追加しました。また従来の埋立廃棄物量削減は「ゼロエミッション率※3低下」に項目名を改めました。

- ※2COD:Chemical Oxygen Demand。化学的酸素要求量。排水中の被酸化性物質を一定の条件化で酸化剤により酸化し、そのときに使用した酸化剤の使用量から、被酸化性物質を酸化するために必要な酸素量を換算した指標のこと。CODが高いことはそれだけ水中の酸素を消費する有機化学物質等の物質が多く含まれることになるので、生物が棲めなくなる他、自然浄化作用が止まってしまうので水に濁りが生じたり悪臭を放つようになる。
- ※3ゼロエミッション率:日本化薬では廃棄物発生量全体に対する内部および外部埋立量の割合として定義しています。
化学物質の環境排出量削減
有害大気汚染物質
(社)日本化学工業協会を中心に、有害大気汚染物質の自主管理対象12物質※4を定め、排出量削減の取り組みを行っています。この12物質の中で、日本化薬が1995年度以降に使用しているのは5物質で、ベンゼンについてはすでに1995年に使用を中止しています。またクロロホルム、エチレンオキサイド2007年度以降はすべて排出量0となっております。なおジクロロメタンも2007年度以降は排出量0が続いておりましたが、2010年度は3.3tの排出量がありました。ホルムアルデヒドにつきましては、2010年度の排出量は0.03tであり、年々排出量が減少しています。現在自主管理対象物質で日本化薬から排出されている化合物はジクロロメタンとホルムアルデヒドであり、今後も使用量削減を主な対策として、排出量削減に向けた取り組みを続けて参ります。

- ※4自主管理対象12物質:アクリロニトリル、アセトアルデヒド、塩化ビニルモノマー、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、1,3-ブタジエン、ベンゼン、ホルムアルデヒド、エチレンオキサイドが該当。
VOC規制への対応
2004年の大気汚染防止法改正によりVOC(揮発性有機化学物質)の排出規制が開始されています。日本化薬では法の規制を受ける「VOC排出施設」が1設備あり、全社環境マスタープランにおいて2010年度にVOCの大気への排出量を2000年度比で50%削減して70トン以下とするという目標を掲げ、VOC削減活動を進めてきました。これまでの中期環境マスタープラン最終年である2010年度のVOC排出量は54tで、2000年度比で61%を削減しており、全社環境マスタープランをクリアしています。
なお2020年度までの新中期環境目標では、集計範囲をこれまでの政令および日本化学工業協会で把握する対象になっている化学物質以外に、反応で副生する化学物質等、大気中に放出されるすべての化学物質をすべて含むものとし、2020年度までにVOCの大気への排出量を45t以下にするという目標を掲げました。日本化薬では、今後も自主的にVOC排出量を削減していきます。

PRTR※5の取り組み
日本化薬では1995年から(社)日本化学工業協会主導のPRTR法対象化合物削減活動に参加し、PRTR法対象化合物の排出量削減対策を進めてきました。2010年度のPRTR法対象化合物の排出量は39tで、前年の28tより39%増加しています。なお日本化薬ではトルエンの排出量が多い状況に変わりありませんが、2010年度は17.4tで2009年度の21.8tよりも減少し、PRTR法対象化合物排出量全体に占める割合も78%から44%に減少しています。

- ※5PRTR:Pollutant Release and Transfer Register(環境汚染物質排出移動登録)の略。PRTR法は事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境保安上発生する問題を未然に防止することを目的としている。
大気汚染・水質汚濁・騒音防止
大気汚染防止
大気汚染物質であるSOx(硫黄酸化物)※6、NOx(窒素酸化物)※7等はボイラーの稼動時に排出されます。日本化薬ではこれまでにボイラーの燃料をC重油から硫黄分含有量の少ないA重油、さらには硫黄分のないLPG、天然ガスに順次転換しており、2010年度も引き続き実施してきました。SOxの排出量は2008年度より大幅に減少しましたが、2010年度はさらに半減しています。日本化薬では今後も引き続き大気汚染防止設備の適切な維持管理、定期点検および保全を実施し、大気汚染物質排出量抑制に努めていきます。

- ※6SOx(硫黄酸化物):硫黄分が含まれる化石燃料等を燃焼させることにより発生する。硫黄酸化物は空気中の水分と反応することで硫酸、亜硫酸を生じるため、大気汚染や酸性雨の原因となる。
- ※7NOx(窒素酸化物):物質が燃焼する際に空気中の窒素と反応して生じる場合と、石炭等の窒素化合物を含む燃料や物質が燃焼した場合に発生する場合がある。光化学スモッグ等の大気汚染、酸性雨の原因になるばかりでなく、人体の呼吸器等に悪影響を及ぼす。またNOxの中でも一酸化二窒素は温室効果ガスとしても知られている。
- ※8ばい塵:化石燃料の燃焼等に伴い発生するばい煙のうち、固体粒子でいわゆるすすのこと。大気汚染の原因となる他、高濃度のばい塵を吸入した場合は人体に塵肺等、悪影響を及ぼす。
水質汚濁防止
日本化薬では、法令や都道府県、市町村条例で定められた規制値よりもさらに厳しく自主管理基準値を設定し、基準値を満たしているものを排水としています。
COD排出量が大きい工場では活性汚泥処理設備を設置してCOD排出量低減に努めてきました。なお2009年度の日本化薬単体でのCOD排出量は廃液処理設備の新規設置・更新等の効果で124tまで減少していましたが、2010年度は生産品目の構成が多少変わったことから159tに増加しました。また窒素も同時に2009年度の62tから170tに増加しており、現在CODおよび窒素削減の対策をしているところです。
さらに日本化薬では染料、インクジェット用インク等の色材関連製品を扱っています。これら色材関連製品を製造している福山工場および東京工場では、製造工程で発生する着色廃水を脱色処理して排出しています。



- ※9SS:Suspended Solids(浮遊物質量)。水中に浮遊または懸濁している直径2mm以下の粒子状物質のこと。鉱物による微粒子、動植物プランクトンやその死骸、下水、工場排水等に由来する有機物や金属の沈殿物が含まれる。浮遊物質が多いと透明度等の外観が悪くなる他、光が透過しないために水中の光合成に影響を及ぼす。
騒音防止
日本化薬では、工場周辺の騒音防止に注意を払いながら事業活動を行っています。工場境界線上の騒音測定を定期的に実施するほか、地区懇談会などで地域住民の方から寄せられるご意見やご要望を最重点課題として地域との共存を図っています。また工場内でも作業環境測定を定期的に行い、騒音から従業員を守るべく改善に努めています。
廃棄物の削減
2010年度の廃棄物発生量は26,166tで、前年度より6.5%増加しています。これは2010年度の生産量が増加気味であることが主な理由です。なお埋立量は2010年度3167tで2009前年度より3割減少し、中期環境目標をほぼ達成しました。今後、日本化薬では2020年度までの次期新中期環境マスタープランにおいて産業廃棄物削減は継続してまいりますが、さらにリサイクル率向上とゼロエミッションに向けた活動を目標に掲げて進めていきます。


地球温暖化防止
日本化薬では温室効果ガスであるCO2の排出量を削減するため、2010年度までの中期環境マスタープランにおいては京都議定書をベースにした中期目標を設定していました。各工場ではこれまでに種々の省エネルギー対策に取り組んでおり、その結果、エネルギー消費量は年々低下し、エネルギー起源のCO2排出量は年々減少傾向にあります。2010年度のエネルギー起源CO2排出量は68.5千トンで、生産量が増加気味でもかかわらず2009年度よりもさらに減少しており、1990年度に対してCO2排出量24.6%削減という結果になっています。CO2排出量削減については、2020年度までの次期新中期環境マスタープランでも目標を設定し、これまでの生産部門だけでなく、本社や営業所等の業務部門を含めて2020年度までにエネルギー起源CO2排出量を1990年度比15%以上削減という目標を暫定目標として掲げました。
また日本化薬では、2003年度から開始した物流改革で3PL(3rd Party Losistics:物流業務元請化)を導入し、元請会社と共同してモーダルシフトを推進しています。2009年4月より製品輸送に伴うCO2排出量の実績集計を開始し、一層のモーダルシフト推進により、エネルギー使用量の低減およびCO2排出量の抑制を継続していきます。
さらに日本化薬グループでは、家庭部門でもCO2排出量削減を促すため、従来からの「わが家の環境家計簿」の取り組みと、2010年度からは電気使用量だけに特化した「ただいまわが家は節電中」を企画して、従業員の家庭での省エネ活動を推進しています。


- ※10トンキロ=重量(t)×輸送距離(km)
- CO2排出量の算出は以下による。
トラック→「改良トンキロ法」 JRコンテナ→「従来トンキロ法」
環境会計
日本化薬では環境保全に関するコストを集計し、2000年度より公表しています。また2003年度からは環境保全効果を集計しています。環境保全コストおよび環境保全効果の集計は、環境省発行の「環境会計ガイドライン(2005年版)」と(社)日本化学工業協会発行の「化学企業のための環境会計ガイドライン」を参考にしています。
2010年度の環境関連の設備投資額は473.8百万円で、2009年度よりも18%増加しました。特に2010年度は2009年度と比較して大気汚染防止、水質汚濁防止、地下浸透防止、省エネルギー対策に関する公害防止コストが37%、工場緑化にかけた費用が6.8倍に増加しました。また2010年度の環境保全にかかった費用は1891.4百万円で、前年度よりも3%程増加しています。環境保全費用総額に対して、公害防止コストが約28%、廃棄物処理コストが約28%を占めています。
また環境保全効果は2009年度と比較して26%程度減少しています。特に2010年度は地球温暖化および省エネルギー関係の環境保全効果が14.8百万円と2009年度のほぼ1/3になりました。ただし地球温暖化および省エネルギー関係の設備投資を2010年度も引き続き実施していますので、来年度の効果に期待がもてます。


- 集計範囲:日本化薬単体
- 設備投資:2010年度(2010年6月~2011年5月)に発注した金額を集計
- 管理コスト:同期中に発生した費用で、環境保全の観点からの燃料の変換、廃棄物処理方法の変更等で生じたコスト上昇分は実施から5年間を計上
- 財務会計上の収益は、環境保全活動の結果として、年度において実現した収益を計上
- 費用削減や環境負荷削減等の財務会計上の収益でない効果は、施策の実施から5年間を計上
環境・安全衛生関連投資
日本化薬では環境や安全衛生に関する設備投資を計画的、継続的に行っています。2010年度は環境に関連した設備投資額が399.5百万円となっており、2009年度よりも約3割増加しています。特に2010年度は大気汚染防止設備、水質汚濁防止設備、地下浸透防止設備が前年度よりも大きく増加しております。
また2010年度の安全衛生関連設備投資額は770.2百万円で、前年度の2.7倍に増加しました。投資金額は全項目において増加していますが、特に安全・作業環境対策関連設備が前年度の4.8倍に、また地震等の天災対策関連費用は前年度2.7百万円だったのが183.6百万円に大幅に増加しています。なお地震等の天災対策関連費用は震災対策よりも水害対策費用の占める割合が大きく、震災対策費用は2011年度の設備投資額に反映されて大きくなると考えられます。










